はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

東京遠征10/15。

2006-10-15 23:58:30 | アートなど
昨日にひきつづき、本日10月15日は東京で展覧会3つを観て参りました。

まずは、上野の森美術館で開催中の「ダリ回顧展」。
ものすごく混んでいるらしいとの情報があったため、チケットは上野駅で購入。開館時間の30分以上前から並んで挑みました。いざ開館してみると、ハナから人の群れ。こりゃいかん、と直感し、一緒に来た友人とともに最後の部屋へ先回りし、そこから逆行鑑賞するという暴挙に。結果的にはこれが大正解。3D絵画もゆっくり体験できましたし、一番込み合う2階の部屋もストレスなく観ることができました。しかし、2階から戻ってみると1階はものすごい人人人。幸い、ちょっと引いて見るスペースがあったので、主に持参した単眼鏡での鑑賞となりました。ただし閉口したのが、絵画に覆いかぶさるようにして観てしまう方々。完全に視界を塞いでしまうので、こうなるともう単眼鏡ですら役に立ちません。
今日のような状態が常だとすると、この企画展は総じて、とてもじゃありませんが絵を観るような環境ではないと思います。
そのうえ、ただでさえ混んでいるところに、音声ガイド使用者が加わることで不自然な人溜まりができてしまい、一部はほんとうに目もあてられないような状態でした。話の種に見てみようという方ならまだしも、本当にダリが好きな方は却って行かないほうがいいかもしれません。
宣伝も音声ガイドも意義深いものであることはたしかです。しかし、国立博物館でのプライスコレクション展でも感じたことですが、今回はそれにも増して、宣伝と音声ガイドの功罪を痛感した鑑賞となりました。

さて次に、品川の原美術館で開催中の「アート・スコープ2005/2006」。
概要は説明し難いのですが、要するに、日独のアーティストを2名づつ交換留学させ、その成果を紹介した現代アートの展示会です。
映像あり、プロジェクションあり、立体あり、音楽あり。実に多様な内容でした。
私にとって今回もっとも印象的だったのは、森弘治氏の「美術のための応援」というインスタレーション作品。
応援団が日本特有の文化であることを衝撃的なまでに思い知らせてくれました。
真っ暗な部屋に投影される応援団の姿は、Japanese Art Parformanceとしての個性を確実に発揮していたと思います。
見ていてコンドルズを連想したのはきっと私だけではないでしょう(笑)。
今回の企画展は作品ボリュームの割には少々割高かなという感も否めませんでしたが、そういった不満は「美術のための応援」の衝撃ですべて帳消しにしたいと思います(笑)。

最後に、新宿初台のインターコミュニケーションセンターで開催中の「コネクティング・ワールド」。
ウェブネットワークの中での情報と人間のありようをテーマにした作品が主体の企画展です。
2度目のリベンジでようやく鑑賞が叶いました。
特に印象的だったのがフラッシュを使用したトレーディングデータ可視化作品「Mass (Market as Speed Spectra) 」と吹き替えによるアイデンティティのゆらぎを呈示した「ルイス・ポルカルの穴」。
片や鋭いストロボ光のもたらす質感と心象。片やユーモアあふれる一発芸のような構造。全く方向性の異なる2作品ですが、いずれも、とにかく体験してみないとわからないたぐいの面白さだと思います。

帰りは最終電車。先ほど帰宅。
今も半分寝ぼけているんじゃないかというほどくたくたです。
しかしまあ、かなりの強行軍でしたが、たいへん充実した2日間だったと思います。


東京遠征10/14。

2006-10-15 01:15:51 | アートなど
本日10月14日は、東京で展示会2つと芝居を1ステージ観て参りました。

まずは、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の中村至男+佐藤雅彦「勝手に広告」展。
既存の企業や商品やロゴを使って、それらを使わなければ決して立ち現れないたぐいの表現を追求したシリーズ。扱っているモノがモノだけにまるで広告のような体裁をとってはいますが、つまり、これらの表現の広告としての機能はあくまで副産物的なものなのだそうです。
展示は、表現の生むゆるぎない『世界』を感じられる作品ばかり。
催しに先立って発売されていた書籍の内容を大判で出力したグラフィックが主ですが、撮影に使った素材の実物や、書籍には掲載されていない新作インスタレーションもあって、たっぷり楽しむことができました。
殊に、物理法則をあざやかに活用した「NIKE」の作品が私の心を鷲掴み。毎回微妙に異なる軌跡。厳密なディティールは異なるけれど、目的に沿ったディティールには確実性と普遍性が宿る。数学的にも、物理的にも、表現的にも、とにかく強烈な美しさを感じました。
ところで、私が行った時にはたまたま写真撮影が入っていて、なんだかとても落ち着かない鑑賞でした。
本当は、「NIKE」の作品をもう少し制御できないかもっと何度も実験してみたかったのですが、傍らで写真撮影されているのでバツが悪くて早々に退散。私にしてはずいぶん早めの鑑賞だったと思います。ちょっと残念。

さて次に、東京都写真美術館で開催中の「橋村奉臣[HASHI]展 『一瞬の永遠』&『未来の原風景』」。
特殊なカメラで数十万分の1秒という人間の知覚し得ない一瞬の事象を鮮烈に切り取った写真の数々。一度見たら忘れられないこと請け合い。水が粘性の高い物質だということをあらためて実感させられました。
こちらも行ってみればギャラリートークの真っ最中。
時間の関係で対談そのものは聞けませんでしたが、写真家ご本人からの作品解説を交えたガイドツアーは拝聴することができました。とても貴重な体験。橋村氏は、おおらかでフレンドリーな切れ者といった印象を受けます。

最後に、東京グローブ座で上演中のG2プロデュース「ジェイルブレイカーズ」18時公演。
私は久ヶ沢徹氏を目当てに足を運びましたが、主演が松岡氏とあって会場はジャニーズファンが主。しかし、そのバックグラウンドの違いなど吹き飛ばす力を持ったたいそう楽しい舞台でした。

(途中休筆。また書き足します。)