いつもより静かな朝に感じた。毎年この時期になると、小田原からの海沿い沿線に出向くことが通例となってきている。特に理由はないが、日に日に夜明けが早まることを肌で味わい、大海原から上る朝日を拝みたいからなのかもしれない。この時期の冬よりも力強く、熱量と輝きをもって降り注ぐ朝日は、その日1日を有意義に導いてしまうようなパワーを感じるのだ。
橋を見下ろす農道で、そんな想いに駆られ、そしていよいよ上る太陽にエネルギーを享受できる時間になり最寄り駅に立ち寄ってみた。毎年美しい花を咲かせる「おかめ桜」にはちょっと早かったが、JR東の「華」とも言うべき四季島がホームに停車中だった。機関車が消え、カシオペアの動向が絶望的になった今、JR東日本で唯一の豪華リゾート列車がこの「四季島」なのだろう。この四季島も撮影対象としては、アントンKの中では一段落ちるが、朝日に輝くゴールドの車体を見て、今までとは少し違う印象をもった。優雅であり、気品をもった列車旅が想像できてしまう。見ているだけでそんな雰囲気が漂う、やはり特別な車両なのだろう。
この列車、前日からのツアーで、早朝この根府川駅に到着し日の出を待ってから発車するらしい。大きな両開きのドアが開いて、散歩に出ていた乗客たちをお迎えする添乗員の笑顔が印象的だった。列車旅も様変わり、時代が変わったことを痛感した光景だった。
2025-03-02 E001系 東海道本線:根府川駅