寺内 油彩
岩田です。9月に入っても相変わらず暑いわ。
本日は、寺内さんの油彩をご紹介します。ご自身がとても好きな馬を描きました。
タイトルは「Pardon?」- 何て言ったの?って意味のようですが、そんな吹き出しを画面に書きたくなるような明るく楽しい作品。
馬が鎖をひきちぎってしまいそうな様子がコミカルで、快活さとパワフルな印象が魅力的です。
今回、初めての油彩ではありますが、独特のアプローチで描いています。
背景は油絵具の特性を活かし塗り重ねていますが、主役は、デザインでよく使われる所謂『色面分割』的な描き方で、モノを稜線などを主体に線で分割し、立体になるように色を選び塗分けています。
簡単に言うと、線を使いません。
線に頼らず、明るさ・暗さを手がかりに、どこから変わるか・どこで分けるか、を模索して描いていく方法です。
よく私は「対象物を面でとらて」と言いますが、石膏デッサンの面取りのような感じと考えてください。
明度の分割でとらえ、グラデーションにせず1色の平塗りにしているのに、立体的に表現できるのが『色面分割』です。
油彩もデザインも経験したことのない寺内さんが、光源を設定し、陰影がどのようになるかをイメージしながら色を決めていくのは、中々大変な作業だったようです。
分割面がかたちにハマっていないところもありつつ、しかし何と言っても、この粗削りな感じが凄くカッコイイ。寺内さんの描いたいものを描きたいように描くといった意志、勢いのようなものをひしひしと感じます。
次は果たしてどんな油彩を見せてくれるのだろう。そんな期待を持たせてくれる快心の1枚です。