天におられる愛する御母エホバよ。今日(1月7日)の午後9時前から午後11時過ぎの間に、わたしに起きたことを、そのすべてをあなたは御存知で在られる。
何故ならあなたは全宇宙を、全世界を支配される真の神で在られるからである。
あなたに勝る愛はなく、あなたに勝る光もなく、あなたに勝る真もありません。
何処を探しても、それは見つからないのです。
あなたは今夜わたしに与えられた受難を、ずっとずっと天から何よりあたたかいまなざしで見護っておられた。
わたしはそれを知っています。だから何も…わたしは恐れなかった。
身体と心のすべては震えても、魂は、震えて、怯えてはいなかった。
それはあなたが側にいてくださったからです。
わたしは今日の集会のあと、とうとう初めて二ヶ月経たない内に、チェルシー姉妹とチェルシー兄弟から、聖書レッスン(聖書研究)を一旦、中断すると言われました。
わたしがチェルシー姉妹に送ったメールが原因です。
チェルシー姉妹は、ここ2日寝ていないと言っておられました。長い髪を短く切っておられて、風邪を引いたのか、マスクもしておられました。
5日の夜にチェルシー姉妹に送ったメール
傷つける言葉があれば、ごめんなさい。
わたしは自分の問いを、自分のなかだけに押し込みつづけて聖書を学びつづけてゆくことに耐えられません。
わたしは今でもエホバへの葛藤が苦しくて、安心できる時がありません。
昨日は集会のあと、寒くてもお尻が痛くても何時間と王国会館が閉まるまで一人で勉強するつもりだったのですが、アダイク兄弟は(王国会館を閉めるまで結構時間がある)と言いながら、15分も経たない内に早くに帰されてしまいました。
多分、残るのが兄弟たちだけになるので、女性のわたしがそのなかに一人でいるのは駄目だとアイスハグ兄弟とかに言われたのかもしれません。
わたしはこのままでは一向に聖書を読み進めることもできません。
アイスハグ兄弟に聖書を一緒に読んでほしいと手紙に書きましたが、女性には姉妹が教える規則だからと断られました。
わたしはこのままでは50年経ってもエホバの証人になれそうにもありません。
話は変わりますが、今日「偉大な生涯の物語」というイエスの生涯を描いた映画を観ました。
そのなかで、とても気になったイエスの言葉がありました。
「我、慈しみを求む 生贄に非ず
神の知識を求む 捧げ物に非ず
我は決して 雄牛、羊、山羊の血を喜ばぬ」
劇中のなかで、イエスは神殿を汚されたことに怒り暴れながらこう叫んでいました。
わたしは今聖書で最も関心の深い事柄は「犠牲」というものです。
これは動物も、イエスも、またイエスの道を歩む人間の犠牲すべてに関するものに対してです。
わたしはこの世から、とにかく生命全ての耐え難い苦しみ(地獄的で拷問的な苦痛)をなくしたいと願っている人間なので、これに最も関心を持っています。
こういった問いの全てを、わたしはアイスハグ兄弟にすべてしてゆくつもりだったのですが、アイスハグ兄弟に断られた為に、チェルシー姉妹しか、問いに答えて戴ける存在がいなくなってしまいました。
アイオス兄弟は手紙を受け取ると言ってくださいましたが、アイオス兄弟は男性である為(愛している人とは違う異性である為)、手紙をいちいち渡して、その返事を頂いたりしていると、色々とややこしいことにならないかと不安です。
わたしはずっとずっと、エホバが何故、動物の生贄(動物に地獄の苦痛を味わわせること)を求めるのか甚だ疑問でしたが、エホバがそれを求めても、どうやらイエスはそれを求めてはおらず、イエスとエホバは、その点で大きく違う考えを持っているようです。
わたしは動物を犠牲にするエホバを、どうしても受け容れたくないようです。
神に助けを請うことすら叶わぬ弱い存在である動物を犠牲にするくらいなら、人間が犠牲になったほうがマシです。
でもイエスは、動物の犠牲を喜ばず、その代わりに自分を犠牲に捧げました。
わたしもそうでありたいと感じます。
何故、そんなにも事務的なお返事なのですか?
わたしはチェルシー姉妹のお言葉でお返事を戴きたいのです。
冊子にあらかじめ誰かがまとめた答えを求めているのではありません。
人間が勝手に考えた答えであるので、そこに聖書の確実な答えがあるわけではありません。
チェルシー姉妹がわたしと同じ未熟な研究生だったならば、同じ気持ちに傷ついたのではないでしょうか?
わたしは母のように、教えて戴きたいのです。
子どもが苦しんで切実に問い掛けているのに、何の返事もせずに、無言でものみの塔一冊だけ差し出す母親がどこにいるでしょうか?
前に自分の苦しみを綴った長いメールを送りましたが、そのお返事も未だ一つも戴けていません。
わたしはチェルシー姉妹がしてくださっていることに感謝していますが、してくださらないことがわたしをあんまり傷つけるので、もうこのようなわたしの精神が不安定になるほど冷たいお返事しか戴けないならば、これからはアイオス兄弟にだけ、自分の問いをぶつけようと想います。
互いに傷つくだけです。
エホバやイエスならば、そこに用意されている冊子一つを子どもに渡すだけでなく、こう言ったはずです。
「わたしとあなたで、一緒に考えましょう。」
そして今日の午後の11時前に、こうメールを送りました。
さっき訪問看護師のチャーミーさんとうちでお話を聴いて戴きました。
それで、チェルシー姉妹に謝罪しなくてはという気持ちにようやくなれました。
またチェルシー姉妹を大変傷つけるメールを送ってしまい、ごめんなさい…
わたしは家に帰ると人格が変わってしまうようです。
まるで悪霊に取り憑かれているかのように悲憤で何も見えなくなってしまい、自制することが困難です。
これからすべてのエホバへの葛藤をブログに書いて行きます。
それはわたしの母への葛藤です。
わたしのこの苦しみを、エホバの証人ではなく、エホバと母にぶつける必要があるのだとわかりました。
それで、なんとか耐えて行けたらと願っています。
返事はなく、今日の集会を、チェルシー姉妹は休んでおられました。
わたしは心配で集会の終わった瞬間に後ろを振り向くと、そこにチェルシー兄弟(チェルシー姉妹の御主人であられ、長老である)と目が合い、チェルシー兄弟は「ちょっと良いですか。」とわたしを階下へ導きました。
するとそこに、チェルシー姉妹が、立っておられました。
チェルシー姉妹は、わたしに、最初に謝られました。
上田さんが深く傷ついているのに、気付いてあげられなくてごめんね…。
わたしは、首を振りました。
あまり記憶にないのですが、確かチェルシー姉妹は、悔しくて、悲しいけれど、「互いの為に」、聖書レッスンを一度、中断したいと仰られました。
わたしは承諾し、最後にチェルシー姉妹に「傷つけてしまって、ごめんなさい。」と、絶望のなかに謝りました。
チェルシー姉妹は、「傷ついてはいない」と、
あの日のアイスハグ兄弟と、同じことを言われました。
傷ついていないのに、二日間眠れないことはあるのでしょうか。エホバ。
わたしは何処かで、彼らの信仰を脅かすことのできる言葉を持っていると、信じているのです。
例え傷ついても、彼らはこう言うでしょう。
わたしは傷ついてなどいない。(あなたの言葉によって、揺るぎるような信仰ではありません。)
でもわたしは、彼らを救いたいのです。
わたしも揺るぎぬ信仰に、生きている人間であるからです。
すべての存在を、あたたかい愛のうちに救いだすわたしの神エホバよ。
あなたへの信仰は、何者にも、揺るがせることはできません。
わたしは、わたしをその場に置いて、チェルシー姉妹とチェルシー兄弟が、上の階へ戻られたあと、多分一時間近く、一人でそこで待っていました。
途中、わたしのあまりに重い鞄だけを、チェルシー兄弟は持ってきてくださいました。
それで上着はまだ上にあると言ったはずなのですが、一向に、上着は持って降りてきてはくださらず、わたしはわたしの罪の為に、みずからの重い鞄を持って、立ち尽くしていなくてはなりませんでした。
それで、わたしはずっと一人で、絶望しながらも、エホバに祈りました。
エホバよ、わたしにまた本当に深い悲しみと苦しみをお与えくださり、心から感謝します。
そして、心の暗闇のなかで考えていました。
わたしはこれからどうすれば良いのだろう。チェルシー姉妹は、わたしが集会に来たければ、自由にこれからも来て良いと言った。
だが、わたしは家で一人で聖書を開く気になれず、ただ集会だけに参加し続けることに、どういう意味があるのか?
わたしは切実に、
大晦日の夜のように、アイオス兄弟が、わたしにまた救いとなる聖句を示してはくれないだろうかと、願いました。
わたしは、あの夜のアイオス兄弟の聖書による助言をまったく無視して、このような結果となってしまったわけですが、それでも、何か、何か、ないか?ないだろうか?今のわたしが、気を取り直して、強い心でこれからも集会に足を運びつづけ、たった一人で聖書を学びつづけられることの助けとなる聖句が…。
なので、わたしは、誰か、アイオス兄弟と話がしたいと告げられそうな人が降りてきたら、それを言うつもりで、ずっと待っていた。
だが不運なことに、わたしの前に降りてきたのは、長老のアダイク兄弟と、長老のオークアン兄弟であった。
しかも、ふたりとも、借金を回収しにきたスーツ姿のヤクザみたいな感じで、わたしの前に、立ちはだかった。
ものすごいショックのなかで、もう門を閉めるからお帰りください。とすっごく冷たい表情で優しく言われて、わたしはアイオス兄弟とお話がしたいのだと言った。
何をお話したいのですかと、アダイク兄弟が、奥に闇黒さを秘めているようないつもの笑顔で問うた。
わたしは俯きながらチェルシー姉妹に、聖書レッスンを中断されたことで苦しくて、アイオス兄弟に、こないだみたいに、助言の聖句を、戴きたいのです。と答えた。
だが、女性に兄弟が個人的に…関わることは…禁じられている…などとなんやかんやと規則だからと、しつこく断られた。
どうしても、わたしをアイオス兄弟に会わせたくないようだった。
それでもわたしは、引かなかった。
この会衆で、一番に嫌らしい笑顔を持つオークアン兄弟が上に戻り、代わりにチェルシー兄弟が降りてきた。
二人も、決して引かなかった。なにがなんでも、とにかくわたしを帰らせようと、考えを曲げなかった。
わたしはとうとう、二人に向かって、叫んだ。
あなたたちは、わたしをただ早く帰らせたくて困っているだけだが、わたしは死ぬかもしれない苦しみのなかで、必死に救いを求めているのです。
あなたたちには家に帰れば家族も、信仰もあるが、わたしにはだれひとり、いないのです。
わたしはこのまま帰れば飲んだくれて、そのうち早死するだろうが、あなたたちは、それをなんとも想わないのでしょう。
あなたたちには、愛はないが、アイオス兄弟には愛がある。あなたたちはどの聖句をわたしに示しても、あなたたちに愛がないためにわたしは救われないが、アイオス兄弟は、きっとわたしを救う聖句を示してくださいます。
あなたたちはわたしの願いを聴いてくれないのに、なんで自分の願いを聴いてもらおうと想っているのか。
それで、どんなに苦しくて助言が欲しいときれぎれの苦しみを訴えても、今の上田さんは病気だから苦しくて、わたしたちは精神科医ではないから、どうすることもできないと言われ、ドアを開け放ち、お帰りください。と何度と促された。
わたしは、絶対にアイオス兄弟の御言葉を聴くまでは、帰るかと、拒み続けた。
上の階に、上がろうとしたら身体で制され、どんなに押しても、チェルシー兄弟の身体の壁を退けられなかった。
わたしは左の壁に凭れかかり、咽び泣き出した。
それで、どうしても帰って戴けないならば、連絡するところに、連絡しなくてはならないと言われた。
わたしはどこですか。と訊ねた。
答えては貰えず、予想の着いたわたしは、「呼んでください。」と言った。
それで、アダイク兄弟も上に上がられて、チェルシー兄弟と、壁に凭れ掛かって目を瞑っているわたしだけが残された。
わたしはずっとずっと、きっと今にも、アイオス兄弟が、わたしを助けに来てくださると信じつづけた。
そしてふと、目を開け、イエスが、とチェルシー兄弟に話し掛けた。
イエスが…
チェルシー兄弟は、とても悲しく優しげな顔でわたしの目を見つめた。
イエスが…此処に居たなら、どうしてくれていたのでしょうね。
わたしは疲れ切った顔で笑って言った。
「同じように、わたしを帰されたのでしょうか。」
チェルシー兄弟は、頷いて悲しそうに、こう言った。
「でもイエスは、今此処にはいないのです…」
わたしは悲しくて、静かに泣いた。
少しして、アドイク兄弟と、オークアン兄弟がまた降りてきて、また何度と、言われた。
どうかお帰りください。じゃないと、本当に連絡します。
わたしはその場を、首を振りながら、動かなかった。
すると、力ずくで、アドイク兄弟とオークアン兄弟は、わたしをドアの外へ出そうとわたしを身体を動かそうとしたので、オークアン兄弟を観て、わたしは、咄嗟に言った。
「オークアン兄弟、怖い…!」
それは、最近、ちょっとオークアン兄弟の講演を聴きながら想っていたことだったので、言えて少しすっきりして、嬉しかった。
言い方が、まるで幼女が言うみたいな感じだったので、自分でも可愛いと感じた。
それで、どうしてもわたしが動こうとしない為、オークアン兄弟が、「では呼びます。」と冷たく言って、携帯で連絡をされた。
わたしはまた壁に寄り添いながら目を瞑って震えていた。
それで、ふと目を開けると、目の前の階段に、誰も居ないことに気づき、こう叫びながら、その階段を走って登って行った。
「アイオス兄弟!わたしに御言葉をください!アイオス兄弟!アイオス兄弟!」
階中に、響き渡るほどの声で、絶対に届くと信じて、「上田さん!駄目です!降りてください!!」と後ろから追いかけて兄弟たちが登ってくるのを、必死に階段を駆け上がった。
4階の、会衆の王国会館のドアが閉まっていて、ドアの向こうは、真っ暗闇だった。それでも、わたしは開けようと鍵の締まったドアを、ガタガタ言わせた。
後ろから追いついた兄弟たちが、「もうアイオス兄弟は、帰られましたよ。」と言った。
わたしは、磨りガラスの重い締まったドアの前に、突っ伏し、啜り泣き始めた。
「アイオス兄弟はとっくに帰られたので、今日はお話はできないんですよ。下へ降りましょう。」
兄弟たちが動かないで泣いているわたしに向かってそう言っているその間に、パトカーは到着し、男性の警官たちが何名も、上の階へ上がってきて、各々に、わたしに声をかけた。
それでも、わたしは「アイオス兄弟と話がしたいのです…」と希った。
警官たちはわたしに言った。
「でもその人はもう帰ってもうたゆうてますやんか。明日も此処開いてますん?うん。明日も開いているみたいやから、また明日此処に来られたらええですやんか。」
「それに、こういうことしたら、もう拒否されてもうて、此処にほんまに来れんくなってまいますよ。会いたいんでしょう?その人に…。ほな今日は、もう帰りましょう。」
そう説得されても、わたしはなかなか、動けなかった。
でも、何分か経って、もう此処でこうしてても、今日はアイオス兄弟に会えないんだとようやくわかって、素直に、わたしは振り向いて、警官たちの顔を、眺め渡した。わたしの前に三人いて、後ろにも数名、兄弟と並んでいるようだった。
年齢は様々だが、善良な顔の警官たちに見えた。彼らは、どの兄弟たちよりも、わたしに優しかった。
わたしは、警官たちと、兄弟たちのなかに、アイスハグ兄弟が、エレベーターの前に立っておられるのを観た。
咄嗟に、気が抜けた声で言った。
「あれ、アイスハグ兄弟がいる。」
もう帰られたと想ってたから、嬉しかった。愛するアイスハグ兄弟が、わたしの今の受難の場にいる…!
それで、わたしはアイスハグ兄弟の元へ、
「アイスハグ兄弟!わたしに御言葉をください!救いの言葉を言ってください。」と叫ぶように話し掛けながら警官たちに止められながら向かって、その真ん前に、ものすごい近距離に立ちはだかって、彼に向かって言った。
「エホバは…本当は、だれひとり、滅ぼさないと考えているのでしょう…?自分に、逆らう存在を滅ぼしてしまうなんて、本当は考えてはいないんでしょう…?わたしは…そう信じています。」
アイオス兄弟は、冷たく疲れたお顔で、いつもの笑顔はなく、わたしを互いの毛穴の全てが見えるほどの近距離から見てこのようなことを答えられた。
「エホバの預言は、必ずエホバが成就させる為のものとして、聖書にあります。それが、覆ることはありません。」
わたしは悲しい笑顔で、笑って言った。
「アイスハグ兄弟、でも言っておられたではないですか、エホバは、御自分を喜ばせる者の祈りの全てを、聴いてくださる御方なのだと。わたしが、だれひとり滅ぼさないで欲しいとエホバに祈りつづけて、わたしがエホバに喜ばれる人間となるのなら、エホバは、その祈りを聴いてくださり、わたしの願い通りに、だれひとり、すべての存在が滅ぼされないようになるのですよね?」
アイスハグ兄弟も、悲しく、ほんの少し、わたしを見つめて微笑まれたように感じた。(いや、アイスハグ兄弟は、この日一瞬たりとも微笑まれはしなかった。これはわたしの願いが、記憶を塗り替えてしまっているのだろう。)
そして、アイスハグ兄弟は、首を、横に振られた。
それで、同じようなことを返事した。どのような祈りを捧げようとも、エホバの預言は、絶対であるのだと。
わたしは、聖書はいくつも改竄されているのだとアイスハグ兄弟に向かって言った。
だから、聖書のその預言が、間違っているのだと。エホバは本当は、だれひとり滅ぼそうとなんて、お考えではないのです。と。
そして、こう言った。
「アイスハグ兄弟、どうかわたしと一緒に、祈り続けてください。エホバに、だれひとり滅ぼさないでくださいと。」
アイスハグ兄弟は黙り込んでしまったので、わたしはさらに言った。
「わたしが滅ぼされても、アイスハグ兄弟は楽園で永遠に幸福に生きるのでしょう?…そうでしょう?…そうなんでしょう?」
アイスハグ兄弟は、近距離からわたしの目を見詰めたり目を逸らしたりしながら返事に困られ、わたしは警官たちと兄弟たちによって、とにかく下へ降りましょうと、アイスハグ兄弟から、離された。
わたしと警官三人が、エレベーターに乗って、下へ降りた。
そのときに、一人の優しい顔の40代後半くらいの警官が、わたしに向かって、穏やかな声で言った。
「誰も滅ぼされたりなんかしませんよ。そら、どの神さんを信じるかは人の自由ですよ?(笑)でも、滅びたりなんか、しませんて。」
わたしは彼の言葉に酷く癒やされ、頷いた。
わたしたちは王国会館を出て、二車線の道路の端にパトカーが止まっていて、その前でわたしは氏名と住所と生年月日と電話番号と、現在無職で生活保護を受けていることを訊かれて伝えた。
自分の人生のなかで、何度目に当たるかも想出せないほど、慣れたことだった。
わたしがコートをずっと持って震えているので、警官たちが、「震えてるやんか、コート着てください。」と言って、わたしは王国会館の門を閉める作業をしているアイスハグ兄弟を見つめながらコートを着て、マフラーを巻いた。
もう帰りましょう。と何度と6名以上いる男性の警官たちに言われ、警官たちに取り囲まれながら、わたしはそれでもずっと、愛するアイスハグ兄弟の姿を、目で追っていた。
それで、わたしは警官たちに取り囲まれるなか、門の外へ出て兄弟たちと集まって話されたりしているアイスハグ兄弟に向かって叫んだ。
「アイスハグ兄弟!わたしがいたら、楽園ではないので、わたしが滅びることを祈ってください!」
「どうか、わたしが滅ぼされることを祈ってください。」
アイスハグ兄弟は、その言葉を聴いたが、なにものも、わたしに返さなかった。
少しの時間が経ち、兄弟たちに向かって、警官たちが、お帰りくださいと促し、長老の兄弟たちは散り散りとなって、帰って行かれたが、最後に、それまでずっと意識的にわたしの顔を見ないように目をそらし続けていたアイスハグ兄弟が最後に一人残って、見つめるわたしに向かって、深く頭を下げた後、振り返って帰ってゆかれた。
わたしは、わたしから離れ、ひとりで歩いてゆくアイスハグ兄弟の後ろ姿を、ずっとずっと、向こうの方の、角を曲がって姿が見えなくなるまで、見送っていた。
涙が浮かんでも、もうどうすることもできない、後戻りのできない悲しみのなかで、もう二度と、会えないかもしれないその愛おしい姿を、目に焼きつける為に。
アイスハグ兄弟が、どうか真の意味で救われるように、どうか、わたしと同じ祈りを、祈り続けられる日が来るようにと、切に、潜在意識で祈りながら。
わたしはアイスハグ兄弟が最早、自分の見える世界から、いなくなったので、此処にいる必要はもうなく、警官たちに、頭を下げて、とぼとぼと、俯いて王国会館から、去って行き、だれもいないわたしの家に向かって、帰る道を歩み始めた。
この今日のすべての苦しみは、わたしのわたしへの預言を、成就させる為であるとエホバは御存知で在られ、こうして、その預言は、幾人もの苦しみと悲しみのなかに、今夜、成就された。
それは、他のだれでもなく、わたしの神、また母であるエホバの、終りなき、愛故である。