
今年の夏は、僕にとって空間みたいな時間だった。
日常は止まることなく、毎日決まったスピードで過ぎてゆくけど、
なんだか心にぽっかりと穴があいた様な。そんな夏だった。
役者に関しては、夏降のスケジュールは入っていたので、
夏が過ぎれば、またバタバタとしてくるのは分かってたんだど、
8月、9月と2ヶ月間稽古や本番がないだけで生きた心地がなくなるのである。
で、キリギリスは何を思ったか、歌を作りまくった。
ジャカジャカとギターを弾いては、詩を唄う。
久しぶりの新曲ラッシュ。だけどそこは誰もいない一人の暗い自室。
ブルペンで投げ込んで、試合に出ないピッチャーみたいなもんだ。
『どないしょ?』
ライブは怖い・・ライブは怖い・・。
でも、どっかで。
そのうち、人知れず、そろっとソロで。
でも弾き語りじゃなくて、バックにサポートが必須やな。
なんて計画にもならない妄想を描きながら、とにかく時間を見つけては曲を作った。
9月になり、ONEWAYTRIPの阿形ゆうべの連続客演も終わったので、
ぼちぼち彼にサポートの打診でもしてみるかと、ある日携帯電話を手に取った。
するとその瞬間に着信が。
劇団ころがる石の森下くんからだった。
つづく