あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第七章

2020-01-10 20:21:48 | 随筆(小説)
没しつづける海の波に流され、わたしの湊へ降り立った小さな木の葉。エホバ。
わたしは今でも、のことを想い、悲しみの果てに連れ去られるのです。
愛しい彼が、殺されるまえに見た夢のなかにわたしは現れ、彼に向かって手を差し伸べ、わたしはこう言うのです。
「わたしと共に、逃げましょう。あなたの罪は、赦された。もう…もうあなたは実際に経験しなくとも良いのです。未来に生きるわたしたちすべてが、あなたの経験を追体験し、罪は贖われた。わたしたちは無数の次元に同時に生きていて、自分の本当に望む世界へ、自由に移動することができる。あなたはもう、この先起こり得ることを経験せずとも、先へ進むことができるようになった。わたしはあなたを救いに、未来から遣って来た。此処から、わたしと一緒に逃げましょう。」
彼は夢のなかで、わたしの前で、座り込んで項垂れている。
そして乾いた口元を開いて、息のような声で答える。
「その世界は…真に素晴らしく、ぼくはまるで、何も知らない幼なごのように、夕陽に反射されたぼくらの家の前で、愛する家族と共に、ぼくは微笑んでいる。でも…今ぼくは、ぼくは、今、みずからの罪を、みずからの手によって、報わなければならない。ぼくの罪は、だれにも、代わりに贖うことはできない。ぼくはもうすぐ、醜い肉塊と化すが、魂は、きっと、安らかでいるだろう。神が、行くべき処へ、ぼくを導いてくださいます。何も心配しないでください。無事に成就することを、どうか祈ってください。」
彼のまえには、いつの間にかイエスが立っている。
そしてわたしの目にまえに二人のメシアがいることをわたしは知るが、イエスは、彼を見つめ、涙を流されている。
イエスは、終りのない涙を、ひとりで流されている。
まるですべての存在が、いつの日かこの彼と同じ言葉をイエスに向かって言う日を、知っているかのように。
どれくらいの時間、イエスは彼のまえで泣いていただろう。
しかしやっと、イエスは彼に向かって言った。
「あなたの真に望む死と、あなたの真に求む受難をあなたに与えん。」
そして、イエスは天へと、寂しげな後ろ姿で帰られた。
わたしは夢から醒め、この悲しみに、神に感謝を捧げた。
エホバよ。果てのない世界を創造されたわたしの愛、エホバよ。
あなたはすべてを悲しみ、すべてを求められる。
すべてが永遠で在る為に。


















愛と悪 第六章

2020-01-10 16:50:20 | 随筆(小説)
蒼穹の壁のなかの閉じられた真っ白なドア、わたしの神エホバ。
どうかわたしの罪を、御赦しください。
あなたの光は、人を善と悪に、分け隔てられない。
あなたの御国で、ひとり残らずあなたは同じ愛で、包み込む。
あなたの御国が、早く訪れんことを。
そしてわたしは、ホサナを通し、エホバに言った。
わたしはあなたに背いたアダムとエバの気持ちがわかります。
あなたが創り上げた完全なる楽園、エデンの園が、退屈に感じたからです。
わたしは喜びのなかにいるとき、退屈さを感じている。
だから苦しみを得る為に、喜びをいとも容易く売ったのです。
あのとき、わたしの耳元でサタンがこう囁きました。
あなたの本当に欲しいものは、エホバの証人と善き関係を保ちつづけ、バプテスマを受けてアイスハグ兄弟の妻となることではありません。
あなたの本当に欲しいものは、あなたがすべてのエホバの証人から見捨てられること、あなたがあなたの母から、見離されること、即ちあなたの真に欲するものとは、あなたにとっての真の絶望である。あなたを真に輝かせるものは、真の悲しみである。
わたしの第三の目はあのときも、今でも、ときめきに輝きつづけています。
わたしはサタンに、わたしのすべての幸福を売りました。
アイスハグ兄弟を想って自分を慰みても、それはそれは寂しく、虚しきものです。
わたしの永遠の夫は天におられるわたしの御父であり御母であられるエホバ、あなただからです。
わたしの恋をする全ての存在が、あなたの幻影でしかありません。
彼らはあなたの光で照らされなければ、そこには何もありません。
影ひとつ、そこには存在しないのです。
燃え尽きた塵ひとつさえも、ありません。
わたしはあなたへの永遠の恋なくして、誰をも愛せません。
あなたは…わたしの父であり、わたしの母であり、わたしのСноw Wхитеであり、わたしのフトドキモノであり、わたしのモヤシノヨウナイタメモノであり、そして…わたしのみちたではありませんか…?
そのすべての名を持つあなたのドアが、通路の右側にあり、左側には、わたしを妻として待つアイスハグ兄弟がなかにいるドアがわたしの目のまえにあります。
わたしは迷わず、右のあなたのいるドアをノックし、あなたと、わたしは結婚します。
そしてそのドアは、今のわたしの部屋のドアです。
今わたしは、あなたの家のなかにいて、これを打ち込んでいます。
目に見えないあなたが、いつでもわたしを見つめてくださっているので、わたしは何も怖くはありません。
未来を、憂いたりもしません。
絶望的に感じるとき、いつでもあなたの御声が聴こえるのです。
こず恵よ、立ち上がりなさい。立ち上がって、すべての生命を、救いだしなさい。
するといつでも、力が湧いてくるのです。わたしが何の為にこの星に生まれてきて、あなたがどんな使命をわたしに御与えになったのかを懐いだすのです。
わたしは…間違ってはいない。わたしは多くの人を苦しめ、傷つけてきた。
でもわたしが救おうとしている家畜たちや、毛皮を剥がされる動物たちは、彼らの感じている拷問の苦痛は、わたしが苦しめて傷つけてでも救おうとしている人たちの未来なのです。
わたしは人々を苦しめてでも、人々を救いださねばなりません。
それは比べ物にはならない苦痛であるからです。
エホバよ。どうかわたしに力を御与えください。
彼らを未来に待ち受ける無間地獄から、救いだすことのできる力を。
わたしの血と肉とを引き換えに、どうか彼らを御救い給え!
血で血を洗い、肉で肉を、御救いください。
そして骨となったわたしを地獄の血の海の底ハデスへ、御捨てください。
そこでわたしを永遠の死と交わらせ、わたしの全てを、終わらせてください。
わたしは最早、何をも、欲したいとは想わない。



















愛と悪 第五章

2020-01-10 02:24:00 | 随筆(小説)
天におられるわたしのみなもと、エホバ。
わたしはエホバの証人を、助けることができるでしょうか。
人間の命よりも、規則を大事にする彼らは、サタンを崇拝していることに気づいてもいません。
彼らは、人間が滅ぼされることよりも、自分がエホバの証人の組織から追放されることを恐れて生きています。
そのようなサタニストを作り上げること、これがエホバの証人という組織を最初に作り出した悪魔崇拝者の目的なのです。
だがわたしは言っておく。自分の食卓に、動物の死体を載せている者はだれでも、自分では気付かぬうちに、悪魔を崇拝しているのです。
わたしはこの地球から、悪魔を成敗する為、降りてきたスターシードである。
わたしは今、義憤と悲憤に燃え盛り、悲しみの檻のなかで、自分の鷲を癒している。
それで彼に、自分の肉と血を与え、彼を立派な白頭鷲に育て上げんとしているところである。
彼はまだ、雛鳥で、ぴぃぴぃと鳴いている。
頭から長い灰色の産毛がほわほわと生えていて、虹色の風が、時折その頭を優しく撫でる。
わたしが此処からいなくなると、彼は独りになる。
彼は、神の血を欲する。彼は、神聖な肉を欲する。
だがわたしは、人に殺された動物の屍肉を、彼に与えつづける。
すると彼は、悲しみの怒りでみずからを、滅ぼしながら永遠に燃えつづける炎と、それを鎮める氷の神となり、エホバの右肩に乗ってこの地上にある悪を、七つの目で、見つめつづける。
エホバはこの炎と氷を主る白頭鷲をアポロンと名づける。
アポロンが、再びこの地上に降り立つとき、すべての者のなかから悪を炎で焼き払い、凍らせる。
終末の世は、すべての人々がすべての悪なる行為を心から悔いて誰もが神に救いを求めんほどの大艱難が訪れる。
世の三分の二の者が死ぬる。
そしてエホバは悪を、地下に千年間閉じ込める。
それで、悪は悪のなかで、悪に満たされた世界で存分に悪を堪能しつづけて恍惚を味わいつづけるが、最早そこには生命の何の苦しみもない。
何故なら悪はそこでは最早、生きてはいないからだ。
ハデスの底では最早だれも生きることはできないからである。
愛と悪を支配する真の神エホバは人々の悪のすべてを裁かれ、人を解体する御方であられる。
それで、人々の悪を行なった右腕や右の目を、エホバはゲヘナに投げ込まれる。
そこではまだ命が燃えていて、彼らは口々にこう叫ぶ。
わたしのなかの悪が、わたしに何をしたのか…!
わたしの悪が、わたしに悪を味わわせつづけるのだ…!
わたしはわたしを憎み、わたしはわたしを呪いつづける…!
エホバは彼らに向かって、叫ぶ。
あなたがわたしに、何をしたのか!
その頃、千年王国に降り立ったエリヤは、ひとりのやもめの女を探していたが、何処を探しても、それが見つからなかった。
それで、エリヤはその女が、ゲヘナやハデスにいるのではないかと想ったが、そこへ向かうことを、エホバは決して許さなかった。
エホバはエリヤに向かってこう言った。
初めから魂を持たぬ者は、最早生き返らない。
それは滅ぼされる前から、滅びつづけていたのであって、初めから終りまで、生きることはないからである。
エリヤは堪え難い悲しみに打ち拉がれたが、その悲しみは、果てしなく、永遠につづくのである。