田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

銀色の詩

2025年02月12日 |  歌詞
銀色夏生の詩集があまりにも痛くて読めなかった。
途方に暮れる前に途方に暮れた。
破れた地図みたいな心が痛んで、
どこに行けばいいのか分らなくなった。

銀色夏生の詩を俺に教えてくれた君は、
ほんとはあの日俺に何を言おうとしていたんだろう。
それより俺はあの日ちゃんと君の声を聞いていたんだろうか。
さよならも言えなかった。

喧騒に飲み込まれてゆく街の中で、
逆立ちしたくても出来ないし、
アスファルトに寝転がっても、
蝶のように羽ばたけないし、
空をとぶ鳥を目で追っても、
君の背中には届かない。

すべてが銀色だったあの夏、
世界は真っ白になったまま、
君の声だけが空回りしていた。
オープンリールに巻かれたテープのようにそれは擦り切れていて、
太陽と一緒にどこかへ行ってしまった。

だけどもう一度、
あの詩を俺に読んで聞かせてくれないか。
君の大好きだった銀色の詩を。




銀色の詩

遠ざかる影 日々の隙間
こぼれた思い 冷えた唇
真夏のアスファルトの匂いがした
ああ、熱い、熱い夜

もう一度さよなら言葉にしてよ
聞かせてかすれた声で
銀色の詩を俺に読んでくれた
あの日みたいにさ

破れた地図を
裏側から覗き込み
お前の足跡も
見失ったまま

午前零時の
喧騒に除外されてゆく
余り物じゃ心
埋めることも出来ない

明日お前の名前でさえも
忘れるんじゃないかってほどボロボロ

遠ざかる影 日々の隙間
こぼれた思い 冷えた唇
燃え尽きた太陽は途切れ途切れ
俺を突き放す

忘れられない
風の匂いと引き換えに
お前の輪郭が
ほどけて消えてゆく

夜に飛ぶ鳥を追いかけるアゲハ
がらんどうの心に咲き散る花

遠ざかる影 日々の隙間
こぼれた思い 冷えた唇
真夏のアスファルトの匂いがした
ああ、熱い、熱い夜

もう一度さよなら言葉にしてよ
聞かせてかすれた声で
銀色の詩を俺に読んでくれた
あの日みたいにさ

あの日みたいにさ
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