テギョンいいなぁ、と思ったら、映画もドラマもこれからやるんですって。
すっかり若手俳優のひとりだなぁ。
しかも「僕とスターの99日」にも出てたって?
観てたよ、あれ!
テギョンだったのか!
《あらすじ》
サムドンは、耳鳴りがひどくなっていた。
これからも発作は起き続け、聴力が徐々に落ちて行くだろう。
ひとりで聞いた医師の診断は残酷だった。
もうすぐ自分の夢に、別れを告げることになる。
こんな時どうすれば?
彼は泣いた。ひとり、街の喧騒の中で。
オヒョクは辞表を出し、ヘミたちは芸術クラスに編入が決まった。
問いただすシ先生に生徒たちを頼み、学校は冬休みだ。
ヘミはトップ企画に呼ばれ、契約書を渡される。
契約条件は悪くない。
夢にまで見たデビュー……。
オヒョク先生は、借金返済のためなら反対だとはっきり言う。
大事な問題だから、よく考えないと。
最初はウキウキしていたヘミも、神妙な顔つきになった。
サムドンは編曲の講習にも出ないで田舎に帰ったらしい。
何も言わずに行くなんて……。
置いて行かれたコートに、学校の制服。
ヘミは一抹の寂しさを感じた。
サムドンは田舎にも家にも帰れず、街をさまよっていた。
ふと聞こえてきた音楽に誘われ、ライブハウスへ降りて行くと、
はみ出し者の歌を歌うバンドがいた。
大音量さえ、彼の耳にはくぐもったささやきに聞こえる。
まるで水の底に沈んでいるようで、
誰にも求められていない自分のことを歌われているようで、
サムドンはスピーカーの振動に触れながらぼんやりするのだった。
グループKのメンバーは、学校の作曲講習に出ることになった。
ジェイソンの向上心からきたことだったが、
ベクヒはそれを生き残りの手段にしようと社長に交渉した。
Aをとれれば、メンバー交代を考え直してもらいたい。
自分が会社にとって価値ある人間だと証明するつもりだ。
ヘミたちにとっても、作曲の授業は重要な試練になった。
オヒョクの辞職を知ったヘミは、学校長に抗議に行くが、相手にしてもらえない。
そこでシ先生が提案したのだ。
「入試組が全員Aを取ったら、オヒョク先生の能力を認めてもいいんじゃないかしら?」
これはシ先生の助け船?
こうなれば、絶対にAをもらって先生を取り戻さなきゃ。
しかし、肝心のサムドンがいない。
田舎にも帰っていないというし、一体どこへ?
サムドンは例のライブハウスでアルバイトし、寝泊まりしていた。
インスンによばれて彼に会いにいったヘミは、
すっかり様変わりしたサムドンを見て驚いた。
「一体何があったの?」
しかしサムドンは、強い口調で彼女を拒んだ。
先生があたしたちのせいで追い出されたの。
先生を取り戻すのにあんたが必要なの。
行こう!
「また行こう、か。
俺がここで何を考えていると思う?
1日に何万回も後悔してるよ。ソウルに来たことを。
何度も、悔いてる。
お前の手をとったこと、お前の嘘を信じたこと、お前の歌をきいたこと、
お前についてきて、音楽に夢中になったことも!
だからもう、消えろ、頼むから」
サムドンの口からそんな言葉をきくとは思わなかった。
サムドンの目があんなに冷たく自分を見るとは思わなかった。
サムドンが自分を拒絶するとは思いもよらなかった。
作曲の授業は外部講師の指導で進んだ。
ジェイソンの協力で、サムドンの代返はきいているけれど、
彼はまったく授業に出て来ない。
ヘミは一生懸命ノートを取り、彼に会いに毎日通った。
「絶対あきらめないわ、あんたも、先生も」
作曲講習の課題が出た。渡された歌詞に詩をつけるよう言われる。
作曲は、製品を作るのではなく、作品を作るように。
曲に感性を込めること。
自分が感じた大きな感情を曲に溶け込ませることです。
「感性を込めるってどういうこと?」
悩んだヘミとピルスクに、シ先生がヒントをくれた。
映画を観たり、本を読んだり、大人の話をきいてごらん。
ヘミは、サムドンにもらった漫画を見ながら、
彼との出会い、過ごした日々を思い返していた。
不思議だけど、自然に曲が浮かんできた。
あとはサムドンだ。
かならず課題は出してもらわなきゃ。
しかしサムドンは、居留守を使ってヘミを追い返す。
「なぁ、ほんとにいいのか?
あいつ、夜なか中おまえを探し回るぞ?」
インスンの心配をサムドンは聞き流した。
ヘミは思った通り、夜の街を歩き回っていた。
酔っ払いに絡まれ、連れて行かれそうになったとき、サムドンが助けに入った。
「消えろといったはずだ」
「言ったはずよ、絶対あきらめないって。わたしが苦しいとき、あんたが助けてくれた。
何があったか知らないけど、今度はわたしがあんたを助ける」
ヘミは、課題と一緒にペンダントを手渡した。
幸運のお守りだなんて信じてないけど、あんたにはそうなってほしい。
「消えろといったのに、お前が来たんだぞ」
サムドンはヘミの髪をなぜた。
「お前は今日のことをきっと後悔する」
謎めいた言葉を残して、サムドンは課題を持っていった。
久しぶりに触れる鍵盤は心地よくて、
あふれるようにメロディーがわいてくる。
夢中になって五線譜に書き付けた。
評価の日、サムドンは曲を作って持ってきた。
ヘミは笑顔だ。
だが、三人がAを取らなければ先生は戻れない。
講師の先生は評価が厳しく、一クラスに三人しかAを出さないことで有名だ。
入試組が独占できるだろうか?
ピルスク、ヘミが順に選ばれ期待するが、三人目のAはベクヒ。
がっかりするふたりだったが、サムドンには特別な講評がついた。
非常に目を引く曲であり、君たちの年では感じられないような悲しみがある。
ぜひショーケースで発表するように。
オヒョクはカラオケ教室でマダムたちに演歌を教え、糊口をしのいでいた。
「先生は僕らを捨てるつもりですか?」
冗談めかしてグクが聞くと、「まさか!」と笑って答える。
あんなに大勢の前で支えると約束したのに、そんなことができるもんか。
オヒョクは、キリン芸高の採用試験に書類を送っていたのである。
努力は続けていたぞ。さあ、面接試験だ!
シ先生は、疑問をぬぐいきれなかった。
ベクヒのA評価である。
あの子がそんな実力を持っているとは思えない。まさか?
そのまさかで、ベクヒは会社のスタジオに置いてあった楽譜から盗作をしたのである。
「なぜそんなことを?」
「先生が教えたんです。反則は悪くないって。
アジョンの靴に画鋲を入れたのだって、先生は知ってたでしょ?
2回も3回もやってたら、もうどうでもよくなる。
そうしてデビューも勝ち取ったんだもの。
それが、今度はヘミがわたしに取って代わると言うんです。
そんなのゆるさない。
わたしはどんなことをしても、この座は譲らないわ!」
その会話を、ヘミが聞いていた。
(つづく)
おお!なにやらまっとうな青春学園ドラマになってまいりましたぞ!
なんてな。
そんな風に思えるのは、すべてわたしの精神が安定したからです。
グクとヘミが観覧車で誤解を解いて和解できたから……。
そのうえキスを拒まず、ヘミがグクを受け入れてくれたので一安心~。
ららら~。
ごめんねサムドン……。
サムドンがすっかりぐれちゃって、
無表情で世をすねた青年になっちゃったのを見て心が痛んだよ。
すさんじゃって……。
そりゃそうだよね、音楽が命の少年が、
聴覚を奪われようというのだもの。
どうして自分がこんな生活をしているのか、
サムドンは決してヘミには話せない。
だってあの事故が原因だと知ったら、ヘミはどうなる?
自分の絶望を処理しきれずに殻に閉じこもったサムドンなのに、
心のどこかでは周りのひとたちのことを気遣って、
誰にも心配をかけないようにしているの。
なんと健気な奴なんだ……。
ごめんね、サムドーン!
ヘミに、自分の絶望をぶつけてしまうサムドン。ヘミもショックでしょう。
あんたがそんなに苦しんでいるのに、
それでもグクのさっぱりした笑顔に安堵しているわたしをゆるしておくれ。
苦しんだサムドンを支えたのは、ヘミ。
自分が苦しいときに助けてくれたサムドンを、今度は自分が助けるといって
絶対にあきらめなかったヘミの真心が、サムドンを救うのでした。
いや、まだ救ったかどうかわかんないけど。
サムドンの目つきがかわり、
「消えろといったのに、ここに来たことをお前は後悔するぞ」と
意味深なセリフ。
いったい何を後悔することになるというのでしょうか?
あ……またイヤな予感が……。
グクには忙しい合間を縫って、ヘミによく会うことをおすすめしておきます。
まめな男が最後は勝つのよ……。
「絶対にあきらめない」
これが、このドラマの重要なテーマですね。
夢を追う人へのメッセージなんだと思います。
若者への応援歌としての青春ドラマ。
王道だ。
愛に恵まれず、自分自身を生きることができなかったグクは、
天才ではありません。
ただ、ダンスが好きで、それが自己表現の手段なんだね。
だから彼の挫折や苦悩は、親子の愛情関係であったり、
恋愛問題であったり、感情がらみ。
ベクヒの場合もそうですね。
お父さんはいないものの、母親からの愛情をたっぷりうけたサムドンは天才。
だから彼の挫折や苦悩は、自己表現自体ができなくなる肉体系になる。
物理的にムリだ、という困難。
がんばればなんとかなるもんじゃない、というのがキモでしょう。
これちょっとずるいんだよね。
圧倒的な不幸なんで、どうしてもグクより深刻さが上に見える。
そこがヘミに訴えかけるポイントになっちゃって、
グクの今後が心配になるんです……。
天才だし、人柄もいいもんだから、
それぐらいしか壁がないというのも気の毒というか、
ドラマ的には安易な気もします。
ヘミはというと、ハイブリッド型でしょうか。
才能はある。
だけど、借金という外的要因で困難を味わう。
父からの愛情は受けている。
だけど、母親喪失の苦悩がある。
感情面と物理的側面での壁の両方があるのですが、
どちらもがんばれば(選択をし続ければ)なんとかなりそうです。
これが、グクとサムドン、どちらを選んでも良さそうな原因なんだな。
最も恵まれているのはジェイソンとピルスクで、
ふたりのラブラインが観ていてしあわせなのはそのせいでしょう。
キリン高のフツーの生徒たちは、
卒業して芸能関係の仕事に就いたり、裏方に回ったり、
上には上がいると自覚してフツーの人生を歩むわけで、
様々な人生があるんだな、と思います。
最初は底意地の悪かったインソンも、
なんだかんだサムドンを助けてやったりしてまともになりました。
ベクヒもはやく目を覚ましてほしいなぁ。
シ先生の最初の指導が雪だるま方式でふくらんじゃったせいもあるし、
今まで押さえつけられていた反動もあるし、
恋心のせいもあるんだけど……。
一度は盗作を我慢できたんだからさ。
事情を立ち聞きしたヘミが、友情のために契約をやめるのか?
「借金返済のためにデビューするならやめなさい」というオヒョク先生の忠告を受け入れるのか?
仕方なくデビューして苦しんだグクの姿も見ていますからね。
サムドンもそうですが、
ヘミももう一度自分の内面を掘り下げて、
自分にとって音楽とは何か?と考えるのが、ラストまでの命題なんだと思います。
今回最大のびっくりは、オヒョク先生の講師再応募ではなく、
シ先生が校長先生の娘だったという事実。
似てねぇ~。
もう、本当に苦しそうなサムドンに申し訳ない。
彼の苦悩にもう少し寄り添って深く考えたかったのに、
どうしても表面的な感想になっちゃってチョンマル ミアネ。
ベートーベンという偉人もいますし、
サムドンには音楽をあきらめないでほしいですな。
あ、ヘミに関してはあきらめる方向でひとつ……。←しつこい
【追記】
サムドンがライブハウスできいた曲は「절룩거리네」(びっこをひくよ)
これ、すごくいいなーと思って聞きました。
日本に入ってくるのはいわゆるK-POPアイドルの曲ばかりですが、
もちろん向こうにだってこういうバンドはありますよね。
オヒョク先生、おばちゃん相手のカラオケ教室で人気講師になってますね。
最初の頃とは大違いに成長しちゃって。
この道で十分食べていけそう。
グクもなにげに元気を取り戻しています。
オヒョク先生を心配して訪ねてきて、ご飯をおごってもらうの図。
年長者には甘え上手な男。
こんな表情が出るようになって、よかったわぁ……グクや。
すっかり若手俳優のひとりだなぁ。
しかも「僕とスターの99日」にも出てたって?
観てたよ、あれ!
テギョンだったのか!
《あらすじ》
サムドンは、耳鳴りがひどくなっていた。
これからも発作は起き続け、聴力が徐々に落ちて行くだろう。
ひとりで聞いた医師の診断は残酷だった。
もうすぐ自分の夢に、別れを告げることになる。
こんな時どうすれば?
彼は泣いた。ひとり、街の喧騒の中で。
オヒョクは辞表を出し、ヘミたちは芸術クラスに編入が決まった。
問いただすシ先生に生徒たちを頼み、学校は冬休みだ。
ヘミはトップ企画に呼ばれ、契約書を渡される。
契約条件は悪くない。
夢にまで見たデビュー……。
オヒョク先生は、借金返済のためなら反対だとはっきり言う。
大事な問題だから、よく考えないと。
最初はウキウキしていたヘミも、神妙な顔つきになった。
サムドンは編曲の講習にも出ないで田舎に帰ったらしい。
何も言わずに行くなんて……。
置いて行かれたコートに、学校の制服。
ヘミは一抹の寂しさを感じた。
サムドンは田舎にも家にも帰れず、街をさまよっていた。
ふと聞こえてきた音楽に誘われ、ライブハウスへ降りて行くと、
はみ出し者の歌を歌うバンドがいた。
大音量さえ、彼の耳にはくぐもったささやきに聞こえる。
まるで水の底に沈んでいるようで、
誰にも求められていない自分のことを歌われているようで、
サムドンはスピーカーの振動に触れながらぼんやりするのだった。
グループKのメンバーは、学校の作曲講習に出ることになった。
ジェイソンの向上心からきたことだったが、
ベクヒはそれを生き残りの手段にしようと社長に交渉した。
Aをとれれば、メンバー交代を考え直してもらいたい。
自分が会社にとって価値ある人間だと証明するつもりだ。
ヘミたちにとっても、作曲の授業は重要な試練になった。
オヒョクの辞職を知ったヘミは、学校長に抗議に行くが、相手にしてもらえない。
そこでシ先生が提案したのだ。
「入試組が全員Aを取ったら、オヒョク先生の能力を認めてもいいんじゃないかしら?」
これはシ先生の助け船?
こうなれば、絶対にAをもらって先生を取り戻さなきゃ。
しかし、肝心のサムドンがいない。
田舎にも帰っていないというし、一体どこへ?
サムドンは例のライブハウスでアルバイトし、寝泊まりしていた。
インスンによばれて彼に会いにいったヘミは、
すっかり様変わりしたサムドンを見て驚いた。
「一体何があったの?」
しかしサムドンは、強い口調で彼女を拒んだ。
先生があたしたちのせいで追い出されたの。
先生を取り戻すのにあんたが必要なの。
行こう!
「また行こう、か。
俺がここで何を考えていると思う?
1日に何万回も後悔してるよ。ソウルに来たことを。
何度も、悔いてる。
お前の手をとったこと、お前の嘘を信じたこと、お前の歌をきいたこと、
お前についてきて、音楽に夢中になったことも!
だからもう、消えろ、頼むから」
サムドンの口からそんな言葉をきくとは思わなかった。
サムドンの目があんなに冷たく自分を見るとは思わなかった。
サムドンが自分を拒絶するとは思いもよらなかった。
作曲の授業は外部講師の指導で進んだ。
ジェイソンの協力で、サムドンの代返はきいているけれど、
彼はまったく授業に出て来ない。
ヘミは一生懸命ノートを取り、彼に会いに毎日通った。
「絶対あきらめないわ、あんたも、先生も」
作曲講習の課題が出た。渡された歌詞に詩をつけるよう言われる。
作曲は、製品を作るのではなく、作品を作るように。
曲に感性を込めること。
自分が感じた大きな感情を曲に溶け込ませることです。
「感性を込めるってどういうこと?」
悩んだヘミとピルスクに、シ先生がヒントをくれた。
映画を観たり、本を読んだり、大人の話をきいてごらん。
ヘミは、サムドンにもらった漫画を見ながら、
彼との出会い、過ごした日々を思い返していた。
不思議だけど、自然に曲が浮かんできた。
あとはサムドンだ。
かならず課題は出してもらわなきゃ。
しかしサムドンは、居留守を使ってヘミを追い返す。
「なぁ、ほんとにいいのか?
あいつ、夜なか中おまえを探し回るぞ?」
インスンの心配をサムドンは聞き流した。
ヘミは思った通り、夜の街を歩き回っていた。
酔っ払いに絡まれ、連れて行かれそうになったとき、サムドンが助けに入った。
「消えろといったはずだ」
「言ったはずよ、絶対あきらめないって。わたしが苦しいとき、あんたが助けてくれた。
何があったか知らないけど、今度はわたしがあんたを助ける」
ヘミは、課題と一緒にペンダントを手渡した。
幸運のお守りだなんて信じてないけど、あんたにはそうなってほしい。
「消えろといったのに、お前が来たんだぞ」
サムドンはヘミの髪をなぜた。
「お前は今日のことをきっと後悔する」
謎めいた言葉を残して、サムドンは課題を持っていった。
久しぶりに触れる鍵盤は心地よくて、
あふれるようにメロディーがわいてくる。
夢中になって五線譜に書き付けた。
評価の日、サムドンは曲を作って持ってきた。
ヘミは笑顔だ。
だが、三人がAを取らなければ先生は戻れない。
講師の先生は評価が厳しく、一クラスに三人しかAを出さないことで有名だ。
入試組が独占できるだろうか?
ピルスク、ヘミが順に選ばれ期待するが、三人目のAはベクヒ。
がっかりするふたりだったが、サムドンには特別な講評がついた。
非常に目を引く曲であり、君たちの年では感じられないような悲しみがある。
ぜひショーケースで発表するように。
オヒョクはカラオケ教室でマダムたちに演歌を教え、糊口をしのいでいた。
「先生は僕らを捨てるつもりですか?」
冗談めかしてグクが聞くと、「まさか!」と笑って答える。
あんなに大勢の前で支えると約束したのに、そんなことができるもんか。
オヒョクは、キリン芸高の採用試験に書類を送っていたのである。
努力は続けていたぞ。さあ、面接試験だ!
シ先生は、疑問をぬぐいきれなかった。
ベクヒのA評価である。
あの子がそんな実力を持っているとは思えない。まさか?
そのまさかで、ベクヒは会社のスタジオに置いてあった楽譜から盗作をしたのである。
「なぜそんなことを?」
「先生が教えたんです。反則は悪くないって。
アジョンの靴に画鋲を入れたのだって、先生は知ってたでしょ?
2回も3回もやってたら、もうどうでもよくなる。
そうしてデビューも勝ち取ったんだもの。
それが、今度はヘミがわたしに取って代わると言うんです。
そんなのゆるさない。
わたしはどんなことをしても、この座は譲らないわ!」
その会話を、ヘミが聞いていた。
(つづく)
おお!なにやらまっとうな青春学園ドラマになってまいりましたぞ!
なんてな。
そんな風に思えるのは、すべてわたしの精神が安定したからです。
グクとヘミが観覧車で誤解を解いて和解できたから……。
そのうえキスを拒まず、ヘミがグクを受け入れてくれたので一安心~。
ららら~。
ごめんねサムドン……。
サムドンがすっかりぐれちゃって、
無表情で世をすねた青年になっちゃったのを見て心が痛んだよ。
すさんじゃって……。
そりゃそうだよね、音楽が命の少年が、
聴覚を奪われようというのだもの。
どうして自分がこんな生活をしているのか、
サムドンは決してヘミには話せない。
だってあの事故が原因だと知ったら、ヘミはどうなる?
自分の絶望を処理しきれずに殻に閉じこもったサムドンなのに、
心のどこかでは周りのひとたちのことを気遣って、
誰にも心配をかけないようにしているの。
なんと健気な奴なんだ……。
ごめんね、サムドーン!
ヘミに、自分の絶望をぶつけてしまうサムドン。ヘミもショックでしょう。
あんたがそんなに苦しんでいるのに、
それでもグクのさっぱりした笑顔に安堵しているわたしをゆるしておくれ。
苦しんだサムドンを支えたのは、ヘミ。
自分が苦しいときに助けてくれたサムドンを、今度は自分が助けるといって
絶対にあきらめなかったヘミの真心が、サムドンを救うのでした。
いや、まだ救ったかどうかわかんないけど。
サムドンの目つきがかわり、
「消えろといったのに、ここに来たことをお前は後悔するぞ」と
意味深なセリフ。
いったい何を後悔することになるというのでしょうか?
あ……またイヤな予感が……。
グクには忙しい合間を縫って、ヘミによく会うことをおすすめしておきます。
まめな男が最後は勝つのよ……。
「絶対にあきらめない」
これが、このドラマの重要なテーマですね。
夢を追う人へのメッセージなんだと思います。
若者への応援歌としての青春ドラマ。
王道だ。
愛に恵まれず、自分自身を生きることができなかったグクは、
天才ではありません。
ただ、ダンスが好きで、それが自己表現の手段なんだね。
だから彼の挫折や苦悩は、親子の愛情関係であったり、
恋愛問題であったり、感情がらみ。
ベクヒの場合もそうですね。
お父さんはいないものの、母親からの愛情をたっぷりうけたサムドンは天才。
だから彼の挫折や苦悩は、自己表現自体ができなくなる肉体系になる。
物理的にムリだ、という困難。
がんばればなんとかなるもんじゃない、というのがキモでしょう。
これちょっとずるいんだよね。
圧倒的な不幸なんで、どうしてもグクより深刻さが上に見える。
そこがヘミに訴えかけるポイントになっちゃって、
グクの今後が心配になるんです……。
天才だし、人柄もいいもんだから、
それぐらいしか壁がないというのも気の毒というか、
ドラマ的には安易な気もします。
ヘミはというと、ハイブリッド型でしょうか。
才能はある。
だけど、借金という外的要因で困難を味わう。
父からの愛情は受けている。
だけど、母親喪失の苦悩がある。
感情面と物理的側面での壁の両方があるのですが、
どちらもがんばれば(選択をし続ければ)なんとかなりそうです。
これが、グクとサムドン、どちらを選んでも良さそうな原因なんだな。
最も恵まれているのはジェイソンとピルスクで、
ふたりのラブラインが観ていてしあわせなのはそのせいでしょう。
キリン高のフツーの生徒たちは、
卒業して芸能関係の仕事に就いたり、裏方に回ったり、
上には上がいると自覚してフツーの人生を歩むわけで、
様々な人生があるんだな、と思います。
最初は底意地の悪かったインソンも、
なんだかんだサムドンを助けてやったりしてまともになりました。
ベクヒもはやく目を覚ましてほしいなぁ。
シ先生の最初の指導が雪だるま方式でふくらんじゃったせいもあるし、
今まで押さえつけられていた反動もあるし、
恋心のせいもあるんだけど……。
一度は盗作を我慢できたんだからさ。
事情を立ち聞きしたヘミが、友情のために契約をやめるのか?
「借金返済のためにデビューするならやめなさい」というオヒョク先生の忠告を受け入れるのか?
仕方なくデビューして苦しんだグクの姿も見ていますからね。
サムドンもそうですが、
ヘミももう一度自分の内面を掘り下げて、
自分にとって音楽とは何か?と考えるのが、ラストまでの命題なんだと思います。
今回最大のびっくりは、オヒョク先生の講師再応募ではなく、
シ先生が校長先生の娘だったという事実。
似てねぇ~。
もう、本当に苦しそうなサムドンに申し訳ない。
彼の苦悩にもう少し寄り添って深く考えたかったのに、
どうしても表面的な感想になっちゃってチョンマル ミアネ。
ベートーベンという偉人もいますし、
サムドンには音楽をあきらめないでほしいですな。
あ、ヘミに関してはあきらめる方向でひとつ……。←しつこい
【追記】
サムドンがライブハウスできいた曲は「절룩거리네」(びっこをひくよ)
これ、すごくいいなーと思って聞きました。
日本に入ってくるのはいわゆるK-POPアイドルの曲ばかりですが、
もちろん向こうにだってこういうバンドはありますよね。
オヒョク先生、おばちゃん相手のカラオケ教室で人気講師になってますね。
最初の頃とは大違いに成長しちゃって。
この道で十分食べていけそう。
グクもなにげに元気を取り戻しています。
オヒョク先生を心配して訪ねてきて、ご飯をおごってもらうの図。
年長者には甘え上手な男。
こんな表情が出るようになって、よかったわぁ……グクや。
月の光妖精逆転満塁ホームラン
*their band name translates to "A moonlight fairy's come back with a grand slam home run"
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不思議なバンド名ですが、インディーズバンドのようですよ。
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