苔に関する本が出版されてから一部でちょっとした苔ブームになっていて、ハマった女子は数知れず、「苔女子」なる言葉も登場するほどになっている。
率直にいえば、私はまったく興味がなかったけれども、図書館の棚に『苔登山――もののけの森で山歩き』があるのをたまたま見つけてしまい、タイトルに「登山」とあったのと、その薄さ(118ページ)もあって、思わず借り出してしまった。

まず全国の主だった苔の山、苔の森を紹介している。とり上げているのは、上の写真を除いて以下。
- 樽前ガロー・苔の洞門
- 雨竜沼湿原(暑寒別岳)
- 屈斜路湖
- 奥入瀬渓谷
- 奥多摩
- 八ヶ岳
- 北・南アルプス
- 大台ヶ原
- 屋久島
ページを繰っているうちに訪れた山を反芻し、たしかに苔が繁茂していたなあと思い返してしまった。

次のパートでは、主だった苔を写真入りで、分布や特長について説明している。ふだんよく目にしていた苔がジャゴケという名前であることを知り、俄然興味をもった。ミズゴケ類、スギゴケ類など、結構目にしている苔も多く登場する。
そして最後のパートは、解説篇となる。苔の分類や生態、生息場所など、わかっているようでいて実は曖昧なことが明らかになっていく。
著者は福井県立大学学術教養センター准教授で、苔大好き人間、大石善隆先生だ。苔の本を多くものしている苔学者で、まだお若い。これからも続々と研究書や図鑑、一般向けの解説書などを書かれるていかれるのだろう。