モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

油彩で舞子さん

2015-06-06 09:52:54 | 大人 油絵・アクリル
木村 油彩

こんにちは。土曜・大人クラスの京谷です。

今回は、木村さんの油彩作品をご紹介したいと思います。
ここ最近はずっと日本画を制作していらしたと伺いましたが、そのようなこともあって、今回のモチーフになさったのでしょうか?お知り合いの方を撮られたお写真をもとに、0号キャンバスに描いていらっしゃいます。被写体の舞子さん、きっとお綺麗な方なのでしょうね。額から伏し目がちの目元まで、そして舞子さん特有のうなじのラインが美しいです。傘を持つ手は、敢えてやや小さめにして華奢で可憐な印象をもたせています。肖像画制作では、お顔と手の表情は2大重要ポイントですが、木村さんの作品では、小さい画面で難しかったことと思いますが、とても良い感じで納まっています。この傘なのですが、オリジナルのクリーム色ではなく紫色にして、トーンを抑えていらっしゃるそうです。このお陰で、全体が品良く仕上がっています。

難しい・・・といえば、やはり着物や帯の描写でしょうか。
木村さんも相当な苦労をなさったとか。まさに苦行に近かったといっても過言ではない・・・と思われます。舞子さんのお召しになる着物は、同じ女性である私にとっても非日常であります。視覚的に施された装飾や刺繍とともに、その多分に触感的な、着物のもつ質感を再現するのは大変なことでしょう。ちょっと脱線しますが、市川崑監督の「細雪」では、小さなカットで、この着物の特徴がよく表現されていました。羽織を脱ぐときのシュルっという衣擦れの音、今も憶えています。そんな着物の一番の特徴は、やはりピシッと平面的直線的なところ。洋装のような、過剰なフリルやドレープはありませんが、その分ごまかしも効かないストイックさがあります。油彩絵の具で重厚感はかなり再現できそうですが、筆使いには工夫が必要になってきます。丸筆よりは平筆で着物の下の体格を意識しながら、面取りしていく感覚で着彩。厚みを特に意識したい折り目や縁の描写には丸筆を用いたりするのがオーソドックスです。織りや刺繍、柄なども、身体や着物のラインに従っていないと、浮き上がって見えてしまったりします。

木村さんの作品では、人体モチーフの難しさプラス「着物」でしたので、本当に大変だったことと思います。それでも妥協しないで根気よく作業を続けていくと、ある時ふっと画面四隅まで一体感が生まれます。

木村さんの試行錯誤の成果・・・小さな画面のなかで、キラキラと舞子さんが輝いています!
コメント
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