携帯電話で頭を下げて謝る行為とは
先日、地下鉄のホームで電車を待っている時、不思議な光景を目にした。
携帯電話で話しながら、必死に謝っている30代くらいの男性。
「すみませんでした。申し訳ございませんでした」と、何度も言っていた。
ハンカチで額を押さえながら、頭を大きく下げて、謝っていた。
客観的に見ると滑稽な光景である。
携帯電話だから、頭を下げて謝っても相手には見えるはずがない。
おそらく本人も無意識のうちに、そうしているのだろう。
しかし、頭を下げる様子は、携帯電話で話している相手には見えなくても、誠意は伝わると思った。
頭を下げたり腰を曲げたりすれば、自然と声のイントネーションに、気持ちが表れる、
聞いている相手も、相手が頭を下げている様子が、目に浮かんでいることだと思った。
傍から見ると滑稽な姿だが、人としては実直で誠意のある方のように僕には見えた。
無意識に出る言動は、たとえ直面してなくても、人間性は伝わるものだとその時僕は思った。