
左上から 萌花 4年 / 操希 3年 / 健生 3年
下段 啓人 2年 / 晴基 4年 / 蒼良 2年
岩田先生欠席の為、オバラです。
1年で一番楽しみな小学生のカリキュラムである『油彩の授業』ですが、1ヶ月半掛け続々仕上がって来ました!
まずは第一弾、題して『ズルイ絵』。
10才までに与えられた特権である『稚拙美(幼稚でつたないが、素朴さ・純粋さが感じられる美)』が顕著に現れた作品達のご紹介です。
萌花 - 持って生まれたほのぼのとした性質から、私と田中先生の寵愛を一身に受けて自由でゆったり伸び伸び育っている萌花。選んだ写真もお花畑の向こうに見える水色の屋根の教会とペンションという幸せの象徴とも言える風景。どんなに心が荒んだ時でもこの絵を見れば爽やかな涙を流して終わりにできそうな気がします。寵愛昂じて尼になす…(かわいがるのも度が過ぎれば本人のためにならない)わ、わかっていますって!
操希 - 私の「なんでこの写真選んじゃったかなー?」第一声から始まった今回の制作。「そう?でも綺麗でしょ?」と、本人はいたってのんきに描き始めましたが、賢い子なのですぐに台詞の意味がわかり始め「何を描いているかわからなくなっちゃうから難しいって言われたんだね?でも自分で選んだんだから頑張るぅ。」と健気に微妙な色を数種類作り出し、少しずつ塗り重ねました。見事なダイヤモンド富士になりましたね!

健生 - 飽きっぽいが為にすぐにイタズラをはじめ、何度私に激怒された事か。しかしビビるのは周りだけで本人は全くへこたれないという強い精神力?の持ち主。飽きて絵を台無しするのを防ぐ為に薦めた“絵の具を厚く塗り重ねるマチエール技法”にハマリ、これでもかと盛り上げました。「でもお花は綺麗に残さなくっちゃ!」と、うっかりはみ出すと丁寧に拭き取るマメさも加わり、目を惹く完成度になったのは、なんとなく悔しい。
啓人 - 手前の植物の輪郭に補色で描いた下塗りの赤を残したのが、この絵を成功に導きました。大胆な赤の輪郭の中をガサガサと荒っぽく緑で塗った手前の山と、深みのある水の色を引っ張るような塗り方で描き分け、自然な遠近感を出しています。もちろん狙って出した技ではないので、褒められても本人全く分からない様子。同じようにとぼけた顔してさりげないイタズラを繰り出すヒロトならではの技法に思えます。
晴基 - 聞いていないようで聞いている、わかってるようでわかってない、意外性のある外し技が得意のハルキ。作品もまさにそんな感じの、狙っているように見えて遊びから偶然できただけの形・色・マチエールが絶大な効果を発揮しています。富士山も空もこんな色ではないし、花畑も黄色と緑のチューブを直接画面に押し付けて絵の具を出してみただけ。なのになぜだ!この色使い!この迫力!真似出来ない…
蒼良 - エンゼル・スタジアム(カリフォルニア州にあるMLBのロサンゼルス・エンゼルスのホーム球場)に自分が行ったならともかく「お父さんが行って撮ってきた写真」である事と、キャップ型の複雑な建築物でなので、イマイチ魂が込められませんでしたが、勝気で生意気な性格を逆手に取った煽り文句に騙されて「やってやるぜ!」とばかりに細かいところはクレヨンまで駆使して鉄骨一本一本まで描きました。
こんな名作に囲まれたアトリエで、展覧会に出品する為の作品を夜な夜な制作する私。来週の土曜日に搬入ですが、挫折感と敗北感に苛まれ鬱屈しつつ毎日朝帰り。