アンの絵本日記&g

大人にも楽しめる絵本の紹介と
稲垣吾郎さんについて(時々)語ります。

今日の絵本

2014-02-17 17:22:07 | 絵本
「淀川ものがたり お船がきた日」(10分)
小林豊:文・絵
岩波書店:発行
2013.10第1刷(1600円)

いま、日本のまちは川を背にしてつくられています。
川はまちの裏側に置きわすれられ、汚れ、フタをされています。
でも、昔から、川は人と人をむすぶ生活の裏通りでした。
人は川によりそって暮らしてきました。
(中略)
1711年(正徳元年)、隣国朝鮮から30年ぶりに「通信使」とよばれる使節団がやってきたのです。
正史、副使ら役人をはじめ学者、画家、医師、僧侶から軍人、音楽隊、芸人まで、総員500名あまりの大人数。
一国の文化まるごとの使節団は、対馬から瀬戸内を海路で、大坂から淀まで川船で、その後江戸までを陸路で、沿道の大歓迎をうけながら往復しました。
日本と朝鮮は、古代より隣どうしの国として深い関係を持ちながら、何度も不幸な歴史を体験してきました。
通信使は、お互いの国民感情のズレを超え、信頼を通ずる(通信)という基本理念のもと、江戸時代だけでも12回、将軍の代替わりごとに日本をおとずれています。
(中略)
この絵本は、そういった記憶をよりどころにしながら、さらに想像力をまじえて描きました。
通信使との交流は、主人公のトメや市(イチ)のような川のむこう岸さえ知らない人たちが、よその国を知り、思い描き、理解するための橋を渡してきたのです。
時代の波は、幾度もこの橋を危険にさらしてきました。
しかし、いまもこの橋はあります。
わたしたちが渡るのをまっているのです。
(作者あとがきより)