10. エボラウィルスはアメリカによって作られた
デラウェア州立大学の教授シリル・ブロダーリックは、アメリカ政府がエボラウィルスを製造したと発表した。
同教授によれば、エボラはアメリカ政府が生物兵器として開発した遺伝子組み換え生物であり、アフリカで
ワクチンを配布すると見せかけて実際はそのテストをしているのだという。またカナダ、イギリス、フランス
なども共犯として挙げており、WHOや国連も無関係ではないと主張する。
ブロダーリック教授がしばしば言及するのが、エイズウィルスがアメリカの科学者によって開発されたと主張する
レオナルド・ホロウィッツ氏である。
さらに、いかがわしい陰謀論記事やリチャード・プリストンの小説『ホット・ゾーン』にも触れている。
9. エボラウィルスなど存在しない
シエラレオネの病院で元看護婦が、エボラウィルスなど存在しないというとんでもない発言をした。
このアウトブレイクの真相は、医師が病院で人食い儀式を実施するための方便なのだという。
これを耳にした人全員が彼女の与太話を真に受けたわけではないが、同国は病院に対する信頼が低く、
外国人の医師や看護師よりも伝統的なヒーラーのほうが好まれる。あるエボラ感染患者などは、家族に
よって病院からヒーラーの許へ連れ去られたこともあった。
7月も終わりに近づくと、この看護婦の流言を信じはじめた人々による暴動がエスカレートしてきた。
診療所や治療センターを焼き討ちし、力ずくでエボラ患者を奪還しようとしたのだ。この時点において、
シエラレオネはエボラウィルスの感染者数が最も多い地域であったため、警官はケネマの病院を警備する
必要すらでてきた。結果として、群衆に向け催涙ガスが投げ込まれ、9歳の男の子が誤射の犠牲となる
事態まで発展している。
8. 塩水でエボラが治る
ナイジェリアの一部では、塩水を飲めばエボラが治るというデマが流布している。これは脱水症状で
死に至る危険性があり、実際少なくとも4人がこの療法を試して亡くなっている。
WHOでは、医師によるものではない民間療法、特にソーシャルメディアに投稿された情報に気をつけるよう
注意を呼びかけている。
しかし、感染が拡大した地域では医師に対する不信が募っており、こうした注意喚起にも懐疑的だ。
7. エボラは神の天罰である
7月に100名以上ものキリスト教指導者たちがリベリアの首都モンロビアで会合を開き、エボラ危機への
対応を協議した。そして満場一致で、神はリベリアに対して怒っており、住人を罰するためにエボラウィルスを
遣わしたのだと声明を出した。彼らによれば、神の怒りの原因は、汚職や同性愛などで、これに対応するには
3日間の断食と祈りが必要である。
リベリアのイスラム僧シェイク・サラ・シェリフもこれに同調し、姦淫、強盗、イスラム教指導者への不敬などの
罪が原因であるとして人々を非難した。これについて真意を質されると、彼は感染者は医療機関にかかるべきだと
意見を和らげながらも、根本的にエボラ危機を乗り越えるには「ウィルスではなく、神を恐れよ」と述べた。
6. エボラは呪いの魔術によるもの
西アフリカの一部で蔓延する別の流言飛語は、エボラは魔術によって引き起こされたというものだ。
適切な処置を行えば感染の広がりを止め、感染者の命を救える場合があるにもかかわらず、
噂を信じた人たちは、エボラを助かる見込みのない超自然的な死刑宣告だと見なしている。
例えば、国境なき医師団がギニア東部で保護した2人の姉妹は回復する見込みがほとんどなく、ただ静かに
死を待っていた。しかし12歳の姉ローズは魔術の噂を信じてはいないようで、医師の支持に従えばきっと
治るから安心して欲しいと母親とおばに告げていた。そして2人とも回復したのだ。
またエボラの不合理な恐怖の結果、感染者は村八分に遭うこともある。入院患者は、特に子供の場合、
家族の定期的な見舞いが不可欠である。しかし、恐れをなした家族が面会を拒否することは往々にしてある。
このようなエボラが魔術であるという迷信は、エボラを阻止するうえでも障害となる。病気が魔女や魔法使いの
呪いだと信じる人々は、医療を受診することを拒否する。病気の原因がウィルスであるということも信じないのだ。
5. 医師が意図的に人々をエボラに感染させている
いくつかの村では医師が病気に対して無力なのだとは考えない。逆に医師自らが拡散していると信じているのだ。
そうした思いに捕われた人たちは手を差し伸べる医師を避け、ときには迫害を加えることもある。
この噂が広まったのは、別の要件で病院を訪れた患者が院内でエボラに感染してしまったことが原因だろう。
極端なケースでは、患者を治療するために訪れた医師や看護師を村人が殺すぞと脅すこともある。
ギニアのコロ・ベンゴウ村では道をバリケードで封鎖し、国境なき医師団の侵入を拒むという事件が発生した。
その結果、エボラはさらに拡大することになった。
4. 邪悪なヘビが感染源である
こんな話がある。ギニアとシエラレオネの国境付近でバッグを持った女性が見つかった。誰かがそのバッグを
開けてみると中にはヘビが入っており、それを見るや否や女性は死んでしまった。そしてバッグを開けた者も
次に命を落とし、ヘビは近くの草むらへと逃げ込んだ。こうしてエボラがシエラレオネに侵入した。
根も葉もない話ではあるが、真実と一致する面もある。実はアウトブレイクはまずギニアで発生し、シエラレオネに
拡大したのだと考えられているからである。
エボラ・スネークを信じる者によれば、これは病気などではなくヘビの呪いなのだという。
3. エボラは白い悪魔の崇拝者によって拡散された
上の画像は9月にナイジェリアのウェブサイトに投稿されたものである。これと共にささやかれるのは、
エボラに関する噂の中で最も危険なものだ。
そのサイトによれば、ドクロを抱えたアニメ調の看護婦は「エボラちゃん」といい、ヨーロッパや
アメリカのカルト教団で崇拝される女神である。信者は祭壇でエボラちゃんに血を捧げ、犠牲者の心臓を喰らう。
そして、女神は信仰に応えエボラウィルスをアフリカ中にバラまいたそうだ。教団の医師は患者を治療するフリをして、
実際にはエボラの感染を拡大させている。
だが実際にこの画像が投稿されたのはナイジェリアからではなく、画像掲示板4chanの利用者によってであり、
ここではエボラちゃんはミームとして存在していた。4chanの利用者がエボラちゃんを見た場合、
「ありがとう、エボラちゃん」とコメントした後、アフリカ人絶滅に関するジョークを残す慣例があったのだ。
2. エボラ爆弾
ケンブリッジ大学の生物人類学者ピーター・ウォルシュ博士は、テロリストなら粉末状のエボラウィルスを
充填した爆弾を製造することができると論じている。仮にこれが使用されれば、大勢の人が命を落とすことに
なるのは間違いない。
現実には、バイオテロの可能性は確かに存在している。しかし数あるウィルスの中からあえてエボラウィルスを
選ばなければいけない必然性はない。エボラは空気感染も、水系感染もしないため、他の
ウィルスに比べてかなり汚染力が弱いのだ。
1. エボラ危機がニュー・ワールド・オーダーを発動させる