秋冬は抱っこ猫

 抱っこ嫌いのはずのふくちゃんを抱き上げたら、暴れて飛び降りるだろうという予想に反して、嬉しそうにごろごろ言い出した。そのままおなかを撫でてやったら、体をくるっと丸くしてこちらにぴったりとくっつけて、前足の爪を出したり入れたりしていつまでも甘えている。どういう心境の変化かと不思議に思ったけど、季節が進んで少しずつ寒くなってきたからだとすぐ納得した。
 抱っこを喜ぶようになっただけじゃなくて、朝、私が上体をかがめて顔を洗っていたら背中の上に登ってくるし、庭で少し遊んで体が冷えたら、膝の上にやって来て体を押し付けるようにして丸くなる。
 ふくちゃんが家にやってきたのは去年の11月で、思えば、最初の頃は抱っこ、おんぶ、膝の上で寝ることがどれも好きな猫だった。それが、暖かくなるにつれてやらなくなった。
 今年もまた、暖を取りに来ているだけで、また来年の春になったら、こちらを蹴っ飛ばしてぴょんと出て行ってしまうのだろうけれど、利用されているとわかりながら、可愛いのでついつい甘やかしてしまう。
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