モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

感覚の探求

2024-12-29 10:31:37 | スタッフ講師

武蔵野美術大学視覚伝達科1年のカサネです!中学生の時からミオスにお世話になり、高校時代は小学生クラスのアシスタントをさせて頂き、美大受験を経てまた戻ってきました。改めてミオスの皆さんと関わる中で、大学での授業とリンクすることも多々ありとても助けられました。今回は私が入学した武蔵美の視覚伝達デザイン(通称視デ)のことを書いていこうと思います!

どこの美大でも大抵1学年は基礎を磨きますが、視デの基礎は少し変わっています。私達が何にどう反応するかについてなど思考・感覚意識します。目隠しをして校内を練り歩くことから始まり、墨汁をぶちまけたり卵を高所から落としたり…。どれもしっかり理由はあるんですけどね笑(たとえば目隠し散歩は五感で一番頼る視覚を塞ぐことで他の感覚を研ぎ澄まし、新しい方向から日常を視る、という狙いがあります。)
入学前のイメージや噂は「真面目な視デ」でしたので、堅苦しく小難しい授業をするかと思いきや、不思議な授業が多く「いったい何を学んでいるのか」を常に自分で考える必要があります。課題の受け取り方、探索方法、制作方法、何をとってもかなり自由で、評価ポイントは課題と生徒らがどれほど化学反応を起こし、新しい発見をするか、なのです。毎時間必ずレポートを書き、中間講評で発表しなくてはいけないほど「言語化」を大切にしており、講評も先生からのコメントは少なく、生徒同士での意見交換がほとんどです。
課題に対しての姿勢は「作品制作」というより「研究」の方がしっくりきます。(よく他の美大と比べるときにグラフィックデザインの括りにされがちですが、中身は別物のように感じます。)

受験では常に一定の正解というか、正攻法があり、型の中で技術と発想を駆使するのが勝負方法でした。しかし大学ではそこに加えて「自分なりの発見」を求められらようになり煮詰まることが多くなりました。
そんな時に思考の一時休止や、新しい発想と価値観を得られる場所であるミオスにとても助けられました。大学ではある程度自分と似た境遇、趣向の人が集います。その点ミオスでは幼稚園児から小中高生、社会人など、様々な視点を持つ方がいますので。

少し前にオリジナル地図をつくる授業がありました。新しく世界を見るにはどうしたらいいだろうと考えた時に、アトリエのみんなのことを思い出しました。小学生クラスでやった課題を学生クラスですると、違う視点のものを作り出してたな、と。小学生だったらどうだろう、小学生になりきって歩いてみよう。もっと視界が低くなるだろうから、道に落ちている物に注目するのかな、とか。そうすると自然と案が出てきて、「自分以外になりきって世界を視てみる」という考え方が生まれました。

逆に学校で得た知識をアトリエの授業に活かせることもたくさんあります。感覚への探求で、言語が未発達の小さな子達の「視る触る」への共感もよりできるようになりました。
まだまだ至らない所が多いですが、大学での学びとアトリエでの学び、活かし合い、化学反応をさせながら精進していきたいと思います。来年もよろしくお願いします。


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