今月の連休最終日、3日間連続で行われた蒸気機関車の重連は、C6120+C58363であった。旧客6両を牽引したそれぞれの「みなかみ」号は、どれも魅力的に映ったが、「カシオペア」の迂回運転とかぶってしまい、思うように動けなかった。結局、迂回運転の撮影のついでになった格好になってしまった。大勢のファンを横目に汽笛を響かせながらゆっくり通過していくSL重連+旧客のみなかみ号。次回もし走ったら、じっくり腰をすえて撮影に挑んでみたい。
昨日は、台風の影響で東北線が一部不通となり迂回運転となっている、カシオペアを狙いに上越線を目指した。連休の最終日でもあり、SL重連の運転日で、人では尋常ではないと覚悟して、最期まで出撃を迷ったが、天気も安定しているようで、週明けには東北線も開通するとの情報だったので決行と相成った。
23日もこの迂回運転は実施されており、ロクヨン牽引であることはわかっていたから、やはり、ここは迷わず、上越国境を目指した訳だ。ゴハチやEF16の現役だった時代に、よく行った岩原付近で撮れればと思いながら、関越道を北へ向かう。群馬県に入ったころ夜明けを迎えたが、空はかなりの雲があって予報を裏切っている。やはり朝は難しいかと思わせたが、関越トンネルを抜け新潟県に入ったら、ド快晴!不安は一気に吹き飛んでしまった。
30年前と同じように、岩原スキー場の大カーブのふもとの立ち、雲ひとつない空に向かって手を合わせたくなった。通過時間も正確にはわからないから、場所を決めて待機が続くが、およそ想定していた9時ごろ、シルバーの長い獲物が檜舞台に姿を現した。噛みしめるようにシャッターを切り、列車を見送ったが、群馬に戻る途中、さらにもう一度撮影できることが判明し、急遽赤城ICで下車。稲刈りが終わった田んぼの脇の築堤を行く姿を捕らえることができた。ロクヨンの牽くカシオペア、ヘッドマークを付けて走る姿を見たかったのは私だけではないだろう。
群馬のディスティネーション・キャンペーンも大詰めを迎え、その最期を飾るSL重連の3日間も迫ってきた。この日も、当地群馬は、イベントが盛りだくさんで、何から撮影しようか迷うほど・・でも、やはり一番のメインに置いたのは、上信電鉄の復活した電機となった。デキ1+デキ3の重連に初牽引となるであろう旧客を牽くとなれば、ちょっと心が動く。
前座で、上毛鉄道のデハ101を初めて大胡まで撮りに行き、釣りかけ式の電動機の音を懐かしんだ後、SL碓氷を狙いに、安中界隈へ。そして上信へと移動してきた。どこも同業者で埋め尽くされていたが、どうやら、本日のデキは、1台が不調のため単機牽引へと改められているらしい。これが本当ならテンションはかなり下がってしまうが、もう20年以上前に訪れた場所を振り返るのもまた良いものだと割り切った。
デキといえば、その昔、貨物列車の撮影で、何度か訪れ、また高崎区の御座敷列車牽引の団臨も撮影した記憶がある。いずれ写真を探してみたいと思うが、そう思うと、よくぞ復活してくれたと感慨深いものだ。
そんなことを考えていると、ゆっくりと誇らしげなデキが目の前にやってきた。まだ夏を思わせる良い天気であった。
昨日は、嵐の中ブルックナーを聴いて来た。N響の定期公演で、ブロムシュテット指揮による第7番の交響曲。今年は、なかなかコンサートに恵まれず、久しぶりの実演鑑賞になったが、結果として感動的な演奏であったことをまず伝えておきたい。指揮者のブロムシュテットも、今年で84歳、いよいよ指揮者としては巨匠の部類になるのであろうが、今までの演奏スタイルでは、あまり個性の少ない、どちらかと言うと無難なオーソドックスな演奏スタイルであった。しかし、録音は、かなり昔から存在し、今日の第7も、何種類か残されているが、その年代を通してもあまり解釈は変わらないように思えた。最近の録音こそ、どちらかと言うと巨匠スタイルに変わりつつある部分も散見できたのだが、果たして今日の演奏はどうなるか、そんな気持ちで会場に向かった。
前半には、よくあるパターンで、シューベルトの未完成交響曲の演奏。中庸な速度で開始されたが、出だしの低音の弱いこと弱いこと。そしてそれに続く弦の刻みが明確ではなかったので、この部分だけでもう自分の好みからは、離れて行った。しかし、オケであるN響は、良く鳴っており好演を繰り広げている。そして後半は、いよいよブルックナーだ。第1楽章の弦が、未完成と同じに扱われるのかと思いきや、今度はしっかりとEとGisの和音の刻みが感じられる。そこに、ゆうゆうと主題が提示されとても安心できたのである。一応ノヴァーク版とのことであったが、アダージョのクライマックスでのシンバル、トライアングルは省略されていた。これは賢明な解釈である。ティンパニだけを残しているので、スカスカにならず非常にこの部分も好みにあった。曲が進むにつれ、オケが安定し益々綺麗になっていき、良い意味で予想を超えた素晴らしい演奏であった。当日は、FMでも生放送が入っており、またVTRも撮っているようだったが、果たしてどれだけ、この内容が伝わっただろうか。嵐が直撃して、交通網が寸断され、1~2割の聴衆であったことが心苦しい。
今年2月に、山陰線~福知山線に出向き、一連の特急電車立ちを狙ってきたが、その後春のダイヤ改正で登場した新型電車をこのたび撮影できた。とはいっても、出張のついでということなのだが、初めて287系なる目新しい電車に出会った。それまでの国鉄時代からの払い下げではなく、新型の新車で、この地方の方々は誇りに思っているようだ。仕事先でも、自慢げに話してくれたことを何だか嬉しく思った。
この「こうのとり」という電車。287系のことだが、関東在住の私の目には、西日本の新型といわれる電車はみんなどれも同じに見えてしまう。JR東日本の新型も同じなのだが、全面に列車表示がなく、のっぺらなので、同じ印象なのだろうか。なかなか良いデザインだとは思ったが、いわゆる種別幕のようなものが全面にあるデザインだとさらに良かった気がする。写真は、9月というのに相変わらず暑い福知山線を行く287系「こうのとり」。夕日が眩しかった。