標高 2038m 岩手県
2019年8月12日(月・祝) 雨のち曇りのち晴れ →→
メンバー 山の神と私
コースタイム 馬返しキャンプ場6:02--6:25新0.5合目6:28--6:45 1合目6:48--7:05 2合目7:10--2.5合目旧道・新道分岐--新道--8:05 4合目8:19--9:17 鉾立(7合目)9:25--9:40八合目避難小屋9:50頃--10:45岩手山山頂10:50--11:30不動平(昼食)11:57--12:15 八合目避難小屋12:23--12:33 鉾立(7合目)--旧道へ--13:23休憩13:33--13:50 3合目14:00--15:00馬返しキャンプ場
夜半結構な雨が降っていて、翌日の天気が危ぶまれた。朝方目覚めると、残念ながら霧雨。朝食をとっている間も一向に天候が回復してくる気配はなく、出発をずらそうかと考えていた頃、雨具をつけた登山者が続々と登山口に集ってきた。いずれやむだろうから、われわれも出発しようと山の神と準備にとりかかった。当初は、テントを撤収してからの出発予定だったが、濡れたテントを仕舞うのはなあと、張りっぱなしで出発することにした。
岩手山馬返しキャンプ場の登山口 右:0.5合目分岐。右へ行けば直登コース
予定より30分ほど遅れて6:02家族連れを横目に登山口から一歩を踏み出した。雨具をつけて歩き出すと暑い。とにかく蒸す。0.5合目のブナの巨木を見上げながら、早くも水分補給をする。ここで後ろから追いついてきた先ほどの家族のお父さんが家族に向かって雄雄しく宣言した。
「お父さんは合羽を脱ぐ!」
われわれも脱ぎたいところではあるけれども、脱げばびしょぬれだ。
左:1合目で休憩 右:2.5合目
1合目でまた水分補給し2合目へ。雨があがったのを機に合羽の上を脱ぎ、ザックにしまった。これだけでもだいぶ暑さをしのげる。
やがて2.5合目の旧道と新道の分岐に出た。山の神は景色ゼロの樹林帯の中を登高する新道を当初から避けようとしていたが、まだ雨の心配がある。このまま樹林帯の新道を進むのが無難だとの判断になった。
8:05、新道の4合目で腰を下ろす。薄日が差してきて、ようやく晴れてくるのかと期待が膨らんだ。
左:新道上部(6合目付近)から旧道の岩場が見える 右:鉾立(7合目)
20年くらい前に岩手山に来たときも、やはり夏にこの樹林帯の道を延々と歩き、しんどい山だと思ったが、今回もまったく同じ感想をもった。長く単調な道をへばりながら辛抱して進むことを余儀なくされた。
あごが上がった頃に旧道と合わさると鉾立(7合目)に到着した。風が強く、先ほどまで暑いと不平をこぼしていたのに、体温を奪われて、寒く感じるほどだった。
左:オトギリソウ 右:ツリガネニンジン
鉾立から八合目避難小屋はすぐだった。9:40小屋前の休憩場所に山の神とザックを下ろした。清潔な水洗トイレを完備しているから、利用している人は多い。到着時には登山者でごった返していて、皆お目当ての冷たい御成清水でのどをうるおしていた。
左:シモツケソウ属 右:アキノキリンソウ
この避難小屋からの登山道はお花畑になっている。ツリガネニンジンをはじめ高山植物のお花が咲き乱れていた。
不動平から砂礫の歩きにくい急登が始まる。しかもガスがたちこめてきて、怪しい天気。あえぎながら登りきり左回りにお鉢巡りに入る。とタイミングが悪すぎることに強風が吹き荒れ始めた。そのうち雨まじりになって踏んだり蹴ったりだ。
左:山頂への道。石仏が点々と続く 右:山頂直下にはコマクサ
本来なら石仏を眺めながらの道なのだろうけど、そんな余裕はなく、ひたすら足を前へと運び、山の神と山頂を目指した。そして10:45やっと山頂に到着。強風をものともせず登ってきた人たちで山頂はにぎわっていた。写真を撮っていると、ついいましがたの雨がウソのように青空が覗いた(冒頭写真)。
変わらず風は強く、長居することなくすぐに山頂を後にした。山頂付近にはコマクサの群落があり、ピンクの花が間隔を空けてポツリポツリと咲いていて、見る人の気分を昂揚させる。
左:こんなところにイワブクロ(誰かさんの登山靴に種がついていたのか) 右:岩手山神社奥宮
風は止むことなく、白いガスが立ち込めたり、さあっと流れたりを繰り返し、あたりの景色をめまぐるしく変えた。石仏の道を進み、最後はお鉢内に下りる道へ入り、岩手山神社奥宮へ出た。
中央のピークが岩手山山頂(薬師岳)
さらに進むと、なんと霊験あらたかな神社のおかげか、奇跡的に晴れ間が出た。なかなかの絶景に山の神と足を停めて景色を堪能した。
八合目避難小屋を見下ろす
再びお鉢巡りコースに戻ると、今度は八合目避難小屋が緑の中にポツンと見える。こんな景色が見られるとは、来た甲斐があったというものだ。
不動平と千俵岩
山頂付近では風が強く昼食どころではなかったが、空腹が募ってきた。不動平でごはんにしようと、一所懸命下り、設置されていたベンチの一角を山の神とともに陣取った。お湯を沸かし、カップめんで腹を満たす。なぜか左右のベンチでもカップめんをすすっていた。
2点とも:露岩地帯の新道を下る
12:15八合目避難小屋へ移動し、トイレに寄ってから下り始める。天気は回復基調で青空が広がり始めた。鉾立からは旧道の露岩地帯に入り、太陽に照り付けられて暑いのなんの。暑いと当然ながら消耗する。しかも足元は悪く、砂礫や浮石だらけ。砂礫のところで足元を掬われた山の神が2度ばかり尻餅をついていて、せせら笑っていたが、なんともっと深刻な事態が自分の身に降りかかってくるとは思わなかった。
ヨレまくっていた足。右足を踏み出した時にバランスを崩して、とっさに踏み出した左足は浮石の上。ああと下のほうの岩へとスローモーションのように落下。見えていた状況からたいしたことにはならないだろうと、とっさに右半身から落ちるように体をひねってばったりと倒れこんだ。結果右ひじをすりむいた程度で済んだ。山の神がだいじょうぶ?と声をかけてくる。ちょっとした打撲程度で済んだのはもっけの幸いだった。心理的なダメージは大きかったが。
その後3合目でぐったりと座り込みというか、へたり込み、体力の低下を実感。暑いなあ、疲れたなあを連発しながら、15:00山の神と這う這うのていで馬返しキャンプ場にたどりついた。
「あおもり犬に会いに行く」につづく
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