杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

マリーゴールド・ホテルで会いましょう

2013年08月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年2月1日公開 イギリス=アメリカ=アラブ首長国連邦 124分

40年間連れ添った夫を亡くしたイヴリン(ジュディ・デンチ)は、多額の負債を返済するために家を売却。そして、同居を勧める息子の誘いを断り、インドの高級リゾート“マリーゴールド・ホテル”での一人暮らしを決意する。彼女の他、このホテルに申し込んでいたのは6 人の男女。イギリスに家を買うはずだったが、退職金を貸した娘が事業に失敗してインドにやってきたダグラス(ビル・ナイ)とジーン(ペネロープ・ウィルトン)の夫婦。股関節の手術を受けようとしたミュリエル(マギー・スミス)は、イギリスの病院では半年待ちと言われ、渋々インドへ。独身者ノーマン(ロナルド・ピックアップ)の悲願は、異国の地での最後のロマンス。結婚と離婚を繰り返すマッジ(セリア・イムリー)の目的は、“お金持ちの夫探し”。以前この地に住んでいた元判事のグレアム(トム・ウィルキンソン)は、数10年ぶりに知人に会いに来たのだが、ある事情があり、迷っていた。彼らが想像していた優雅な生活は、実際のホテルを目にして砕け散る。改装中というそのホテルを亡き父から譲り受けた若い支配人ソニー(デヴ・パテル)は、やる気だけは人一倍ながら経験不足。電話は使えず、ドアのない部屋もある。だが、既に前金を支払った7 人に選択の余地はなかった。ジャイプールの街に溢れる音と色彩、喧騒と人の数、そして暑さに圧倒されながらも、それぞれの生活を踏み出す。様々な悩みを抱えながらも、この地で過ごす時間が長くなり、互いの交流が深まるにつれて、少しずつ前に進んでゆく7人。その一方で、ホテルを復活させるために、ソニーは地元の投資家に援助を依頼。しかし、ホテルを一緒に相続した2人の兄と母親は売却するつもりでいた。こうして、インドに来て45 日が過ぎた頃、母親の説得に負けたソニーがホテルを閉鎖すると言い出す。再び人生の岐路に立ったイヴリンが巡り逢った、意外な運命とは……?(Movie Walkerより)

デボラ・モガーの小説『These Foolish Things』が原作。

初めに登場人物たちの日常の姿が映し出されます。そしてインド行きを決め空港ロビーの椅子に横一列に並ぶ彼らの姿がアップになると、その先に待ち構えているだろう出来事に期待が高まるのは、演じているのが錚々たる顔ぶれの俳優・女優陣だということも大いに関係しています。本当は劇場で観賞したかった~

7人の中ではイブリンが中心的な存在として描かれています。
信頼しきっていた夫が多額の借金を作っていたことを知り、これまでの生き方に疑問を持った彼女は、インドで新しい自分を見出そうとします。おんぼろホテルの暮らしを楽しみ、街の喧騒の中に進んで足を踏み入れ、仕事も見つけてくるのです。この前向きな姿勢は好感が持てます

ミュリエルは白人至上主義の偏見を持った女性。手術を受けるため渋々やってきたインドですが、主治医となったのは白人ではありません。でも差別丸出しの彼女に対してもインドの人々は温かい眼差しで接します。親身に世話をしてくれるインド人の女性の家に招かれ、家族の温かい歓迎を受けたことをきっかけにミュリエルの中の偏見も徐々に消えて行きます。実は彼女は長年家政婦として働いてきたのですが、若い同僚を一人前に育てたところでお払い箱になりました。手術後、ホテルで無為に過ごしているように見えた彼女はでも、他の誰より冷静に状況を観察しています。そしてホテルの存続危機の際にはその手腕を発揮しますさすが年の功

マッジとノーマンの目的は異性との出会い。いい年をして・・と思ったけれど、人生を謳歌したいという思いは年齢に関係ないものね

唯一、いけ好かないのがダグラスの妻のジーン。何事にも不満たらたらで後ろ向きな批判ばかり。ホテルに閉じこもって新しい生活に背を向け、挙句はグレアムに秋波を送る始末。同性としてもこんな女性は願い下げずっとこのまま終わるのかと思ったら、最後に一つだけ正しい選択をしました。夫への彼女なりの誠意だったのかも。

そしてグレアムは・・ゲイでした。インド人の使用人の息子との関係が家族にばれて引き離された過去を悔み、その時何もできなかったことを謝りたくて戻ってきたのです。そんな彼を励まし背中を押すのがイブリンとダグラスです。彼らのお陰で再会を果たしたグレアムは幸福な最期を迎えます。

一方、ソニーは、父親の遺したホテルを再建し、おそらくは身分違いの恋を成就せんと頑張っています。成功している兄たちへの対抗心もあるようです。かの国では家長制度が健在なようで、マザコン気味のソニーは母に逆らえません。母親は末っ子の彼のやり方を心配し口を出し、ホテルを閉鎖するよう迫り、恋人のことも認めません。けれど最後にこの母親の気持ちを変えたのは、ホテルで親子に長く仕えてきた使用人の老人の言葉と、ミュリエルの具体的な改善策でした。

人生の最後のひとときを過ごすためにインドに来た7人を、時にユーモラスに時にシニカルに描きながら、勇気を出して一歩を踏み出した彼らに寄りそう視線が温かいのもでした。

ジャイプールの雑多な喧騒や人々の熱気、寺院や市場の賑わい、ホテルのおんぼろだけど歴史を感じさせる佇まいなどロケーションも

う~~ん・・やっぱり劇場で観たかったなぁ

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする