松尾 油彩/和紙/木製パネル
岩田です。本日は、松尾さんの作品をご紹介します。
いつも様々な手法で描くことを楽しんでいる松尾さんですが、今回の作品も、野心的な試みが新鮮に映ります。支持体に色々なアイデアを行う上ではキャンバスではなく、木のパネルを支持体に使うことは欠かせません。
今回は、モノトーンを使った3作ですが、それぞれにまた、モチーフや手法を変えているのです。右手は、白と黒のみで描いた作品。合掌のポーズの回りが渦を巻き、念のようなものが上昇しているイメージでしょうか。
中央と左手は、猫をメインのモチーフの据えた作品。猫の柄を菱形や矩形の色面で塗り分け、グラフィック的なイメージを与えています。白地の上の有彩色の表現は、先ず金属のメッシュを画面に貼り付け、その上から絵の具を付けた筆で色を置くことで、ランダム且つ偶然に現れる絵の具の風合いを活かしています。
特に左手の作品は、絵の具を塗り重ねて何層か作った上で、刀で彫っていきながら下の層を見せていくというテクニックを使い、オリジナルの絵画表現を展開しています。
一番上の層、つまり白地に描かれた何気ない横向きの猫は、何となく日常を感じさせてくれる存在でありながら、前述した柄は、どこかデジタライズされたような印象。ところが刀で彫り進めていくうちに、古代のギリシャ陶器とおぼしき赤茶色の肌と黒絵が表れてきたのです。そして、そこにも神話に出てくるような人物と共に猫が描かれています。
松尾さんならではの時代や空間をまたぎ、それらを対比させたような何とも面白い表現であると共に、彫っていくという作業が、土の中から古いものを発掘していくような作業を起草させてくれるのでした。
追伸 約2年前に動画を撮っておきながら、少し間を空けてからアップしようとそのままになっていた松尾さんの作品を、今!公開します!(松尾さん遅くなってごめんなさい。)久し振りに私の語りをYouTubeでご視聴くだされば嬉しいです。こちら