猫の「変食」(後篇)

 そして変食する猫の三匹目はふくちゃんである。紙の仮止めに使っているマスキングテープを短く切って机の端に貼り付けておいたら、次の日になくなっている。おかしいなと思ったら、ふくちゃんが食べてしまっていた。白くてぺらぺらしているところが乾しカマに似ているからかしらと思ったが、そのほか、ひもや輪ゴムの切れ端なんかも、落ちていると拾ってくちゃくちゃ噛んで飲み込んでしまうから、子供が工作遊びをしたあとなどは、そういったごみが落ちていないか注意しなければならない。
 一度、ふくちゃんがこふこふ咳をしはじめて、何か喉に引っかかった物を出そうとするようにげーげーしだしたことがあった。おそらく何か変なものを食べたのだろうと思う。しばらく様子を見ても治らないから、念のために病院に連れて行くことになった。
 変食の癖があるから、食べた現場を見たわけではないけれどなにかおかしなものを食べたのかもしれない、ということを伝えたら、獣医師が、食べたものがもし糸だったら一番危なくて、最悪の場合、腸に巻きついて腸が千切れてしまうことがある、というので、恐ろしくてひっくり返りそうになった。
 レントゲンも撮ったけれど結局原因はわからなくて、家につれて帰ってしばらくするとおさまったからよかったものの、そういう怖い話を聞いてしまったので、とくに糸に関してはじゅうじゅうに気をつけるようになった。
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