東海道本線には、先人たちが築き上げた数々の定番撮影地というポイントが存在する。もちろんこれは、東海道に限ったことではないが、国鉄末期の時代、そしてEF58が終盤を迎えるというタイミングではあるが、アントンKはせめて一目でわかるポイントでEF58を撮影しておきたいという欲望を当時は持っていた。早川や根府川の鉄橋に始まり、先日話題にした富士山バックの竹倉温泉、金谷-菊川の茶畑、浜名湖畔等々、列記したら止まらないが、それぞれの特徴ある撮影地を巡り自分なりに撮影を楽しみたかった訳だ。ブルートレインも当然ながら視野に入れつつ巡った思い出を今更ながら振り返っているが、残された画像からは、とても純粋な想いが伝わり、間違いなくこれらが青春の断片であることが容易にわかった。
掲載写真は、東海道の有名ポイントの一つである伊吹山バックを走るEF5868の14系客車。これは、前日夜東京を出た臨時の「銀河」の返却回送だったと思うが、わざわざ機番を調べて向かうのではなく、撮りたい撮影地で初めて機番を知るような、今にして思えば実に原始的な撮影だが、こんな想いもとても懐かしく感じてしまう。当時、地図を見て初めて分かったことだが、この区間である柏原-近江長岡間は、線形が大きく迂回していて、特に午後の上り列車には好都合のポイントだった。もちろん今でもその線形は変わってはいないから、当時を振り返りながら再訪するのも良いかもしれない。
1983-03-20 回8106ㇾ EF5868 14系客車12両編成 東海道本線:柏原-近江長岡