もうどのくらい経ったのか判らないが、三鷹電車区(現在は車両センター)を跨ぐ人道橋がいよいよ取り壊しになるという記事をどこかで読んだ。
アントンKにとって、当時は国鉄電車との接点だった当地。模型が好きで鉄道趣味の世界に没頭し、模型屋さん巡りに明け暮れていた頃、自宅から自転車で通うことができた三鷹の「トリオ商会」には入り浸った。店の目の前が中央線の線路で電車区前。何という立地だろう。101系電車の通過音を聞きながら店の扉を開けたものだ。一通り展示品に目を通すと、再び店外へ出て列車の通過を待った。そんな時、この人道橋に上がると、赤い電車を横目に多くの中央線のスターたちが見渡せたのだった。憧れの181系あずさに始まり、115系、165系や70系、地下鉄線用301系も休んでいて時間を経つことも忘れ佇んでいた。豊田に103系増備車が配置されるのはこの後だったが、当時の当たり前の光景が、今では夢の光景に。この人道橋から見下ろす景色は、アントンKの国鉄電車原風景だ。
昨年、数十年ぶりに当地を訪れている。多々お世話になった模型屋さんは無く、中央線は、西に向かって高架線へとスロープが出来ていた。もちろん見渡せる電車群も様変わりしていて、どこか別の土地のように感じてしまった。補強が痛々しい人道橋だけが当時を偲ばせてくれていたが、この橋もいよいよ過去帳入りとなるようで、またひとつ思い出の地が消えていく。