服部 油彩
ようやく過ごしやすい季節がやってきました。岩田です。
今回ご紹介しますのは、午前のクラスに在籍の服部さんの作品。因みにこちらの油彩、半年近くの期間を費やし描かれたものです。キャンバスサイズは4号ほど、描く面積が広過ぎない分、服部さんの拘りが十二分に詰まっている作品となりました。
令和のこの時代に紡ぎ出された昭和の様相。町を歩いていると時にこうした私達が子供の頃に普通にあった光景を目にすることがあります。建てられた当時、整然とした建築物だったであろうアパートメントが数十年の時を経て綻びの目立つその姿も、私達の世代には懐かしく、思わず見入ってしまう位の魅力を放っているものとして目に映ります。
この作品を見ても、服部さんがそのどこかうらぶれたような雰囲気に心惹かれ描いているのが見て取れます。
そして画面奥に立ちはだかるのは現代を象徴するようなタワーマンション。当然そこに暮らしているのは眼下にあるアパートとは異なる暮らしを手にしている人達。
そうした、一枚ほんの数十センチ四方の四角の中に展開される現代の人間模様を人というモチーフを介さず表現したのがこの作品です。
こうしたシチュエーションに出会い、そこからストーリーを展開させ、絵に落とし込もうとする服部さんの感性、洞察力、表現力に脱帽。