170208 用排水路と安全など NHK報道の死亡事故増加を見て
今日もトラブル続きで、なかなかブログを書く時間がとれず、機械の故障もあり、とてもなにかを書く余裕がなさそうです。はじめは別のテーマ、毎日の<日本の研究者に米軍資金 「軍事研究拒否」形骸化>とNHKBS放送された「原爆投下 知られざる作戦を追う」を考えてみようかと思っていましたが、頭の中の整理もままならず、表題のテーマで駆け足して終わろうと思っています。これはまた別の機会にとっておくことにします。こういうのが多いので、いつになるやら。
さて、今朝のNHKニュースで、ほんの一瞬、用水路での死亡事故が増えていること、その管理主体がはっきりしないこと、安全策として金網などを設置しているが予算が不足して自治体が補助することを検討しているといったような内容だったと思います。
私自身、昔、この種の問題を書いた書籍を読んだきりで、あまり勉強していないので、正確なことはいえませんが、水利組合の役員をほんの少しやった経験と、河川というか水際の利用と安全性について、これまた30年位昔、横浜市立大で話をさせてもらったとき少し勉強した程度の知見で、少し考えてみたいと思います。以下は書籍や裁判例を踏まえたものではなく、頭に残っているわずかな知識で、書いています。
水路といえば、通常は潅漑用水路でしょうか。潅漑用に流す水路は用水路として、そして利用した水を排水する水路は排水路として、一応、区別して利用されています。こういった用排水路について、直接的な法規制はないように思います。管理についても、明確になっているところは少ないのではないかと思います。
とりわけ慣行水利権として長年利用されてきたような水路のうち、幹線的な水路は地元の水利組合が管理していて、それ以外の各農地間に流れる水路については、水路に接して利用する農地所有者がそれぞれ管理することが普通ではないかと思います。土地改良法に基づき圃場整備が行われて新たに整備された用排水路は土地改良区が担うことが多いでしょう。
とはいえ、その管理といっても、草取りや水漏れの補修、崩れた土手の小規模改修などは水利組合ないし土地改良区が行っているのではと思います。費用も構成員の負担で一定程度やっているようですが、少し規模が大きくなると自治体が行うように思います。
農村地域は、とくに西日本では、ため池と用排水路がたくさんあります。和歌山もそうですね。で実際に当地で死亡事故が起こったというのは聞いていませんが、現在の用排水路の構造・形態を見ると、決して安全だと言い切ることはできないと思います。
当地の用排水路は、おそらく数十年前にくらいに、ある箇所以降を掘り下げて、コンクリート三面張りにして、高低差が2mを優に超える深さ、幅が3mくらいでしょうか、大きな構造になっています。さらに紀ノ川に近づくにつれて規模が大きくなっています。
その排水路沿いは一部柵はありますが、通路を車が通れるようになっているものの、ほとんど柵がありません。いつだったか、軽四が排水路に落ちたそうです。その後、クレーン車に来てもらってあげてもらったのでしょう。幸い、運転者はたいした怪我もなかったそうです。
子どもは、昔は通学路だったそうですが、少なくとも大規模排水路になってからは通学路としては利用されていません。とはいえ、少なくない子どもたちにとっては、フナや亀などいろいろいて楽しいのでしょう、排水路に降りていって、水の中で遊んでいます。
そういえば紀ノ川も遊んではいけない場所のようです。たしかに川の地形や流れの状況を理解していないと、底が浅いと思っていても、いきなり深くなっているところがあり、川の流れも急なところもあるので、砂利に足を取られたりすると、転んで浅いところでも溺れる危険はないとはいえないでしょう。
また、ため池も多いですが、これも遊んではいけないことになっていますが、中には釣りにやってくる子どもがいます。
ため池も、私自身2度でしたか、空にして堆積した土砂、汚泥を取り除くため、カラスというため池の底を抜く樋を開けるため、入っていったことがありますが、ずぶずぶですね。で、ため池は通常、堤防で仕切られていますが、傾斜になっていて、仮に貯水状態で水の中に滑ってしまうと、底なし沼とまでいかないですが、ずぶずぶと埋まってしまうようで、当然足も取られるので、溺れる危険があるでしょう。
しかし、溺れる危険があるから、近づかないのが正しいあり方かは、それぞれの地域特性や地域住民の意識を踏まえて考える必要があるように思います。近づかないように、金網のフェンスをつけるとかしても、そこの一部を破って、あるいは乗り越えて、入っていく可能性は否定できません。それで安全対策を講じていたと言い切ることも難しい場合もあるでしょう。穴が空いているのを放置したなんて言われかねません。
子どもだけでなく大人、とくに高齢者についても配慮が必要で、それぞれ共通する視点と異なる視点が必要かと思うのです。
少なくとも、水と安全に付き合う方法、その危険性を理解させること、その場所を選んで子どもには経験させることが大事ではないかと思うのです。単に危険に近づかない、近づかせないという、看板や警告は、決して有効な手法とは思えません。
子どもにとって、水の中にいる生物と興じることは心の成長や生態系への理解にとって、とても大切なことだと思います。それはときには両親や近所の人が、ときには学校の先生が一緒になって遊んであげること、そしてその危険性を一緒に考えることが大事だと思うのです。
議論が全然違うかもしれませんが、知らないことによる恐怖感というのは、かえって危険になると思っています。アメリカ白人が、黒人を、ヒスパニックを、いまではイスラム教徒を、異常なほど危険視しているように見えます。それもイスラム教徒でも、サウジアラビアやエジプトのように内部で極端な差別的取扱がされているのを無視し、それ以外の7カ国を敵視するトランプ政権のあり方は、まさにそのような現れの一つに思えるのです。イスラム教徒を知ろうともせず、胆略的にテロと結びつける今回の入国禁止大統領令は、白人層を含むアメリカ人の大半が支持しているとも報じられています。彼らのこのような過激な敵視思想は、相手を知ろうとしないことも一つの要因ではないかと思うのです。
さて軌道に戻すと、危険に対して、その危険の実態をよく知ることが大事だと思うのです。
むろん、水路の安全管理の責任が、水利組合なり、自治体なりにあることは前提であり、その安全配慮の対応は不可欠と思いますが、それはハードで、壁をつくることがベストではないと思うのです。ソフト的手法、危険といい付き合いをする、意識を持たせることが大事だと思うのです。
その中で、これ以上の危険は避けるべきというのがある程度醸成されていくように思うのです。
それは危険箇所の把握です。ため池や用排水路、自然河川がすべて危険なわけではなく、いずれもラムサール条約の対象となりうる、生態系が豊かな場所であり、そのような恵まれた環境を知ること、その生態とともに生きることの重要性を知ることも大事でしょう。
また、高齢者に多い、大雨や台風などでの、状況把握のために、あるいは枯れ枝などで堰止められていないか監視活動をしたりするため、あるいは支障木の除去作業をしたりしていて、用排水路に落ちてしまう事故も少なくないと思います。
私も大雨の時など心配になり、見に行きます。しかし、その流れは荒れ狂っていて、普段の姿とはまったく異なります。足下も不安定になっています。溢水している場合もあります。枯れ木が流れてくることもあります。強風に飛ばされそうになることもしばしばです。
朝早かったり、夜であったりすることもあり、懐中電灯では視界が狭くとても周りがよく見える状況ではないことが少なくありません。
でも多くの高齢者は、不安になって出かけます。そのような活動を止めることが一番と言うことは誰もが承知しています。でも多くは自分がやらなければと思っている人なのだと思います。それが農村者会で生きている少なくない高齢者の生き方かもしれません。
とはいえ、高齢になると、以前ほどには対応できないことと、最近の異常な豪雨は、予想できない程度に到っていると思います。改めて地域の共同活動の必要を感じます。ハザードマップができ、配布されるようになりましたが、これは一応のもので、現実の危険に対応するものにまだなっていません。このようなハザードマップの広報を通じて、改めて自然の異変に対応できる地域における組織作り、その中で個々の高齢者の単独活動を最小化する努力が必要ではないかと思うのです。といっても農村でがんばっているひとはすでに60過ぎで若い、70代がまだ元気という調子ですから、若者が関与できるような組織作りを考えていかないといけないでしょう。
それには、子どもの遊び場として、その若い両親と高齢者層が共同して楽しめるような活動ができるようになるといいなと期待して、今日は終わります。