田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

今夜もバーの片隅で

2022年09月17日 | 日記
また昔の話をちょっと。

あれは十代後半の頃。それまで勤めていた飲食店から会社と名のつく職場に転職して最初の冬だったと思う。生まれて初めてボーナスというものを貰った。こんな言い方をすると何だけれどもそんなに大きな額のお金ではない。だけど飛び上がるほど嬉しかった。
喜び勇んで仕事帰りに心斎橋の三木楽器に寄って楽器を物色したのだけど何故かその時点で気持ちがすーっと冷めてしまった。

「楽器を買ったところで何が出来るというのか」
当時の自分はオリジナル曲を作れるようになりたくて日々悶々としていたのだが一向に先が見えてこない。漸く無理すれば何とか手が届くぐらいの値段になりつつあったオールイオンワンのシンセでも購入すれば何か自分に変化が起きるかも知れない考えていた。実際に楽器の購入というのはそう言った意味で個人のスキルを成長させるのに持って来いの行為だとも思う。だけど当時は根本的に音楽が出来ない自分へのコンプレックスが大きすぎてなかなかモチベーションが上がらなかったのが事実。常にしょぼくれていた。

結局何も購入せず楽器屋を出て冬の心斎橋筋商店街をぶらりと歩く。大阪ミナミ。当時の自分には夜のミナミで遊ぶ習慣なんてなかった。さほど世間知の無いまだ十代後半の子供。それでも夜のミナミの想像はつく。自分が知らないだけでたぶん沢山のライブバーやライブハウスがこの街に点在していて、こうしている今もどこかの薄暗いバーの片隅で誰かがギターを抱えて歌っているんだろうなと思った。いつかきっと歌えるようになってみせる。その「いつか」に辿り着くまでに想像以上の遥か長い年月が掛かったけれども。

四十の手習いで始めた弾き語りも十年ほどの時間が過ぎて今は五十の手習いだ。漸く念願叶ったのにさほど喜びがないのはなぜだろう。年齢のせいかも知れないがちょっとやそっとのことでは心が大きく揺れ動かない。感性に躍動感がなく感情の起伏が乏しすぎる。勿論、嫌な訳ではないけれど。緊張と不安に向き合うことで精一杯なだけで本当は心の片隅で喜んでいるはずだ。

心の片隅に転がっている言葉とメロディーを拾い集めて、今夜もどこかのバーで歌っている。








先週金曜(9/9)にロージーNEOで行われた「ピースミュージック」で発表した新曲「エレジー」です。
マスターのヒロワさんがYouTubeにアップしてくだいさいました。
どうぞご覧くださいませ。





エレジー

悲しい歌が好きなわけじゃ
ないけれどもこんな
夜はひとり口ずさむの
誰も知らないエレジー

優しい人の温もりとか
知ってはいるけれども
ひとり寂しい心つれて
夜を歩くのエレジー

泣いて夢がさめてしまう
いつも知らないうちに
いつも夢がこぼれている
川をずっと見ている

今はどこを流れてる
私の知らないエレジー

遠い街に辿り着いた
カモメは何を想う
あなた恋の物語を
誰と演じるエレジー

泣いた次の朝のまぶた
いつも隠しているの
いつも夢は紙芝居の
続きばかり見ている

ひとり歌う涙色の
誰も知らないエレジー

あなた知らないエレジー











【スケジュール】
総持寺チェンノガット
【日時】9/23(金) ※詳細未定
【場所】総持寺チェンノガット
【出演】 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】10/3(月)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージーABENO
【出演】クマゴロー 田中悟 他
ロージー心斎橋NEO
【日時】10/15(土)19時オープン19時半スタート
【料金】2000円(1ドリンク付)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】H2 田中悟 他
瓢箪山MK2
【日時】10/26(水)※詳細未定
【場所】瓢箪山MK2
【出演】田中悟 他
コメント
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