『日本3百名山ひと筆書き 田中陽希日記』田中陽希(平凡社)
ちょっと前にどんな本なのかと興味津々で、書店で手にとってパラパラとめくり、あららと思って平台に戻した。買うまでの本ではないと判断して地元の図書館で借りることにしたのだ。
なにが気に入らなかったかといえば、まず写真だ。写真はほぼ全点に近いくらい陽希さんのスナップ写真であり、NHKBSの「グレートトラバース」の番組を本に置き換えたようなものだ。
そして「日記」としている割には文章量が少なく端折りすぎ。写真を減らして、もっと日記を掲載すればいいのにと感じた。300名山を歩いているのに、各山の情報が少ないのもいただけない。率直にいって山やさん向けの本にはなっていない。
しかし、実際に図書館で借りてきて読んでみたところ、有益なことはあった。テレビではほとんどとりあげていなかった300名山以外の山歩きについても書いていたこと。なかでも裏岩手連峰の縦走はしびれた。相当マイナーではあるけれども、畚岳(もっこだけ)、諸桧岳(もろびだけ)、嶮岨森(けんそもり)、大深岳(おおふかだけ)、三ツ石山と登場。湿原や池塘、草原と緑のなだらかな傾斜地に森が続く気持ちのいい場所だ。三ツ石山は、山の神と行く予定だったが、雨で断念したことを思い出した。いつか陽希さんの真似をして縦走してみたいものだ。
参考:当ブログ岩手山麓三ツ石湿原へ