あおもり犬を「美の巨人」だったか、いちどテレビで見てから、どうしても現物を見たくなった。去る2019年8月13日(火)にそれはかなった。山の神とともにその作品が置かれている青森県立美術館を訪れた。
あおもり犬の作者は、青森県弘前市出身の奈良美智氏。奈良氏といえば、怒っていたり、アンニュイな顔をしていたり、不思議な表情と雰囲気をまとったおかっぱ頭の少女の創作が有名で、まずそれを思い出す。青森県立美術館にも、その作品は収蔵されていて、観賞することが可能だ。他にいくつもの氏の作品が展示されていた。印象的だったのは、建物のなかにお花に囲まれた3人の少女がうつぶせになって、壁に穿たれたいくつもの穴から覗き見できるしかけになっていたもの。同様のコンセプトで、建物の中を覗かせるアートもあった。アイデアが面白い。
さてメインイベントは、あおもり犬に会うことだ。窓越しにまず見たが、それだけではつまらない。窓の向こうに行くには、ぐるりと外から回って行かなければならない。行き方を美術館スタッフに教えてもらい、さらには各所にある小さな標示に従い、そのとおり進んでいくと、目の前にあおもり犬が突如現れた。感激の瞬間。触ることもできるので、もちろん傍に行って、なでてみた。なめらかなサーフェイス。
あおもり犬は正面から見ると左右対称ではなく、見る角度によって笑っているようにも、怒っているようにも、何かを嘆いているようにも、悲しんでいるようにも見えてくるから不思議だ。見る人すべてに何らかの感情を起こさせるしかけなんだろうか。
しばらくあおもり犬の前や後ろにたたずみ、その姿を目に焼き付けた後、八角堂へ移動することにした。そこには奈良美智氏が2016年に完成させた「Miss Forest/森の子」が鎮座している。この作品の人気はあおもり犬ほどではなく、ゆっくりと観賞可能だ。高さ6メートルのブロンズ像で、下から頭のてっぺんを見上げると、空に吸い込まれていく感覚に襲われる。あおもり犬とは全く異なるたたずまいに意外性を感じる。
さて、次回は時間が前後するけれども、岩手山下山後から三内丸山遺跡見学までを紹介する。
津軽SAの自虐宣伝につづく
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