石森則和のSEA SIDE RADIO

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消えた恐竜。

2006-05-16 | Weblog
ある日、自宅近くを車で走っていたら、
道路端の塀に、
さびついた「交通安全」と描かれたブリキの看板を見つけた。

はっとした。
そこにはかわいいイラストとともに
「恐竜パーク」という文字が読み取れたのだ。

かつて女性誌などで頻繁に紹介されたスポットに
「恐竜パーク・横浜」というのがあった。

ちょうどバブルまっただなか、
テーマパークも雨後のたけのこのようにできていた頃だ。
遊ぶところには困らなかった時代。
当時、僕は学生で東京23区内に住んでいたが、
遊ぶ場所は主に横浜だったから
さっそく出かけた。

しかし。
そういったおしゃれなスポットだと思って出かけたら
かなりの「異空間」であった。

横浜の英連邦墓地の近く、
2800平方メートルの起伏にとんだ敷地を歩くと、
木々の間から実物大の恐竜の模型30体が
そこかしこに現れるのだ。

・・・でもね。
ディズニーランドの人形たちのようには一切動かない。

例えばブラキオザウルスは強化プラスチックでできており、
高さ14メートル。全長11メートルの迫力・・・なのだが。
リアルというよりはカラフルかつ、どこかマンガチック。
町の公園にある動物の遊具たちの延長線上だった。

だけどね、上るのも抱きつくのも自由。

なんだか、これはこれでとても幸せな場所かも?と思った。
恐竜もどこか楽しげな表情で、
子どもたちやカップルを
愛しげに見ていた。

中身のない、見栄と悪ふざけの季節の中で出会った
ほっとさせてくれる場所だった。

石森が行った印象では
「山の中にあちこちに置いときましたんで、あとはヨロピク。
好きに楽しんで!」という印象だったが
入園料は800円
(うーむ、これだけなのに高いか?と思いながら)
入り口の小屋のおじさんに払ったら


「おにぎりはいいの?」
・・・と勧められた。(もちろん有料)

おしゃれじゃねえ!
(でも、おにぎりが似合う場所)

・・・でもそのなんというか泥臭さが、ハート直撃?
一日800人の入場者を記録する盛況振りで
家族やカップルの穴場的遊び場だった。

これ、もともと地元の土木会社の社長が
「子供が自然と触れ合える場が少ない」と考えたもので
恐竜たちも自分たちでトラックで運んできた。




・・しかし。


ある時期から幻のようになんの情報もなくなった。
あの巨大な恐竜たちはどこにいったのか?

僕も学校を卒業して
地方のFM局に就職したので知らなかったのだが
「パーク」は煙のように消えてしまった。


まさか捨てられた?
あんな大きなものが?
それも数10頭も?!


なんだか悲しくなって、

あの、みんなの笑顔が浮かんできて、
個人的に調べてみることにした。

でも、なかなか情報がない。


しかし。


2001年
東京アクアラインを渡って反対側の木更津市畔戸に
「恐竜パーク・木更津」が開園しているのを発見した。

・・・これは関係があるのだろうか?

ありました。
やはり経営母体は同じ会社。

しかも。
ここにいる恐竜は55体!倍増している!うひゃあ。

さらに驚くべきことに
ここは有名テレビドラマのロケ地として一日500人が
訪れる人気スポットになり
恐竜くんたちは、まあ、スターに?なっていたのだ。
しぇえええ!


・・・では、ここにいけば恐竜たちに会えるのか?



会えない。



なんとこの「恐竜パーク・木更津」は
おととしに閉演しているのだよ。

運営会社が多数の地権者と結んだ借地契約を
更新しようとしたところ
一部が反対し、営業が続けられなくなったのだ。

・・・ではこの恐竜たちはどうなったのか?

また、悲しい気持ちで調べているうちに
気になる記事が見つかった。



「格安、ティラノサウルス231万円」


はあ!?


閉演の1か月前。
制作費に4000万円かかったブラキオザウルスが495万円などで大安売りされていた。
トータルで2億円かかった恐竜は1割程度で売りにでたのだ。

「大きすぎてどこかにもっていくことができないので
処分をきめた」らしい。

ドラマにつかわれたこともあり、
全国から問い合わせがあったようだが、
みんなバラバラに買われたのか?
売れ残ったのはいなかったのか?



彼らは今、どこにいるのか!?
ふええええ。





ふふふ。
見つけたよ!






今は、北海道にいる。しかも全員!!

リゾート施設運営の会社が
なんと、すべて一括購入してくれた。

札幌市内で運営するスキー場、
テイネオリンピア内の遊園地で
活性化に一役かっている。
HPで写真をみたが

子どもたちの笑顔は
あのころと変わらない。



横浜で生まれて14年。
恐竜たちは
今も子供たちを背中に乗せ
みんなで幸せに暮らしているのだ。

いつか再会したいなあ。
その日をまってるぜ。



ブラキオザウルスのように



クビを長くしてな。