このところ宴席が続いている。一つは、地域に根付いた年齢も幅広い現役鉄チャンが集まった宴席。そしてもう一つは、毎年恒例となったかれこれ40年近くのお付き合いになる古くからの顔ぶれのもの。どちらも話す内容は異なり大いに刺激を受けるが、どちらもあっという間に時間が過ぎ去っていく。他愛のない話に花が咲き、下らない事で盛り上がる日常から少し離れた世界。ずっとこのまま続けば・・と思ってしまう瞬間がいくつも訪れるのである。どちらも「鉄道」という共通の趣味を持つ趣味人の集まりだが、尊敬する先輩が宴席で言い放った「仕事仲間より趣味仲間の方が圧倒的に繋がりが深い!」という言葉が今も心に突き刺さっている。
その先輩が幼少の時代に撮影した、地元東急線の電車の写真を今回少し見せて頂いた。この先輩についての武勇伝は、ここでは書き切れないくらい多いのだが、初めて見る写真には、やはり鉄道に対する思い入れが多々感じられたように思う。モノクロのハーフサイズのカメラで撮影したと言っていたが、1コマずつ丁寧にシャッターを押されているのがわかるのだ。たとえ画像が乱れていても、撮影者の心情が伝わるような写真が並び、宴席ではあるがちょっと感動してしまった。もちろんそれは、アントンKの遠い記憶にもある電車たちで、懐かしさとともに当時が甦ってきたからなのかもしれない。
こんな想いをした今回の宴席も無事終わり、アントンKにとっても同じように思い出深い地元の電車の写真を漁ってみた。京王帝都電鉄(現 京王電鉄)井の頭線のデハ1800形電車である。もっとも好みだったクハ1258は、このデハ1800形とユニットを組んでいたが、この編成は朝の通勤時しか運転されない事が多く、撮影には苦労した覚えが甦る。写真は、冬の朝日を浴びて高井戸へ進入するクハ1258編成。前照灯こそシールドビームに改造されているが、木枠三枚窓の顔は、主力の3000形に混じって異彩を放っていた。
1979(S54)-12-08 クハ1258ほか5連 京王帝都電鉄/井の頭線:高井戸にて