モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

にじみやぼかしを使って

2017-05-13 00:40:44 | 大人 水彩

箕輪 透明水彩

岩田です。GW明け一発目は土曜午前クラスの箕輪さん。
春らしいとても清々しい一枚です。 モチーフはサクラとそこにとまるムクドリ。透明水彩の特徴を活かし、美しく表現されていますね。

密集している花をじみやぼかしを多用して描いていくという狙いは、演出という意味でも面白いですし、こうしたものを描く上で理にかなっている表現だと言えます。脇役の花は雰囲気重視、主役は対照的に描きこんであげることで視点が散漫になってしまうことを防げます。

又、枝を見てみてもサクラの木のごつごつとした印象を良くとらえていますね。光源に対して光が直接当たる側、影側の明度も的確に描いており、自然な立体感が出ています。

主役のムクドリも優しい顔が印象的ですがやや平面的な感じになっていますね。又、ムクドリが止まっている位置や光源を考えるとその上にある枝の影が投影された方が自然な印象になるでしょう。画面の中に箱庭的空間を想像し、そうした現象までも的確に描くことが出来れば作品の質も更にレベルの高いものになっていきます。

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内面の表現

2017-05-12 22:50:50 | 学生

優輝 高2 油彩

菅原です。昨日のアップをすっかり忘れて今頃すみません!

美術系の大学を希望し高1からアトリエに通っていましたが、「やはり美術は趣味でいく」と進路を変えた為、残念ながら4月一杯で退会した優輝の最後の油絵2枚です。
モチーフも構図も自分で考えセットしました。油絵を描きたい気持ちが強く、仲良しなクラスメート8人が日本画を描いている中でも自分を曲げず、一人油絵を描き続けていました。
本当に、なにが彼女を奮い立たせるているのか疑問に思ってしまうほど、入会してから油絵ばかり描いていました。

彼女が入会してきた時のことですが、木曜学生クラスは完全に女子クラスで和気藹々と毎週やっているのですが、いつのまにかスッと馴染んで、「いつから入会したんだっけ?…うーん一ヶ月前?馴染みすぎて信じられない!」というやりとりが行われていました。
そんな輪の中に入りつつ、自分でモチーフを組み、時には黙々と描き込み、やる気が出ない時には他の生徒を妨げたりせず、自分でボーッとする時間を設けたり、一見ドライなようで気遣いのできる不思議な生徒でした。(油絵を描く時って気をつけていても汚れまくるので基本どうでもいい服で来るのがセオリーなのですが、彼女の大人っぽい容姿に小学生時代のもうどうでもいい服を着ているのがなんともちぐはぐで、それもミステリアスさに磨きをかけていました。)
写真左が先で右が後の作品なのですが、左の要素詰め込み感に比べ右手は削ぎ落としたようなシンプルなモチーフの配置で、彼女自身の画力が向上したことがはっきりとわかります。
意図せずかも知れませんが、好きな質感のものばかりでなく今まで描いたことのない物に挑戦し続けていることも、素晴らしいです。
あまり思っていることを無駄に口にしない彼女でしたが、本当に自己表現として絵を描いている感じがしました。
ここで先生たちに絞られて得たストイックさも活かして、頑張って行って欲しいと思います!
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せんろは つづく

2017-05-11 21:56:44 | 親子

昨日のブログ、大人クラスの体験授業状況と同じく、親子クラスも45月とご参加希望の方が多く、毎回授業でキャンセル待ちをされる方が数人出ておりました。親子クラスは、月に2回授業がありますが、お申し込みは随時受け付けていますので、ご連絡頂いた時点で定員に達していなければ、いつでもご予約ができます。6月以降の予約も可能です。先着順にご予約は受け付けておりますので、ぜひ早めに体験授業のご連絡をいただければと思います。

さて久しぶりの親子ブログ更新となりました。はじめてアトリエに来てくれた23歳児は、はじめての習い事・はじめての先生とお友達ということで、ちょっと緊張気味な表情です。楽しみ半分、ドキドキ半分。お母さんはずっと一緒にいてくれるのかなぁという不安もあるでしょう。今週もはじめてのお友達がいたので、まずは緊張ほぐしで、先生とジャンケン大会からスタート!少しコミュニケーションがとれたところで、今度はクレヨンを使ってお母さんと2人1組になって「ジャンケンゲーム」「おにごっこ」をしてクレヨンの線遊びをしました。この作戦で、表情はもうニコニコです。楽しいスタートになること間違いナシ!!

この日は、『せんろは つづく』という、線路をどんどん繋いで電車を通していく絵本を導入に使って、電車制作と街づくりをしました。電車制作は、窓の形を切る時に、ハサミの刃を大きく広げて、1回チョキンと切るやりかたを練習しました。1回チョキンと切り落とすと、四角い窓ができます。車体に貼った窓の並べ方がみんなリズミカルでいいですねぇ。

模造紙を何枚も繋げた大きな紙には、大人もこどももみんな一緒に街づくりです。お母さん達も夢中でクレヨンでお絵描きしてくれて、こども達は絵の具をつけたローラーがお気に入りで、大混雑の街になってしましましたが、思い切り遊べて楽しそう!手はもちろん、足の裏まで絵の具だらけでした!(Eri Ito)

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大人クラス

2017-05-10 00:01:29 | 大人 デッサン

新しい事を始めたくなる季節になり、大人クラスの無料体験授業を受講される方が増えております。現在、水曜午前クラス・水曜夜間クラス・土曜午前クラス・土曜午後クラス・日曜クラスが定員ギリギリとなっており、ご希望の日時に体験がままならないこともありご迷惑をお掛けしております。
5名のみ在籍(月曜)というクラスもございますので、お電話でお問合せ下さい。

私共の絵画教室では、趣味で制作されていらっしゃる方が多いのですが、お仕事に活かしたり、スキルアップを目指したり、と目標が明確な方も在籍しております。
ゲーム会社の方が多い中、住宅設計の営業をされている方や、造園業の方もおいでになります。その方達は、お客様のイメージした住居や庭のお話伺いながら「このような感じですか?」とサラッと描いてお見せできるのが目標だそうです。

どのような目標の方でも、まずはデッサン力を鍛えて頂きたいと思っており、最初にお薦めしております。
焦って小手先のテクニックを身に付けても、すぐに使い物にならなくなります。見たもの・頭に思い浮かべたものを、正確に平面に描き起こせなければ、立派なコンセプトもなかなか説得力を持ちません。
せっかくの春、正確に描き写す技術をじっくり養う鉛筆デッサンを始めませんか?また、今一度基礎デッサンに立ち返りませんか? どうぞお気軽にスタッフにお声掛け下さい。 

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GW独り言すみません

2017-05-09 22:16:55 | スタッフ講師

幸介先生がインフルエンザでダウン。連続オバラで失礼します。
皆様、どのようなGWをお過ごしになりましたか?私は夏に控える個展の為の制作をしておりました。が、夜は毎日美味しい店で贅沢に外食三昧でした。

その中の一日、南澤先生がプロデュースしたばかりで先月オープンさせた下北沢隣、池ノ上駅にあります『トネリコ』というレストランに岩田先生と招待してもらいました!(南澤先生と岩田先生は藝大時代の友人で同い年、私は1つ上なので、割と?3人仲良し)

子連れでも一人でも気軽に入れるほっこり洋風食堂を目指してデザインしたそうで、料理、ワイン、内装、植物、音響、食器やカトラリーまでそれぞれのプロフェッショナルの方の協力で、たくさんのこだわりのあるお店。岩田先生と感動しまくり、南澤先生をまた見直したのでした。(出会いがマイナスなので、プラスにしかならないw)
こちらのレストラン、建築も料理ももちろん最高なのですが私個人的には、南澤先生が4年前に作ったBAR WINDSORに勤めていた時から大ファンなシェフが目の前で料理をしてくれるのが最高のおもてなしかと思います。(でも実はあまりにドストライク過ぎて目を合わせられない。この図々しい私が…)
ちなみに岩田先生の個人的なお気に入りポイントは、旧東ドイツから輸入したTELEFUNKENのラジオとスピーカーだそうです。
ぜひ皆様、機会がありましたら足をお運び下さい!

もひとつオマケ。休み中に佳絵先生とも飲みに行きましたが、彼女の昔話になり「私が子どもの頃の記憶で一番印象に残っているのは、油絵のモチーフに良さそうな野菜を隣の八百屋で買って来いとお金を渡され、カブを買って来たら『いいモチーフだけどなんかつまらん。一口かじれ!』と命令されて、カブを生で食べられるかすごい不安だったけど、食べないで怒られる方がもっと怖かったんで食べました。しかも丸いモチーフを逆に丸く窪ませたお陰で、描くのが物凄く難しくなっちゃうわ、翌週には茶色くなっちゃってるわで、先生を恨みました。」と言うので大笑いし「わー、その先生クレイジーでサイコーだね!でも私ならそんな事されたらその絵画教室、辞めちゃうな☆」と気楽に返すと「お前が言うな!ですよ!しかも全く覚えてないでしょ?」と痛い所を付かれ、涙が出る程笑いました。佳絵先生の最後の〆は「もうだから私達女子は必然的に、幸介先生ファンクラブみたいになるしかなかったんです。」だったので、赤鬼(幸介先生)が愛される為には青鬼(私)が悪者になるしかないなと思いましたが、私のは誰かの為にわざと悪者になった訳ではなく、単に元々悪人だったという…
「佳絵先生ごめんね。生で食べて意外と美味しかったせいでカブが大好きになって良かったよ。そして復讐するなら、もうちょっと武器を増やしてからにしなさいね。返り討ちにされちゃうからね。」と心の中でエールを送りました。

以上、個人的なGW報告で失礼しました。

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アンデルセン挿絵ラスト

2017-05-08 00:50:00 | 小学生 絵画

オバラです。長々と続きましたアンデルセンのラストの記事です。
今回の作品紹介で3人の先生が色々制作風景を書いてくれたので、その補足を少々。
このカリキュラムを指導する際に気を付けたことは3点あります。

・舞台がヨーロッパであること(髪の色や目の色は黒の方が少ない)
・月が出ている時間あること(つまり場面は夕方~夜)
・月の視点であること(画面の中に月を登場させるか、月明りを感じさせる)

観察画ではないので、かなりフリーダムに(普段はアニメのような表現は禁止しています)描かせましたが、上記3点の制約を加える事で、逆に子どもたちの想像力・表現方法が豊かになりました。禁止事項がある方がむしろ幅が広がるのは、制限・束縛がある方が頭を使い工夫するということでしょう。「自由に伸び伸びと」が、ただの放置になってしまっては教育とは掛け離れてしまいます。
そんなことが見て取れる面白い課題でした。

追伸 先日紹介したヨシュア君のユーチューブが新しくなりました!以下ヨシュア君から

アンデルセンも前回のはテストなので、小学生クラスの粘土の作品もプラスして、こちらに入れました。
https://youtu.be/Y8sT7mVwmSw 

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アンデルセン挿絵6

2017-05-06 00:24:17 | 小学生 絵画

『絵のない絵本』アンデルセン - 上段左から 匠汰 慶徳 こなみ 貴史

第三十一夜

『あれはある小さな田舎町での出来事でした。』
と月は言いました。
『実は去年の晩、びっくりするようなことがあったんです。あれは、町外れの居酒屋でした。下の食堂でクマ使いの男が夕飯を食べていました。クマはつみあげた薪の束の後ろでつながれていました。見かけはおそろしいが、らんぼうなことをしないのに、かわいそうだと思いました。上の屋根裏部屋では、私(月)の光をあびて、クマ使いの小さな息子たちが三人遊んでいました。一番上の子は6才ぐらい、一番下の子は1才か2才でしょう。
“バタン、バタン”
階段を上ってくる足音がしました。だれでしょう。パッとドアが開きました。それは毛むくじゃらの大きなクマでした。きっと庭でじっと待っているのにあきてしまったのです。そこで、階段を上っていく道を見つけたのでした。私(月)は、それをしっかり見ていました。』
と月は言いました。
『子どもたちは、毛むくじゃらの大きなケモノを見て、たまげてしまいました。部屋のすみっこにもぐりこみましたが、クマは三人とも見つけてしまいました。そうして鼻でくんくん嗅ぎまわりました。でも、別に悪いことは何にもしませんでした。
“これはきっと大きい犬だ。”
子どもたちはそう思ったものですから、クマをなでてやりました。クマはゴロンと床の上に寝そべりました。一番小さな子が、そのうえをころげまわって遊びました。その子のちぢれた金髪の頭は、クマの濃い黒い毛皮の中に隠れました。今度は一番大きな子が太鼓を持ち出してドンドン叩きました。すると、クマは立ち上がり踊り始めました。本当におもしろい様子でした。今度は、子どもたちが、鉄砲を持ち出してきました。子どもたちが鉄砲をかつぐようにクマも鉄砲をかつぎました。
「いっち、にっ、いっち、にっ」
と、みんな行進し始めました。
すると、またドアが開きました。それは子どもたちの母親でした。そのときの母親の顔といったら、ほんとうに見せてあげたいものでした。母親は、青白い顔をして、ポカンと口を半分開けたまま、じっと見つめていました。ところが、それを見た一番下の男の子は、コックリと楽しそうにうなずきながら、大声をはりあげて言いました。
「僕達、兵隊さんごっこ、ちているだけだよ!」
そこへ、クマ使いがやってきました。』

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アンデルセン挿絵5

2017-05-05 00:20:33 | 小学生 絵画

『絵のない絵本』アンデルセン - 上段左から 絵奈 昆 優 月咲 江里子

第二十二夜

また別の日の晩、
『小さな女の子が泣きじゃくっていました。』
と月は話し出しました。
『いじわるをされて、悲しくて泣いていたのです。その子は、とてもきれいなお人形をプレゼントにもらいました。それは、とても可愛らしくて素敵なお人形でした。それなのに、いじわるなその子のお兄さんは庭の高い木の上にその人形をのっけました。お兄さんは背が高いので、女の子は手が届きませんでした。だから泣き出してしまったのです。お人形もきっと泣いていたでしょう。もう外は暗くなり、もうじき夜になってしまいます。女の子はお人形をひとりぼっちにすることができませんでした。
「お人形さん、私もずっとここにいるわよ。」
とその女の子は言いました。
この子だって暗い夜は怖いのです。背の高いとんがり帽子をかぶった、いたずら好きな妖精たちが、木の間からのぞいているのがはっきりと見えました。それに真っ暗な通りを、ひょろ長い幽霊達が、踊っていました。だんだんお人形の方に近付いてきて笑いながらお人形を指差しています。女の子はどんなに怖かったことでしょう。
「でも、お化けや幽霊だって、なんにも悪いことをしていない人には、何にも悪いことできないはずだわ。私、何か悪いことをしたかしら。」
そういって女の子は考えてみました。
「ああ、そうだ。」
と女の子は言いました。
「私、足に赤いきれをまいていた、かわいそうなアヒルを笑ったことがあったわ。だって、足の不自由なアヒルさん、とてもおかしかったんだもの。だから笑ったんだわ。だけど、生き物を笑うなんていけないことよね。」
そういって、女の子はお人形を見上げました。
「あなた、生き物を笑ったことがある?」
と、聞きました。
するとお人形は頭を横に振ったように見えました。』

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アンデルセン挿絵4

2017-05-04 00:14:59 | 小学生 絵画

『絵のない絵本』アンデルセン - 上段左から 秀磨 操希 彩乃 愛莉 唯香

第十六夜

また別の日の晩、
『イタリア喜劇の、ピエロのポロンシオンを知っています。』
と、月は話し出しました。
『彼は、身振りひとつひとつまでもがおもしろく、彼が現れると劇場は、爆笑のうずにまきこまれます。それは、彼の生まれつきの素質なのです。
彼は、背中に一つ、胸に一つ、こぶがついています。しかし、清らかで美しく、豊かな心を持っていました。もし、顔や体形が美しかったら、一流の役者になっていたことでしょう。
けれども、彼はピエロでなくてはいけないのです。彼が真面目に演じることが、逆にお客さんを笑わせるのです。
恋人役の女優であるコランビーネは、彼に優しく親切でした。しかし、コランビーネは結婚相手に同じピエロのアーレキノを選びました。コランビーネがポロンシオンと一緒になったら、美女と野獣の組み合わせで、それこそおもしろいことになったでしょう。
コランビーネが婚約してからポロンシオンはすっかり落ち込んでしまいました。
彼が少しずつ明るい顔を取り戻すと、彼女は彼をからかいはじめました。
「あなたが、なぜ落ち込んでいるのか、私にはちゃんとわかっているのよ。」
と彼女は言いました。
「あなた、恋をしているからよ。」
彼は思わずふきだしました。
「おれさまが恋をしているだって!」
と彼は大声をあげました。
「そりゃまたゆかいな話じゃないか。さぞかしお客がおもしろがるだろう。」
と彼は言いました。
「恋をしているからよ。」
と彼女はつづけました。
そして、おどけ半分に、悲しそうなふりをして見せながら言いました。
「あなた、恋をしているんだわ。この私に。」
彼は、笑いころげました。しかし、彼女の言っていることは当たっていたのです。彼は、彼女を深く愛していました。彼は彼女の結婚式の日、夜ひとりになると、声をあげて泣いていたのです。
ところがその後、コランビーネが突然亡くなりました。
葬式の日、夫のアーレキノは舞台に出なくてよいと言われました。
そのため、ポロンシオンは舞台がさみしくならないように、にぎやかにしなくてはなりません。彼は、悲しみで胸いっぱいになりながら踊り、はしゃぎました。彼の芝居は、本当にすばらしいものでした。沢山の拍手と歓声をあびました。
そして夕べの事です。彼は、コランビーネの墓の前にうずくまり、かたひじついて私(月)を見あげていました。なにやら、きみょうで、こっけいで、まるで、墓場のポロンシオンとでもいう名の記念像のようでした。観客が見たらきっと拍手をして大かっさいして歓声をあげたことでしょう。』

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アンデルセン挿絵3

2017-05-03 00:10:02 | 小学生 絵画

『絵のない絵本』アンデルセン - 上段左から ひなの 琢斗 梢 渉太 音羽

第十四夜

また別の日の晩、月は話してくれました。
『森の道にそって、二軒の農家が並んでいました。入り口のドアは小さく、窓は上と下についています。家の周りには紫色の花や黄色い花を咲かせた植物がおいしげり、屋根は苔でおおわれていて、黄色い花が咲いています。
小さな庭には、キャベツとジャガイモしかありませんでしたが、赤い実をつけた木が、壁のように並んでいました。その下に、小さな女の子がすわっていました。
その子は茶色い眼で、家と家の間の年取ったカシワの木をじっと見つめていました。この木は枯れた高い幹をもっていて、幹の一番上にコウノトリが巣を作っていました。
家から小さい男の子が出てきて、女の子の隣に座りました。二人は兄妹だったのです。「なにを見ているの?」
と男の子が聞くと、
「コウノトリを見ているの。」
と女の子が言いました。
「お隣のおばさんが言ったの。今夜、コウノトリが弟か妹をつれてくるって。だからつれてくるところを見ようと思ってじっと見ているの。」
「コウノトリなんて、なにも連れてきやしないよ。」
と男の子は言いました。
「おとなりのおばさんは僕にもそう言ったんだ。でも、言いながら笑っていたんだ。だから僕聞いたんだよ。"神様にちかって"も、ほんとだって言えますかって。そしたら、なにも言わなかったよ。だからコウノトリの話なんて、つくり話にきまっているんだ。」
「でもそれなら赤ちゃんは、どこからくるの。」
と女の子は聞きました。
「神様が連れてくるのさ。」
と男の子は答えました。
「神様が服の下に隠して連れてくるんだ。だけれども、人間には神様は見えないんだ。だから連れてくるところは見えないんだよ。」
と男の子が言うと、急に風で木の枝がザワザワという音をさせました。
子どもたちは両手をお祈りするように組んで、顔を見合わせました。きっと神様が赤ちゃんをつれてきたのでしょう。それから二人は手を取り合いました。家の戸からおばさんが顔を出しました。
「さあ、入ってらっしゃい。コウノトリがつれてきた赤ちゃんをごらん。可愛らしい弟だよ!」
とおばさんが言いました。
でも二人とも、その弟が来たことを、もうちゃんとわかっていました。』

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アンデルセン挿絵2

2017-05-02 00:03:51 | 小学生 絵画

『絵のない絵本』アンデルセン - 上段左から 暁希 啓人 伊麗奈 萌花

第二夜

ある日の晩、月は私に話してくれました。
『私(月)は昨日、家に囲まれている、小さな中庭をのぞいていました。そこには1羽のニワトリと10羽のひよこがいました。ところが、そのまわりを、ひとりの小さな女の子が走りまわっていました。
ニワトリはびっくりして、ケコッコッコと鳴きながら、ひよこをかばいました。そこに、女の子のお父さんがきて、女の子をしかりました。
それで今日もまた、その中庭をのぞいてみました。すると、またあの女の子がひっそりとニワトリ小屋に入り、ニワトリのところに近付いていきました。
ニワトリは驚いて、鳴きながら羽をバタバタさせ、逃げまわりました。女の子ときたら、そのあとを追いかけるのです。私(月)は、その様子をニワトリ小屋の壁の穴からのぞいていました。私(月)は、このいけない子にすっかり腹が立ったので、その子のお父さんが女の子の腕を掴んで、昨日よりも強くしかったときは、ホッとしました。
女の子は、頭を後ろにそらすと、青い目に大粒の涙が光っていました。
「ここでなにをしているんだ。」
とお父さんは問いつめました。
女の子は泣きじゃくりながら
「きのうはごめんなさいってニワトリにキスしたかったの。でも、パパにそういうとしかられると思ったの。」
と言いました。
するとお父さんは、むじゃきで愛くるしいその子のひたいに、キスしてやりました。私(月)もその眼と口にキスしてやりました。』

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アンデルセン挿絵1

2017-05-01 23:58:54 | 小学生 絵画

『絵のない絵本』アンデルセン - 扉絵  健太

オバラです。ゴールデンウィークはアンデルセン『絵のない絵本』特集でいこうと思います。先にアンデルセンの事を少々。少年時代はあまり裕福ではない家庭に生まれ、苦労したそうです。大人になってから片思いの歌姫に振られ、その後は生涯独身を貫き、根無し草の旅人のような暮らしをしました。旅の途中で数々の童話を生み出したそうです。
『人魚姫』も『醜いアヒルの子』 も可哀そうな話なのは、そんな作者の作品だからでしょう。試しに高学年に「友達にいじめられるのはまだ耐えられても、醜いアヒルの子みたく、親兄弟にまで生まれた時から大人になるまでずっといじめられてたらどう?」と聞くと「俺、白鳥になる前に自殺してるわー。」「死ななくても相当卑屈になるよね。」「白鳥になってからも悪い夢見続けて鬱だよ。」と全くハッピーエンドにはなりませんでした。
では、物語のはじまりはじまり~ 

世界一物知りなお月様が教えてくれる不思議な出来事。
私は貧しい絵描きです。友達はいないし、窓から見えるのは、灰色の煙突ばかりでした。ところがある晩のこと、外をながめていたら、月が声をかけてくれました。
「私(月)の話すことを、絵におかきなさい。」
はじめて来た日の晩に月はそう言いました。そして、月はたずねてくるたびに、前の日の晩とか、その日の晩に見てきたことを、なにかしら話してくれました。これからお話しするのは、紙の上に描きつけた、ほんの下書きにすぎません。ですから、このお話を元に、絵を描いてみて下さい。きっと素敵な絵本ができるでしょう。

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