目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

大朝日岳&羽黒山~プロローグ・珍道中のはじまり

2016-09-18 | まち歩き

今年の夏休みは、9月3日(土)から9月11日(日)まで。昨年は北海道で雨にたたられたこともあり、晴れの予報が出ている場所に行き先を決めようと山の神と話していた。しかし、、、、待てど暮らせど、どこもかしこも雲と傘マークばかりの予報で、行くところがない。ならば、街歩きと温泉だけでもいいかと、とりあえず水・木・金で山形行きを決めた。

土・日を悶々としながら東京で過ごし、月曜昼の天気予報で、山形に晴れマークが並んだのを見て、テンションは最高潮。明日出発だといったんは決意し、近くのスーパーで買出しをしたものの、夜になって、予報をチェックすると、また変わっている。やっぱり水曜出発だな。うまくいけば、大朝日岳へ1泊2日で行けるだろうし、それがダメでも1日くらいは晴れて、日帰りで月山には登れるだろうと、2パターンの計画書を作成した。

9月7日(水)4:50ポツポツ雨が降る中を、山の神とともに自宅を出発した。車には、1泊2日山行用のデカザックと、日帰り用の小さいザック、着替えやタブレット、本などを入れたバッグ、お茶やスポーツドリンクの2リットルペットボトル3本と食糧の入ったトート、それに登山靴とストックを放り込んでいて、荷物だらけになっていた。今回はキャンプ場や山中でのテント泊の予定はないので、テントはなし。その分スペースがちょっとあるか。

高速に上がると、平日の早朝だけあって、さすがに自家用車は見当たらず、走っているのは、ほとんどがトラックばかりだ。関越に入ると、なんと伊香保・昭和間通行止めと出ている。まだだいぶ先だ。上里SAに入って、まずは腹ごしらえ。熱いコーヒーを買って、月曜に買出しをしていた菓子パンを食べる。食べている間に、通行止めは解除しているだろうと、すっかり忘れていたが、走り出すと、すぐに通行止めの文字が目に留まった。まだか。

結局そのまま渋川・伊香保ICに来てしまった。追い出されて下の道に入ると、恐ろしいほどの渋滞が待っていた。場所によっては、まるで駐車場状態で、走っている時間よりも停まっている時間のほうが長い。忍耐力を試される時間が延々と続き、1時間以上ロスした。昭和ICから関越に上がりなおすころ、ようやく通行止めは解除になった。ETCのゲートをくぐって下り車線に入ると、人類は絶滅したかというくらいガランとしていて、車がまったく見あたらない。しばらく前にも後ろにも走行車両はなかった。

あとから知ったが、このとき沼田地区には、大雨洪水警報が出ていて、実際に水害が発生していた。伊香保ICあたりを走っているときには、もうそれほどの雨量はなかったので、警報が解除になるまで何もしないという、ことなかれ主義としか思えなかったが。

新潟に入り、北陸道を経て日本海東北自動車へ。日本海東北道はまだ完成していないため、途中下の道を走らなければならない。ただ利便性を考えてか、一部区間は無料で開放されていて、その分安上がりになるのはいい。朝日まほろばICから国道7号に下りて、昼食にした。温泉も併設されている道の駅朝日の駐車場は比較的広い。みどりの里食堂で、観光地価格のような高めのメニューから最安のごはんもの、天丼(¥880)をオーダー。山の神はおいしかったというが、新潟の割にはお米の味がいまいちの感じもした。

本日の目的地は、酒田。ナビに土門拳記念館をセットし、道の駅を後にした。

プロローグ・酒田へ続く
大朝日岳・羽黒山Part1~羽黒山2446段を往復へとぶ
大朝日岳・羽黒山Part2~県道289号の恐怖へとぶ
大朝日岳・羽黒山Part3~大朝日小屋までへとぶ

※冒頭の写真は、本文とまったく関係ありません。ピクルス君たち 

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番組こぼれ話もある『日本百名山ひと筆書き』

2016-09-03 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

 『グレートトラバース 日本百名山ひと筆書き』田中陽希(NHK出版)

電子書店のサイトで、山の日特集と銘打ったラインナップの中にこの本を見つけた。NHKの番組は見ていたが、本になっているとは、まったく知らなかった。番組をまったく知らないという人のために概略を説明しよう。アドベンチャーレーサーとして一部に名前を知られていた田中陽希さんが、2014年に深田久弥の日本百名山を、屋久島の宮之浦岳から北海道の利尻山まで、人力で踏破しようという冒険の旅に出た。総距離7200キロ、4月1日から10月26日までという壮大なものになった。その模様を、NHKの取材班が密着取材し、BSプレミアムで放送したのだ。

さっそく読み始めて、番組を見ているときには、これっぽっちも疑問を感じなかったことが気になった。海を渡るときはカヤックを使用し、それ以外は自らの足で、つまり徒歩で移動する、これを「人力で踏破」としていることだ。プロローグに、徒歩にこだわらなくとも、「人力なら自転車でもいいじゃないか」という友人の言葉が出てくる。たしかにその通りだ。徒歩にこだわるなら、海は泳ぐべきではないか。そんなことをいうと怒られそうだが、理屈からいえば、そうなる。まあ、現実的なところで、海はカヤック、そして陸上は、単純に、より困難な方法=「徒歩」を選んだということなんだろう。

この本で印象に残ったのは、映像で見るよりも、足の怪我が深刻だったということだ。足を見てさすっている陽希さんの痛そうな顔を見るよりも、そのものずばりの「痛い」という表現や行間から伝わってくる情報のほうが、より深刻さが伝わった。結果を知っていると、深刻さが薄まってしまうが、現在進行形の文章は重い。にわか応援団、ファンとの付き合い方の困惑ぶりも、映像以上に伝わってきた。しかしそんなファンの中にはポテチの差し入れをしてくれたり、ご飯をおごってくれたり、宿を提供してくれたり、と思わぬ助っ人になった人もいた。そんな人との出会いのエピソードは、思わずこちらも顔がほころんでしまう。旅の醍醐味のひとつは、やはり人との出会いだよね。

また番組スタッフとの距離の置き方なども書かれていて、なるほどなと思う。撮影隊はいつの間にか同志となり、気にかけるようになったとある。基本は一人でひたすら歩き、登るわけだけれども、後から番組スタッフがついて来る、あるいは先行して山頂にいて、撮影に備えるわけだ。撮影隊も長距離移動で苦労は絶えず、移動用に購入した自転車が壊れたという話も出てくる。番組は、微に入り細を穿ち、陽希さんが体験したこと、感じたことをなるべく視聴者に伝えるようにしていた。それが感動のドラマになっていくのだ。

テレビを見た人も、見なかった人も、感動のドラマをどうぞ。

グレートトラバース 日本百名山ひと筆書き
クリエーター情報なし
NHK出版
グレートトラバース DVD全2巻セット【NHKスクエア限定セット】
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NHKエンタープライズ
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