
ロンドンのプリンス・オブ・ウェールズ・シアター,
貴族と一般の人が同席したエリザベス女王主催のコンサート。
ここでジョン・レノンが、言った有名な言葉知ってる?
「安い席の人は手拍子をしてください、
高い席の人は宝石をジャラジャラならしてくーださーい!」

そしてTWIST AND SHOUTへ。
労働者階級出身の彼なりの皮肉だが
本当にジャラジャラ・・・・
高貴なかたには皮肉は通じなかったようだ。

・・・それから40年近くたった
2002年6月3日におこなわれた
エリザベス女王の戴冠50周年を祝うコンサート。
そのときのビデオを、
一緒にクィーンのミュージカルを見に行ったことをきっかけに
ある放送局のかたにお借りすることができた。
「ミュージカルの出演者が、
クイーンのオリジナルメンバーのブライアン・メイと
ロジャーテイラーと共演しているから貸してあげるよ」
「へへえ、じゃあ見てみます」
・・・・ということだったのだが。
今見たら
これ、すごいビデオだった。
ブライアン・メイがバッキンガム宮殿の屋上で、
いきなり「God save the Queen」を弾き始める。
そのあとはクイーンのヒット曲オンパレード!
でも、かえって
フレディ・マーキュリーの不在が強調されたようで
少しさびしくなった。
問題はそのあとだ。
そのあとに出てきたのは
アメリカ代表の「ブライアン・ウィルソン」
・・・ビーチボーイズの元リーダー。
ただ、その明るいサウンドとはうらはらに
最初、ネクタイをしめたスーツ姿のおじいさんが、
キーボードの前に、よい姿勢での座ったまま
サーフ・ナンバーを歌う姿に以前の姿との違いを感じた。
「?」って思っていたが、
彼が来日公演をしたころ、
自分の番組であるエピソードを紹介したことを思い出した。
~彼は1966年ごろから病気になり、
自宅に引き篭って酒やドラッグ・過食におぼれる毎日だった。
ミュージックシーンから消えたのだ。
しかし、まわりの助けもあって80年代後半に復帰した~
ビデオに収録されたライブは2002年、
ワールドツアーのころだから、
久々に彼の姿を見たファンには、
感激もひとしおだったろう。
途中、エリック・クラプトンが呼び込まれ、
「Good Vibrations」を一緒に歌っているとき、
初めて笑顔がこぼれ、胸に迫るものがあった。
とまあ、このように
クラプトンをはじめ、出演者は夢のような顔ぶれ。
エルトンジョン、ロッドスチュワート、ジョーコッカー・・・
すげえなあ、日本でこんなにあつまるイベントはないなあ、
そして・・・「ポールマッカートニー」
「BLACK BIRD」をアコギで歌った後
突如、ビートルズのプロデューサーだった
ジョージマーティンがMCとしてステージ脇に現れる。
そしてポールに向かって、はにかんだように
「よう、どっかで見た顔だな」
そのあと少し微笑んで
「亡くなったビートルズのギタリスト、
ジョージ・ハリスンの歌を、
ジョージの親友2人が歌います」と紹介する。
すると、
ポールがピアノの前に座り、
クラプトンがギターを持ってマイクの前に立った。
・・・ビートルズのWhile My Guitar Gently Weepsという
ジョージ・ハリスンが作曲した名曲は
エリック・クラプトンがリードギターをつとめている。
2人はギタリスト同士尊敬しあう、親友中の親友だが
クラプトンはジョージの妻パティに思いを寄せるようになり
なんとその後、結局、パティと結婚してしまう。
・・・それでも友情は壊れなかった。
クラプトンの名曲「いとしのレイラ」は
まだジョージの妻だったパティに捧げられたものだ。
スポットライトの中で
2人の「親友」は何を演奏するのだろう?
なんつって、もう、わかっていた。
高まる鼓動のようなリズムで、
ポールのピアノのイントロが始まった。
そしてギターソロ・・・
1968年と同じ、クラプトンの手によって紡ぎだされていく。
もしかしたらホワイトアルバム以来の競演かもしれない
クラプトンの指の腹のやわらかさまで伝わる
泣きのギターだ。
While My Guitar Gently Weeps・・・
僕のギターが優しくに泣いてる間に・・・
「全てが変わってしまった。
僕らは間違いから
多くを知ることができるはずなのに・・・
僕のギターは 優しく泣いて、調べをたどっていく」(要訳)
鳥肌が立った・・・
もうジョンも、ジョージもいない。
そして、画面を見て気がついた。
僕はポールの来日コンサートには
すべて行っているのだが、
ポールが弾いているピアノは、
今は亡き、ポールの奥さんのリンダさんが
ステージで弾いていたものだ。
4人が来日したときに泊まったホテルも
去年、幕を下ろした。
全ては変わっていく。
それでも音楽は面影を運んでくる。
・・・なんて悲しく、暖かいギターだろう。
演奏が終わったあと
クラプトンが
見たことないような笑顔を見せた。
若いころには見せなかった表情だ。
あの笑顔には、どんな想いがあったのかな?
女王が登場したところで、
「ヘイジュード」
出演者全員が声を合わせる。
ヘビメタ界のゴッドファーザー
オジー・オズボーン(太りすぎ)が
一生懸命歌っているのが、なんかかわいらしい。
そして会場全体で「All You Need Is Love」
ブアイアン・メイもギターを演奏している。
どう弾いたって、クイーンの音だ(笑)
まさに夢の競演!
なんかすごいもの見た。
よかった、
同じ時代に生きていて。
