ついにこの日を迎えてしまった。
明石淡路フェリー、通称「たこフェリー」の最後の日である。居ても立ってもいられなかったので、仕事を早上がりして明石FTへ駆けつけた。
仕事から帰る途中、ラジオのニュースで「明石淡路フェリーが運航を終えた」というような言い方をしていたので、しばらく明石淡路フェリー関係のニュースをチェックしていなかった私は「ま、まさか、最終便が前倒しになっていたのか?」と不安になり、JR明石駅からいそいそとFT方面へ小走りで向かう。
すると……。
よかった。まだフェリーの灯は消えていない!
乗り場前は、すでに結構な人だかり。最終便に乗る人たちなのか、最終便を見送る人たちなのか……。
多くの人が記念撮影をしたであろうこのカンバンも、もはや新しい日付が表示されることはないのだ……。
乗船券売場も大勢の人でごった返していたが、券売機は売切にはなっていない。本当に乗船できるのかどうかは分からなかったが、とりあえず購入。乗れなければ乗れないで記念に取っておけばいい。
本来なら17:40明石港出航のはずだが、大幅に遅れている模様。大勢の人が入港を今か、今かと待っている。
乗船待ちの列もこの通り。皆口々に、どうしてこうなってしまったか、について語り合っている。フェリー消滅を惜しむ人、高速道路(橋)に比べて高すぎる、と不満を漏らす人、さまざまである。
18:00を少し過ぎた頃、明石淡路フェリーに唯一残された老雄、あさかぜ丸が入港してきた。狭い港内で鮮やかに回頭し、あっという間に接岸。毎度のことながら驚かされる。
これが最後の乗船券だ。
下船する人や車を見送り……。
いよいよ乗船である。
いつもなら、こんなところでの写真撮影は迷惑になるからしないのだが、今日だけは許してほしい。
乗船口を振り返って1枚。驚くほどのギャラリーの数。ほとんどが見送りの人だかりだったようだ。
上甲板後部では、テレビクルーが機材を据えて陣取っている。いったい今日は海峡を何往復したのだろう。
それにしても、航海中の船の中は、いつもより客が多いことを除いてはまったく普通である。これが最後、という実感などほとんど湧くこともなく岩屋港に到着した。岩屋港では接岸にほとんど時間が掛からないので、まさにあっという間の下船である。
岩屋港でのあさかぜ丸の雄姿。もうここでこの姿を見ることはないのだ。
あさかぜ丸の背景となっている美しい明石海峡大橋の姿が恨めしい……。
多くの人が見守る中、ランプウェイのハッチが閉じてゆく……。
名残を惜しむ暇すら与えぬほどの速度で、ランプウェイが閉ざされる。そんなに急がなくとも良いのに。
出航準備完了の掛け声が聞こえる。いよいよお別れなのだ。
汽笛、汽笛、汽笛、汽笛……。
汽笛の音がこんなにも胸をかきむしるなんて……。海辺で育ち、数えきれぬほど汽笛を聞いてきたはずなのに。
こんなに哀しげな汽笛は初めてだ。思わず涙がこぼれそうになる。
ふと船を見ると……。
船長が笑顔で手を振る。
「ありがとう、ありがとう」と。
船が遠ざかってゆく。
ありがとう、そして、サヨナラ、明石淡路フェリー……。
明石淡路フェリー、通称「たこフェリー」の最後の日である。居ても立ってもいられなかったので、仕事を早上がりして明石FTへ駆けつけた。
仕事から帰る途中、ラジオのニュースで「明石淡路フェリーが運航を終えた」というような言い方をしていたので、しばらく明石淡路フェリー関係のニュースをチェックしていなかった私は「ま、まさか、最終便が前倒しになっていたのか?」と不安になり、JR明石駅からいそいそとFT方面へ小走りで向かう。
すると……。
よかった。まだフェリーの灯は消えていない!
乗り場前は、すでに結構な人だかり。最終便に乗る人たちなのか、最終便を見送る人たちなのか……。
多くの人が記念撮影をしたであろうこのカンバンも、もはや新しい日付が表示されることはないのだ……。
乗船券売場も大勢の人でごった返していたが、券売機は売切にはなっていない。本当に乗船できるのかどうかは分からなかったが、とりあえず購入。乗れなければ乗れないで記念に取っておけばいい。
本来なら17:40明石港出航のはずだが、大幅に遅れている模様。大勢の人が入港を今か、今かと待っている。
乗船待ちの列もこの通り。皆口々に、どうしてこうなってしまったか、について語り合っている。フェリー消滅を惜しむ人、高速道路(橋)に比べて高すぎる、と不満を漏らす人、さまざまである。
18:00を少し過ぎた頃、明石淡路フェリーに唯一残された老雄、あさかぜ丸が入港してきた。狭い港内で鮮やかに回頭し、あっという間に接岸。毎度のことながら驚かされる。
これが最後の乗船券だ。
下船する人や車を見送り……。
いよいよ乗船である。
いつもなら、こんなところでの写真撮影は迷惑になるからしないのだが、今日だけは許してほしい。
乗船口を振り返って1枚。驚くほどのギャラリーの数。ほとんどが見送りの人だかりだったようだ。
上甲板後部では、テレビクルーが機材を据えて陣取っている。いったい今日は海峡を何往復したのだろう。
それにしても、航海中の船の中は、いつもより客が多いことを除いてはまったく普通である。これが最後、という実感などほとんど湧くこともなく岩屋港に到着した。岩屋港では接岸にほとんど時間が掛からないので、まさにあっという間の下船である。
岩屋港でのあさかぜ丸の雄姿。もうここでこの姿を見ることはないのだ。
あさかぜ丸の背景となっている美しい明石海峡大橋の姿が恨めしい……。
多くの人が見守る中、ランプウェイのハッチが閉じてゆく……。
名残を惜しむ暇すら与えぬほどの速度で、ランプウェイが閉ざされる。そんなに急がなくとも良いのに。
出航準備完了の掛け声が聞こえる。いよいよお別れなのだ。
汽笛、汽笛、汽笛、汽笛……。
汽笛の音がこんなにも胸をかきむしるなんて……。海辺で育ち、数えきれぬほど汽笛を聞いてきたはずなのに。
こんなに哀しげな汽笛は初めてだ。思わず涙がこぼれそうになる。
ふと船を見ると……。
船長が笑顔で手を振る。
「ありがとう、ありがとう」と。
船が遠ざかってゆく。
ありがとう、そして、サヨナラ、明石淡路フェリー……。