今のアントンKにとって、EF58という電気機関車を懐かしく思い出すシーンは、御召列車でも寝台列車でもなく、ごく当たり前に荷物列車を牽いている日常の光景だ。両数が圧倒的に多く、全国で活躍していたから、それこそ印象的な場面は数多く存在しているが、数十年と時間が経ってしまうと、不思議なことに当時は目の色を変えて挑んでいた夜行列車や臨時列車の撮影シーンより、毎日いつも出会え、時には次いでの撮影としてシャッターを切っていた荷物列車の方が、どうも当時を偲べる気がしてならない。あの時代は、単純に好きな車輛を好きなように撮影し、プリントして楽しんでいた。鉄道趣味の原点を見ているようでとても懐かしく思えるのである。
当時は、何も感じなかった部類のゴハチの荷物列車を掲載しておく。早朝ブルートレインとともに上京してくる荷物34列車。浜松機関区のEF58運用。この浜松区のEF58は、配置両数が多く、当時の荷物列車の大半を担っており、どれも似たような形態のゴハチがタムロしていたため、当時機番など意識していないアントンKには、みんな同じに見えていたはず。まさかこれを撮影した数年後、EF58自体が引退していくなんて誰が考えただろうか?
今や40年以上の歳月が経ってしまうと、大森付近をゴハチが荷物列車を牽いて毎日走っていた事実に驚嘆してしまうことが多いのだ。
1978-08-02 荷34ㇾ EF58163 東海道本線:大森付近