
梅雨の頃、如何お過ごしでしょうか。土曜日の男岩田です。今回は皆さんおなじみ、石神さんの作品です。毎年、春になるとニュースなどでも桜が満開の山を空撮した映像が流れますが、まさしく日本画の題材には持って来いのモチーフではないでしょうか。
石神さん、絵を描く上での力の入れ方を熟知しているなあと感じます。主役となる手前の桜、脇役となる桜を絶妙なバランスで描いています。ひいては、一本一本の桜のボリューム感もしっかり出しておられる。一枚の絵を美しく演出しながらも、ものを的確に表現するという意味では大変秀逸な作品だと感じます。
これだけ技術的にも絵づくり的にも力のある石神さんですから私としてはここから更にマニアックというかチャレンジングな絵を追及して頂けたら嬉しいです。
とても有名な人なので周知の方がほとんどだと思いますが日本画家に明治期に活躍した福田平八郎という人がいます。代表作には「漣(さざなみ)」、「雨」があります。「漣」は水面を描いているのですが一見すると青いにょろにょろ線を描いただけなんですが見事にそれを表現しています。方や「雨」は雨粒のしみの着いた瓦屋根を大胆にトリミングし日本画としてはとても斬新な絵に仕立て上げています。
私は作品を作る上で「こんなことやっちゃっていいのかな」とか「こんなことって果たして表現できるのだろうか」といったようなドキドキ感をとても大切にしています。
皆さんも時には自分の今まで積み上げてきたものをあえて一度崩してみるような、そういった冒険も良いかもしれませんよ。