はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

静止する雨粒。

2007-09-07 23:55:15 | さもないこと
台風のおかげでとても不思議な光景を見ました。

今日滞在していた建物には3角形の中庭がありました。
横長で5階建ての高層棟と、L字型で3階建ての低層棟に囲まれた空間が中庭です。
低層棟各階の廊下は中庭に面していて、窓からその様子を見ることができます。
建物の南側では少し棟が切れているので台風の強風がちょうど中庭へ吹き込んで、木々を大きく揺らしていました。
私は低層棟の3階にいて廊下から中庭を眺めていたのですが、激しい風と雨足を突いて時折ふっと何かキラリと光るものが目に入ることに気付きました。
よ~く見てみると、なんと! それは無数の丸い水の粒。
吹き込んだ強風が低層棟の壁で上昇気流に転じ、その気流に煽られて雨粒や窓枠からの落水が、球形を保ったまま見事に空中に浮かんでいたのです。
(これぞベルヌーイの法則?!)
ふわりと空中にとどまって、しばしたゆたったのち気流が弱まると同時に落下してゆく雨粒たち。
雨粒の静止する空間は予想外に空気がクリアで見通しが良く、さらに雨粒自身も光反射でキラキラしていて、それはそれは美しく不思議な光景でした。
以前、知人の発した『雨の時にもしも時間を止めたならどう見えるか?』というお題について考えていたとき、残像効果がなくなるので何となく見通しが悪くなりそうな気がしていたのですが、今回の体験では、その予想に反して、雨粒の運動が無くなると視界はずいぶんと良くなることがわかりました。
いくつもの意外な事実を提示されたようで、衝撃的かつ感動的な体験でした。
台風の荒れ狂っている時に、他ならぬこの建物にいて外を見ていたからこそ出会えたこの光景。
偶然の神に感謝。


TENORI-ON 基本操作解説映像。

2007-09-05 23:18:42 | アートなど
岩井俊雄さんの「TENORI-ON 開発日誌」からの情報。
全く新しい概念で作られた光の楽器TENORI-ON。
とうとう昨日イギリスで発売されたわけなのですが、その関係で、ヤマハのTENORI-ON開発担当である西堀さんが、製品基本操作を解説している映像がweb上に公開されているようです。
http://www.sonicstate.com/news/shownews.cfm?newsid=5236
とてもわかりやすい解説。
英語ですが、西堀さんが喋っているので聞き取りやすいです。
基本操作だけでもこれだけ多彩な様相を呈しているのがワクワク感を煽ります。
エレクトロプランクトンや、今までの岩井俊雄さんのメディアアート作品に通じる機能が、さらにパワーアップして備わっている感じでしょうか。
まさに、「音と光」と戯れるための楽器なのだなあと思えます。

どうやら英国での発売定価は£599ほどらしいです。
そのまま日本円に換算しても無意味かとは思いますが、価格帯としてはMacBookやiMacくらいでしょうか(笑)。
いずれにせよ、日本での発売が待ち遠しいです。


近藤良平氏ハンコ。

2007-09-05 03:57:38 | お知らせ
ハンコはいろいろと(主にオリジナルのアートハンコを)作っていたのですが、「実録! ハンコ修行」へ上げるのが滞っていた昨今。
フォトアルバム転用では管理が面倒なので、ブログ化して管理しようかとも考えていたところ。
未だ悩み中です。

それはさておき、久々に顔ハンコをつくったのでとりあえずこちらに上げておきます。
モチーフはコンドルズの近藤良平氏。8月30日製作です。
99154kondo01

今回は大きな持ち手つき。
99154kondo02
99154kondo03


近藤氏の顔は特徴的なようでいて、特徴を保ったまま2階調化するのが難しい顔相なので下絵に難儀しました。
もう少し極めてみたい魅惑的モチーフです。


真心ブラザーズ「きみとぼく」PV。

2007-09-05 03:09:45 | アートなど
ユーフラテスと佐藤雅彦氏関連でもうひとつ。
真心ブラザーズの「きみとぼく」PVをユーフラテスの植田美緒(うえ田みお)氏と佐藤雅彦氏が製作したようです。
ユーフラテスの公式記事はこちら↓
http://euphrates.jp/archives/72

佐藤氏のサイトTOPICSの該当ページはこちら↓
http://www.masahicom.com/blog/index.cgi/information/20070903kimitoboku.htm

真心ブラザーズのオフィシャルページには残念ながらPV情報は出ていないようです。
どうしても見たかったので試しに検索してみたところ、「きみとぼく」 「PV」の二語で動画がヒット。
「フレーミー」に見られるような植田さんのほほえましい世界観と、佐藤氏(と佐藤研)特有のラディカルな表現手法がマッチした、なんとも素晴らしい映像です。
見ていてドキドキしっぱなし。
シンプルかつ個性的、なのに伝わる。そして、人間を見つめるほほえましい視線を感じさせる。
曲の調子とあいまって、思わず感動。見ながらちょっと涙してしまいました。
認識の極限を突いてくるような最小限の情報しかないので、これはある意味、人間にしか通じない表現かもしれません。
意味の生成と消失の瞬間を目の当たりにすることで、認知の不思議と、自分の感覚への純粋な驚きを実感することができます。
映像が描く『関係性』への優しいまなざしも好きでたまりません。
PV込みで曲がパッケージ化されてくれれば即買いなのですが・・・。
映像の正式な流通を熱望です。


ユーフラテス公式サイト。

2007-09-05 02:28:48 | アートなど
下のエントリ「笛社会」を書いてからふと思い付いて検索してみたところ、いつの間にやらユーフラテスの公式サイトが立ち上がっていたことに気付きました。
ピタゴラスイッチの「○と△のしゅうだん」の制作者が気になって調べた時には全くヒットしなかったので、サイトができたのは今年に入ってからでしょうか。
いずれにせよ、喜ばしいことです。
なお、ユーフラテスのサイトはこちら↓
http://euphrates.jp/


栗コーダーカルテット「笛社会」。

2007-09-05 02:16:15 | アートなど
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=hazamanoiori-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000P0I854&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
ロックでポップなリコーダーグループ、知る人ぞ知る栗コーダーカルテット。
その新譜「笛社会」をようやく購入しました。
長期出張でナローバンドのネット落ちしていた時期に発売されていたらしいのですが、気付くのが遅れた上、大きなCDショップへの遠征機会を逸していてこんなにも遅くなってしまいました。
今さらながら驚いたのが、ユーフラテスによる「おじいさんの11ヶ月」PVが収録されていたこと。
佐藤匡氏の「反復かつ連続」を元にしたとおぼしき『!』な映像が堪能でき、たいへんにお買い得です。
パッケージデザインもユーフラテス仕様。
CD裏の曲目リスト番号がいかにもなデザインで、思わずニヤリとしてしまいました。
栗コーダーカルテット好きはもちろんのこと、ユーフラテスや佐藤雅彦氏好き、ピタゴラスイッチ好きにはおすすめの一枚です。


池上永一「シャングリ・ラ」。

2007-09-05 01:39:13 | アートなど
いつの間にか出ていた池上永一の単行本「シャングリ・ラ」。
図書館でみかけて借り置きしていたものですが、いざ読みはじめたら止まらない。つい一気読みしてしまいました。

温暖化が進み、炭素排出削減のための炭素経済政策に支配された近未来の地球。強硬な森林化政策により廃墟と化した東京と、その上に建設された巨大階層都市『アトラス』の謎をめぐり、個性豊かで強烈な登場人物たちが織りなす戯画調エピック大活劇。

ナウシカ世界を彷彿とさせるような終末的様相の中のカリスマ少女、嘘をつく者に死をもたらす謎の幼女、天才的頭脳で経済を操る小学生、無敵の美貌オカマ、冷血無比の猟奇的女医・・・・形容しただけで荒唐無稽と評されそうな、アクの強すぎる登場人物たちの存在が、物語世界の中ではごくごく自然に成立している点が特筆すべきところ。
後半などは完全に戯画調。
それでも一定のリアリズムが保持されているのがすごい。
「風車祭(カジマヤー)」や「レキオス」で萌芽の見られた人物原型が、沖縄という地域的枠を離れてさらにブラッシュアップされた感があります。
ミーコの中にギーギーを、小夜子の中に郁子やオルレンショー博士を、モモコや涼子の中にオバァのフジをそこはかとなく感じて懐かしく思ういっぽうで、これらの原型に拘泥しない発展をみせる人物造形に池上永一の持ち味を見た気がして嬉しくなりました。

あとがきで作者本人が述べているように、沖縄人という『外国人』の目で東京を見たその視点がとても意外な作用を生んでいる作品だと思います。
期せずして自分の中の歴史的バイアス、タブーに気付かされたのがある意味衝撃でした。
結末や背景に唾棄すべき感情を覚えたとしたら、それはおそらく見えないタブーによるもの。
外側からの視点を獲得できたなら、これはきっと単なる物語上のネタのひとつに過ぎないと気付くはず。
滑稽諧謔に満ちながら、シリアスなリアリズムも同居し、壮大な妄言を述べつつ読者の日本観を揺さぶってしまう作品かと。
ある意味、大規模な民話ととらえることもできそうな気がします。
池上永一、とんでもない作家だと思います。
これからも目が離せません。

初出情報を見るに、どうやら月刊ニュータイプで連載していたものを単行本化した模様。
後半の矢継ぎ早感は連載による紙面の都合か。
それでも2段組みで594ページもの分量は圧巻。
エンタテインメントとしても申し分無し。
活字好きには文句無くおすすめです。

書誌情報は↓こちら
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=hazamanoiori-22&o=9&p=8&l=as1&asins=404873640X&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>


同作家の「風車祭(カジマヤー)」↓もおすすめ。
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=hazamanoiori-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4167615029&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
(↓うぉっ! 今、調べていたら「風車祭」がマンガ化されているらしい! 画像化なんてできるのか? しかも、あの長大な原作を何巻かけてマンガにするつもりなのか?! 一体どういうことに! 恐い!)
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=hazamanoiori-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4063406067&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>


二女祭、日仏共同製作「あべこべ」。

2007-09-03 02:17:11 | さもないこと
昨日9月2日は、仙台で2つのイベントへ行って参りました。

まずは、宮城県第二女子校等学校の文化祭「二女祭」。
物理部がピタゴラ装置を作っているという情報を某所から教わったので足を運びました。
行ってみれば、佐藤研の装置を核に独自の工夫を加えた装置が3点ほど。
精度調整に泣かされていたようですが、1年生2人だけで作ったことを考えると、かなりの健闘だと思います。
もしも失敗を逆手に取って、装置の動きを支える物理法則と物性由来の誤差の増幅に着目し、『何が理論と現象を分かつのか』や『動きの精度を保つことがいかに大変か』といった事項を前面に押し出した考察がくっつけば素晴らしいプレゼンになっていただろうなあと思えてちょっと残念。
いやしかし、まだ高校1年。
生徒さんたちのお話をうかがうに、科学センスにおいては典型的な「浮きこぼれ」のようでしたので、かなり将来が楽しみです。
活躍を期待。


さて、次に、せんだいメディアテーク1階オープンスクエアで上演されていた日仏共同製作パフォーマンス「A L'ENVERS あべこべ」16時半公演。
金曜のコンドルズ公演のチラシでみかけて気になったので足を運びました。
フランスの演出家ヴァレリー・モアイオンが仙台のアーティストとともに制作する日仏合作の舞台作品とのこと、行ってみれば、かなり抽象的かつ前衛的なパフォーマンスでした。内容は、仙台とリヨンを交錯する一組の男女の体験を6人の身体と映像と小道具によって複層的視点で描いた実験的作品。
「水と油」や「じゅんじゅんサイエンス」的な世界を想像していたので、ちょっと拍子抜け。
実験としては面白いけれど、作品としてはちょっと弱いかな、と僭越ながらそう思ってしまいました。
そういえば、特に面白いなと思ったのが開演前の映像舞台装置。
舞台上にカメラが設置され、それが客席を映していて、その映像がプロジェクタを通して舞台前方スクリーンにリアルタイムで投影されている。しかも、投影映像は左右反転しており、ちょうど巨大な鏡が客席の前にあるような錯覚を起こさせる。しばらくすると、投影映像が時計回りにゆっくりと回転をはじめ、2周ほど回り、やがて止まる。
そう複雑なシステムではないけれど、視覚効果と心理的インパクトは絶大。新鮮な驚きを味わいました。
舞台装置の考案者に拍手。


復活。

2007-09-01 12:19:12 | さもないこと
日曜から金曜までのトータル睡眠時間7時間という怒濤の1週間がようやく終了。
典型的ショートスリーパーの私(基本的に1日4時間眠れればOK)でもさすがにちょっとこたえましたが、今朝の6時間睡眠で復活。
メールボックスがとんでもないことになっているので、これからちまちまお片付けしたいと思います。


コンドルズ「沈黙の夏」。

2007-09-01 12:05:19 | アートなど
昨日8月31日は、仙台電力ホールで上演されていた「コンドルズ日本縦断大轟音ツアー2007 Summer Time Blues ~沈黙の夏~」を見て参りました。

近藤良平氏率いるダンスカンパニー コンドルズ
圧倒的な身体能力を基礎に据え、学ラン姿の男たちが大音響での群舞、笑い、小ネタ、映像、一発芸的表現、寸劇など、何でもありのバカカッコいい舞台を展開します。緩急自在の疾走感あふれるダンスは圧巻。
2005年を皮切りに、通算4回目の仙台公演です。

今回は「沈黙の夏」と銘打つ通り、ほぼ全編にわたって言葉を用いない構成。
身体表現と振り付けの妙、そして、音楽と構成の活きた作品であったかと思います。
「夏」を感じさせる舞台。
そしてかつ、「ああ、夏が終わってゆくなあ」と感じさせる舞台でした。
8月最後の日に演ずるにふさわしい、詩的で叙情性にあふれた作品だと思います。

冒頭で仙台市民の心を見事に鷲掴みし、おおらかな地域性を上手く引き出す手腕には脱帽。
毎度ながらのスタンディングオベーションでしたが、かつてない盛り上がりだったような気がします。
回を重ねるごとに熱狂度合いの高まってゆく仙台公演。
次回が今から楽しみでなりません。