小川 油彩
ここ数日の寒暖差に惑わされています、ナツメです。今回は水曜大人クラスの小川さんの作品をご紹介します!
早朝の海岸と向こうに見える日の出。明け方の密やかな空間に、打ち寄せる波の音のみが響いている情景が思い浮かんできます。逆光になっている鳥居と陽の光を映し出す水面から神聖さが感じられます。
一見静かに見える海面ですが、砂浜を覆う波には躍動感がありますね。波の泡立ちには、絵の具を多めに乗せてマチエールをつけ、変化をつけずに平坦に塗っている他の部分と差をつけることで、波が泡の立体感を引き立たせることにも一役買っています。
段々と日が昇り、緑を侵食するように明るく淡いピンク色へと空が移り変わっていく描写も素晴らしい!緑とピンクは補色の関係にあるため、二つの色を混ぜてグラデーションを作ろうとすると境になる色が濁って汚く見えてしまいます。淡く鮮やかな色同士なので混色のコントロールも特に難しかったのではないかと思いますが、青や紫などの間に入る色を使い段階的に変化をつける工夫をしているため、非常によく馴染んでいますね。
黄緑やピンクは手前の波にも使われています。カラフルなようで黄色~緑とピンク色を基調として全体的に使っているためちぐはぐな印象にはならず、統一感のある画面になりました。まだ暗さの残る中でキラキラと揺れ動いているようにも見える色彩には、閑静かつ幻想的なこの風景へ誘われているような感覚にさせられます。