不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Gentiluomo rapresenta l'Italia

2007-03-27 06:42:54 | アート・文化

フィレンツェのピッティ宮殿内の
パラティーナ美術館(アポロの間)に所蔵される
ティツィアーノ(Tiziano)の作品。
「Il ritratto del Giovane Inglese(若き英国紳士の肖像)」。
ゆったりした黒い上着を纏い、右手に手袋を持つ男性像。
その体躯に比べて非常に小さな引き締まった顔。

Gentiluomo (画像はANSAより拝借)

ティツィアーノがローマへの旅を終えて
彼なりのマニエリズムのスタイルを確立した後の
代表的作品のひとつ。

つぶらな青緑の瞳が特徴的で、
時に「青緑の瞳の紳士の肖像」とも呼ばれる作品。
肖像画のモデルは未だ明らかになっていませんが
グレーの背景に黒の衣装をベースにした
落ち着いたトーンの中に
輝くような青緑の瞳が非常に印象的。
この瞳に恋をした女性からピッティ宮殿付けで
彼宛にラブレターが届いたという逸話も残っている傑作です。

1957年3月にローマで調印された協定。
ヨーロッパ共同体の母体が誕生してから50年。
これを記念して「ヨーロッパ芸術の傑作展」が
ローマのクィリナーレ宮殿(Palazzo Quirinale)で開催中。
ヨーロッパ共同体を構成する27カ国を象徴する作品を
集めた展示になっていますが
その中でイタリアを象徴しているのが、
このティツィアーノの「英国紳士」。
他にはデューラー、ヴェラスケス、ロダンなどの作品が
展示されています。
ヨーロッパの象徴として「ヨーロッパの略奪」を表す
「アステアスの壷(Vaso di Asteas)」も
28点目の作品として出展されています。

各国の歴史を象徴する作品ということで
それぞれ選ばれた27点の芸術作品。
前史時代のものから近現代美術に至るまで、
それぞれの国を代表する作品とともに
ローマ協定のオリジナルも見ることができる展覧会。

ミケランジェロでもなくレオナルドでもなく
ヴェネツィア・ルネッサンス&マニエリズムを代表する
ティツィアーノの「英国紳士の肖像」が選ばれた理由が
いまひとつ私にはわからない。
その理由を探るためにも
是非足を運んでみたいと思う展覧会です。

Capolavori dell'arte europea
会場:Salone dei Corazzieri del Palazzo del Quirinale
会期:2007年3月24日から2007年5月20日
開館時間:月曜から土曜 9:30-13:30,15:30-19:00
         日曜 8:30-11:00
入場料:月曜から土曜は入場無料、
      日曜は宮殿見学も含め5,00ユーロ

logo_albero4 banner_01