先日、BS放送で小田和正の出演した番組を観た。
「100年インタビュー」というスペシャル番組だったが、普段テレビなど見ないアントンKもこの時は録画までして画面に見入ってしまった。小田さんも今年で70歳だという。もちろんその現実にも驚嘆するが、かつてと同じスタンスで変わらず活躍していることに対し本当に尊敬の念を抱く。
小田和正とはご存知の通り、オフコースというバンドのリーダーだった。ちょうど70年代終わりから80年代にかけて爆発的に人気が出たバンドだった。当時は、フォーク全盛の時代、またニュー・ミュージックとか言われた音楽が流行り出した頃。チューリップやかぐや姫などはこのジャンルになるのか。
当時学生だったアントンKは、友人の勧めもあってオフコースを聴くようになった。それまでは幼少の頃から音楽と言えばクラシック音楽ばかりで、その当時流行った流行歌には興味がわかなかったが、このオフコースというバンドは、メディア(テレビ)に出てくる事は無く、彼等の音楽は、レコードかまたはコンサートへ行くしか聴けなかったのである。オフコースのコンサート(今で言うところのライブ)にはよく行った。初めてクラシック音楽以外の演奏会はオフコースだったかもしれない。今でも忘れられないのは、こういったジャンルの音楽もレコードと同じ音として演奏されていたということ。つまり普段聴いているレコードと楽器の音色も声もハーモニーも同じだったということだった。全く今思えば当たり前のことだが、当時の衝撃は大きかった。それどころか、生演奏ならではの、楽曲のサビが違ったり、中間部がコンサート用にアレンジされていたり、ここでも色々な発見があり楽しかったことを思い出す。小田さんの弾き語りに憧れ、当時見よう見まねで真似して歌ったり、オリジナル曲を書いて人前で披露したりと、今思いおこせば恥かしくなるが結構入れ込んでいたのだろうな、と自分のことながら振り返ることができる。
番組の中で小田さんも語っていたが、わかる人達とだけ繋がりたいというアーティスト的発言は、まさに音楽家であるとともに芸術家としての域だった。少し大袈裟に言えば、かつての巨匠であるクナッパーツブッシュや、フルトヴェングラーという指揮者達のように大衆に迎合しないということになるのだろう。本来芸術とは、大衆から離れた所にあるものだから・・・
およそ半世紀の間、続けてきた音楽活動。この長い時間継続できたことの原動力は、やはり音楽が好きだからということに尽きる。そして仲間がいるから続けられたとも語った。まさにアントンKも同感だった。好きなことがあっても、良き仲間がいるからこそ成り立ち継続できるのだということを再認識したのであった。