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山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

Nスペ「森の王者ツキノワグマ~母と子の知られざる物語」

2017-01-19 | テレビ・映画

思わず見入ってしまった。NHKスペシャル1/15(日)に放送された「森の王者ツキノワグマ~母と子の知られざる物語」。主人公は、もちろんツキノワグマなのだが、それを追いかけたのは、動物カメラマンの横田博(よこた・ひろし)さん。NHKが密着取材を敢行した。

足尾山塊で20年前にたまたまツキノワグマを目撃してから横田さんのツキノワグマ追跡行は始まった。もう一度会いたい、写真を撮りたい、動画に残したいとの一念でただひたすらそれは続いた。主な活動の場は動くものが丸見えの安蘇沢の斜面。格好の観察場となる。

(注:以下ネタばらし)
番組によれば、横田さんの撮影で、研究者も知らなかったツキノワグマの生態が明らかになったようだ。たとえば、「クマはぎ」という行動。ツキノワグマは樹皮をはがす行動をとるのだが、なぜそれをしているのかは解明されていなかった。横田さんのカメラがその行動を捉えていた。ツキノワグマは樹皮をはがして樹液をなめていたのだ。

またこんなシーンもあった。栄養たっぷりのアリのさなぎは、ツキノワグマの大好物。岩をどけて、アリの巣を襲うのだが、横田さんのカメラはとんでもないシーンを映していた。岩をどけるのに夢中になっていた子連れの母グマが、岩を子グマがいるほうに落としてしまったのだ。岩に当たり、斜面を転げ落ちていく子グマ。ダメかと思ったが、意外にこれが強い。滑落がストップすると、子グマは何事もなかったように斜面を登り返していった。

子グマの滑落シーンは衝撃だったけれども、もっと衝撃だったのは、子殺しか。横田さんが次郎と名づけたメスのクマは、自分の連れていた子グマをオスに殺されてしまった。オスは、自らの子孫を残そうと、子グマを殺してメスを発情させるのだ。次郎は、子グマを殺されてたまるものかと、オスに戦いを挑むのだが、やはり体の大きなオスにはかなわない。あっという間に子グマはオスに奪われてしまった。

この次郎と名づけられた1頭のメスのエピソードは続く。2005年にツキノワがよだれかけのように大きな文様を描いている子熊を目にした横田さんは、オスだと思って、勝手に次郎と命名したのがそもそもの始まりだ。その後、その特徴あるツキノワの文様を見つけては、観察し、撮影し、成長を見守ることになる。しかし、番組ラストは、次郎を見つけられずにやきもきし、臍をかむ横田さんの姿を映し出す。見ている私も気をもんだが、次郎がどうなったのかは結局わからずじまいだった。次郎は飼われている生き物ではなく、野生動物だという厳然たる事実が私たちにつきつけられる。

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