〈あらすじ〉
アランはジュワルと出かけた。道行く人々が、みなジュワルに頭を下げる。
「使道とはどのような関係だ?」
アランは必死で作り話を。
使道の師匠の娘がわたし。放蕩者のお父さんが、わたしを借金の質にして使道に預けているの。
ぜんぜん親しい間柄ってわけじゃないのよ、ほんとよ。
ジュワルはそう聞いて嬉しそうだ。
彼の用とは、アランの服を仕立てることだった。
「そなたの寸法がわからなかったからな。そなたの助けが必要だ」
仕立て屋の女将に寸法を測られながら、アランはウノのことを考えている。
幽霊だったとき、彼に寸法をみてもらったっけ。
誰かさんによく見せたくて、必死だったな……。
「男が女を心配したり同情したりするのは、お前に気があるってのとおんなじことさ。
そうして相手を好きになってゆくんだよ」
女将の話に、やっぱりウノを思い出してしまうアランだった。
ジュワルとの市場散策。
色とりどりのお菓子を眺めるアラン。
「少し食べてみるか?」
うれしそうなアランは遠慮せず、いくつもの菓子をほおばった。
さてウノは、官服に着替えてチェ大監の屋敷へ。
密陽の長は、その身分の上下を問わず、前科も問わず任命するとしたのは王命。
ウノに逆らうということは、王命に逆らうということだ。
チェ大監は仕方なく、捕えていた村人を差し出した。
「使道の真似事か、楽ではないぞ」
大監の嫌味も、鼻で笑って意に介さぬウノだ。
村人たちは、飢えていた。
天候不順で作物が不作。仕方なく、チェ大監に借りて税をおさめた。
ところがその利子が膨大で、これでは生きてゆくことすら……。
その訴えをおこそうかどうしようかと、村人たちは逡巡していたのだった。
事情を知ったウノは、役所の蔵を解放。
違法に高利を取っていた分を含めて、困っている村人たちに配ってやった。
それを知った下級役人たちは右往左往。
トルセにくってかかった。
「くそう、の子の従者のくせに偉そうだぞ!」
その様子をじっと見ていたのはウノ。
しかし彼は、何も言わずに黙って去った。
「まわりの態度がどう変わるか見ておれ」
そういったチェ大監の勝ち誇った顔が目に浮かぶ。
残されたトルセは怒った怒った。
「俺はの子の従者って言葉が一番嫌いなんだ!」
役人相手に大暴れ。
幼い頃からそうだった。若旦那のために怒ってるんじゃない。
俺が、そう呼ばれるのが許せないんだよ!
ウノも、トルセの思いやりを十分わかっている。
の子と、さげすまれることには慣れていた。
幼い頃からずっとずっと、そうだったから。
慣れているはずなのに、なぜか心が痛い。
すっかり日が暮れて暗くなってからも、アランはジュワルと一緒にいた。
遅くまで出ていた露店で菓子を買ってもらう。
ふと気づいたアランは、乞食のそばにくっついていた怨霊に菓子をわけてやった。
「一日中餓鬼のように食べているな」
「くせになっちゃったの。食べられるときに食べておかないとね。
あのころは食べても食べてもおなかが減っていたな……。
あ、でも大昔のことよ!今日は使道が落ち込んでたから食べ損なっちゃって。
そういえば、使道はどうしたかな。おなかすいて倒れてないかな……」
ウノを心配するアランを見て、ジュワルの顔が曇った。
「聞きたいことがあったんだけど、やめておくね。まだ準備ができていないから。
いろいろしてもらって申し訳ないけど、懐が寒いからありがたく受け取るわ。
そのうち利子をつけて返すから!」
「百日紅を見せたかったが、もう夜も更けた」
「夜見てこそ最高なのに。倒れてないかな……」
相変わらず、ウノの心配ばかりのアラン。
ふたりが歩いていくところへ、ウノが馬に乗り通りかかった。
「夜中にどこ行ってたの?」
「役所へ送るところでした」
ふたりを見やり、ウノは手を差し出した。
「乗れ。帰るぞ」
アランはその手を取り、馬上にまたがった。
「じゃあね、若旦那、夜道は気をつけてね」
去ってゆくふたりを見て、笑顔が消えるジュワル。
「聞きたかったことは聞けたか?」
「ううん。若旦那に服を仕立ててもらったの」
「なんだと?!」
「イ・ソリムには服を作ってあげた?なぜ許嫁じゃない女にやさしくするの?
口を開けば責めてしまいそうで聞けなかった。幼稚だもの」
「そうだな、自分自身に嫉妬するとは」
「今度聞くわ」
「自尊心がないのか、お前は」
「あの人、わたしに気があるのよ」
「お前が心配なんだ。なんのたくらみかしらんが、きっとあいつは本気じゃないぞ。
後でメソメソ泣くことにならぬかと心配なんだよ」
ふたりは馬にゆられている。
「なぜわたしを心配するの?もしかしてわたしを好きなの?」
「なんだと?!」
ウノは目を白黒。
「心配するから好きだとは限らない」
「ある人に言われたの。でも、わたしを好きにならないでね」
「好きなんかじゃないってば!」
「わたしには満月ふたつしかないから」
「なんのことだ?」
アランは、天帝との約束をウノに話した。
満月ふたつのうちに真実をあかせないと、地獄行き。
でも、見つけ出せたら天上へ登れる。
どっちにしても、この世にいられるのは満月ふたつぶん。以上!
それを聞いたウノは、突然のことに言葉もない。
「どういう意味だ。どうして今まで黙っていたんだ」
「何が?」
「2か月しかいられないってことをだ!」
「だって重要じゃないもの。使道には関係ないでしょ!どうしてそんなに怒るのよ」
ウノは乱暴に、アランの腕を取り、連れ帰った。
ジュワルは思い憂えている。
夫人には、急ぐようにとやさしく言われた。
しかしアランの笑顔を思い出すと、どうしていいかわからなくなるのだった。
閻魔は怒っている。
ムヨンに真実を伝えよという。
すべての元凶となっているのは、ムヨンの妹で天女であったムリョンなのだ。
自分のために大勢を殺し、魂を奪っている。
しかも怨霊を連れてゆき、悪霊を作り出している。
アランに何かが探り出せるとは、とうてい思えない。
天帝は彼女を信じているのだが。
ウノは、アランをたたき起こして市場へ出かけた。
仕立て屋に入り、アランの服を急ごしらえで仕立てさせる。
しかも、ジュワルの注文した服を捨てさせて、だ。
「俺がお前を天上へ送ってやるから、あいつを惑わせるのはよせ。
だいたい2か月しかいられない幽霊に惚れてなんになる」
アランは不承不承、ウノについてゆく。
ウノは山の中に分け入っていく。
「わたしを森に捨てる気?面倒だから」
取り合わず、さっさと進んでいくウノ。
アランは三途の川を思い出す。最初はこんなふうで、川を下って、
骨の番人に出会って、たいそう怖い思いをしたっけ。
「今度は別の道で行かせてもらおっと」
「見つけたぞ。天上だ」
ウノがアランを案内した場所は、広々とした草原に、たくさんの花が咲いている場所。
そこはまるで天上のようだ。
「ぜんぜん似てないわ。くそじじいたちがいないもん」
「いいから見ておけ。花が好きだろ?生まれ変わったら花になると。ん?蝶だったか?」
アランはふん、と笑った。
昔、頭に花を飾った女の子が近所にいたっけ。
しばらく姿を見ないな、と思ったら、怨霊になって現れた。
ウノが幽霊を見るようになったのは、幼い頃大病をして生死をさまよった時からだ。
幽霊に憑かれたの子、と噂が立つようになったが、父が救ってくれた。
噂をもみ消し、戸籍にも入れてくれた。
「俺ってかわいそうだろ?でも気にするな。人の目なぞ気にするものか」
「父親ってそういうもの?
どうしてイ・ソリムの父親は、彼女を守ってくれなかったのかな……」
「お母さんを見つけたらどうする?」
「母にとって俺はどんな存在だったか聞くよ」
「それだけ?」
「ふたりでひっそりと暮らすさ」
「使道がお母さんを見つける頃には、わたしは天上に帰ってるね」
「そうだな……」
(つづく)
いやぁ、いいねぇ!
お互いに好き同士なのに、それがまだよくわかってない関係ってのは!
ウノの方は、アランが大好きだけど、自分の気持ちを認めたくない。
アランの方は、ウノが大事だけど、それが恋とは気付いていない。
王道は王道なんだけど、やっぱ少年漫画っぽい気がする。
それでも!前回の百日紅もそうなんだけどさ~、
今回の「馬上からの手」には、ホゥってなっちゃうよねー。
ジュワル君の当て馬っぷりが気の毒なんですけど。
黙ってすっと差し出された使道の手。
じっとウノを見つめて、その手を取るアラン。
ウノがジュワルなんか眼中にないって感じなのがロマンチックなのだわ。
アランだけを見つめて、もちろんその手が拒まれることなどないとわかっている。
こういう無言の気持ちの通じ合い、みたいなのがいいのです。
そして、それもこれも、ふたりを見つけた時のウノの切ない表情があってこそ~。
なんて苦しそうなの、使道。自信持ってくださいよ。
自分の出自を思い知らされ、幼い頃からのつらい経験を思い出し、
ちょっぴりおセンチになっていた使道だったので、
アランの素直な愛情に浸りたくなったのね。
お前だけは、俺をわかってくれるだろう?
お前は俺に、ついてきてくれるだろう?
という無言の願いと、
必ずアランはこの手を取ってついてきてくれる、
という確信が混ざり合ったあのシーン。
ホゥってなっちゃうわ……。
ジュワルの旦那……とことんお菓子おごってあげたのにね。
さすがの彼も引くくらいに食べ続けのアラン。
過酷な怨霊時代がしのばれます。
乞食と一緒にいた怨霊に、お菓子をあげたシーン、好きだった。
昔はもらったお菓子や初物は必ず仏壇にあげてからおさがりを食べたっけ。
不思議なことに、おさがりの食べ物って、なーんかおいしさに欠けるんだよね。
「抹香臭いとこに置いといたからだ」と無信心なおじさんは言ってましたが、
なんとなく仏様が髄を食べたからだ、と思っていたよ。
嫉妬心バリバリで、服を仕立ててやるウノの様子も定番ながら良し。
「わたしが好きなの?」とドストレートに聞かれ、
「そ、そんなわけないだろ!」と慌てるウノも、また良し。
「天上」がわりの花畑のシーンは正直いまひとつな風景であったが……。
撮影時には雨だったみたいだし、仕方ないですね。
ドラマの筋としてはいくつか進展がありました。
まず、幽霊を見る能力について。
これは、ウノが幼い頃大病をした以来の能力らしい。
あの……もしかして、ウノも本当は完全な人ではない、とか?
こないだの霊を滅する扇の謎もあるし、
自分で気づいていないだけで、すでにウノは人であって人でないもの、なのかも。
それならあの火事場の馬鹿力も納得できるような気がするし。
この先、どうしたってあの世へいかなくてはならないアランとの恋愛も、
そういうことなら難なく成就できるような気もするし。
ラストはふたりで天上にのぼって幸せに暮らす、でもいいかもね。
そして、ホンリョン夫人の正体は、ムヨンの妹ムリョンだった、という事実が視聴者に明かされました。
散々ほのめかされていたので、さもありなん、という感じ。
なぜ天女だった人が下界に降りてあんなことになってるんでしょうね?
天女と死神が恋をする、という設定も用意されているようで、
この世界のあの世のルールは複雑怪奇です。
いずれアランは天女に、ウノは死神になってくらすのかしら?
ま、いろいろと想像する楽しみがありますね。
トルセの主従愛は幼い頃からなんだ、というエピソードも良かった。
まだまだ危なっかしい感じのウノ青年に、少しもぶれない愛情を
そそいでくれる人が身近にいた、という事実に心なごみます。
ウノ自身は、やれやれ、という感じでトルセと向き合っていますが、
ここまでがんばってこれたのも、トルセの兄のような愛情のおかげなんだと思うな~。
アランはジュワルと出かけた。道行く人々が、みなジュワルに頭を下げる。
「使道とはどのような関係だ?」
アランは必死で作り話を。
使道の師匠の娘がわたし。放蕩者のお父さんが、わたしを借金の質にして使道に預けているの。
ぜんぜん親しい間柄ってわけじゃないのよ、ほんとよ。
ジュワルはそう聞いて嬉しそうだ。
彼の用とは、アランの服を仕立てることだった。
「そなたの寸法がわからなかったからな。そなたの助けが必要だ」
仕立て屋の女将に寸法を測られながら、アランはウノのことを考えている。
幽霊だったとき、彼に寸法をみてもらったっけ。
誰かさんによく見せたくて、必死だったな……。
「男が女を心配したり同情したりするのは、お前に気があるってのとおんなじことさ。
そうして相手を好きになってゆくんだよ」
女将の話に、やっぱりウノを思い出してしまうアランだった。
ジュワルとの市場散策。
色とりどりのお菓子を眺めるアラン。
「少し食べてみるか?」
うれしそうなアランは遠慮せず、いくつもの菓子をほおばった。
さてウノは、官服に着替えてチェ大監の屋敷へ。
密陽の長は、その身分の上下を問わず、前科も問わず任命するとしたのは王命。
ウノに逆らうということは、王命に逆らうということだ。
チェ大監は仕方なく、捕えていた村人を差し出した。
「使道の真似事か、楽ではないぞ」
大監の嫌味も、鼻で笑って意に介さぬウノだ。
村人たちは、飢えていた。
天候不順で作物が不作。仕方なく、チェ大監に借りて税をおさめた。
ところがその利子が膨大で、これでは生きてゆくことすら……。
その訴えをおこそうかどうしようかと、村人たちは逡巡していたのだった。
事情を知ったウノは、役所の蔵を解放。
違法に高利を取っていた分を含めて、困っている村人たちに配ってやった。
それを知った下級役人たちは右往左往。
トルセにくってかかった。
「くそう、の子の従者のくせに偉そうだぞ!」
その様子をじっと見ていたのはウノ。
しかし彼は、何も言わずに黙って去った。
「まわりの態度がどう変わるか見ておれ」
そういったチェ大監の勝ち誇った顔が目に浮かぶ。
残されたトルセは怒った怒った。
「俺はの子の従者って言葉が一番嫌いなんだ!」
役人相手に大暴れ。
幼い頃からそうだった。若旦那のために怒ってるんじゃない。
俺が、そう呼ばれるのが許せないんだよ!
ウノも、トルセの思いやりを十分わかっている。
の子と、さげすまれることには慣れていた。
幼い頃からずっとずっと、そうだったから。
慣れているはずなのに、なぜか心が痛い。
すっかり日が暮れて暗くなってからも、アランはジュワルと一緒にいた。
遅くまで出ていた露店で菓子を買ってもらう。
ふと気づいたアランは、乞食のそばにくっついていた怨霊に菓子をわけてやった。
「一日中餓鬼のように食べているな」
「くせになっちゃったの。食べられるときに食べておかないとね。
あのころは食べても食べてもおなかが減っていたな……。
あ、でも大昔のことよ!今日は使道が落ち込んでたから食べ損なっちゃって。
そういえば、使道はどうしたかな。おなかすいて倒れてないかな……」
ウノを心配するアランを見て、ジュワルの顔が曇った。
「聞きたいことがあったんだけど、やめておくね。まだ準備ができていないから。
いろいろしてもらって申し訳ないけど、懐が寒いからありがたく受け取るわ。
そのうち利子をつけて返すから!」
「百日紅を見せたかったが、もう夜も更けた」
「夜見てこそ最高なのに。倒れてないかな……」
相変わらず、ウノの心配ばかりのアラン。
ふたりが歩いていくところへ、ウノが馬に乗り通りかかった。
「夜中にどこ行ってたの?」
「役所へ送るところでした」
ふたりを見やり、ウノは手を差し出した。
「乗れ。帰るぞ」
アランはその手を取り、馬上にまたがった。
「じゃあね、若旦那、夜道は気をつけてね」
去ってゆくふたりを見て、笑顔が消えるジュワル。
「聞きたかったことは聞けたか?」
「ううん。若旦那に服を仕立ててもらったの」
「なんだと?!」
「イ・ソリムには服を作ってあげた?なぜ許嫁じゃない女にやさしくするの?
口を開けば責めてしまいそうで聞けなかった。幼稚だもの」
「そうだな、自分自身に嫉妬するとは」
「今度聞くわ」
「自尊心がないのか、お前は」
「あの人、わたしに気があるのよ」
「お前が心配なんだ。なんのたくらみかしらんが、きっとあいつは本気じゃないぞ。
後でメソメソ泣くことにならぬかと心配なんだよ」
ふたりは馬にゆられている。
「なぜわたしを心配するの?もしかしてわたしを好きなの?」
「なんだと?!」
ウノは目を白黒。
「心配するから好きだとは限らない」
「ある人に言われたの。でも、わたしを好きにならないでね」
「好きなんかじゃないってば!」
「わたしには満月ふたつしかないから」
「なんのことだ?」
アランは、天帝との約束をウノに話した。
満月ふたつのうちに真実をあかせないと、地獄行き。
でも、見つけ出せたら天上へ登れる。
どっちにしても、この世にいられるのは満月ふたつぶん。以上!
それを聞いたウノは、突然のことに言葉もない。
「どういう意味だ。どうして今まで黙っていたんだ」
「何が?」
「2か月しかいられないってことをだ!」
「だって重要じゃないもの。使道には関係ないでしょ!どうしてそんなに怒るのよ」
ウノは乱暴に、アランの腕を取り、連れ帰った。
ジュワルは思い憂えている。
夫人には、急ぐようにとやさしく言われた。
しかしアランの笑顔を思い出すと、どうしていいかわからなくなるのだった。
閻魔は怒っている。
ムヨンに真実を伝えよという。
すべての元凶となっているのは、ムヨンの妹で天女であったムリョンなのだ。
自分のために大勢を殺し、魂を奪っている。
しかも怨霊を連れてゆき、悪霊を作り出している。
アランに何かが探り出せるとは、とうてい思えない。
天帝は彼女を信じているのだが。
ウノは、アランをたたき起こして市場へ出かけた。
仕立て屋に入り、アランの服を急ごしらえで仕立てさせる。
しかも、ジュワルの注文した服を捨てさせて、だ。
「俺がお前を天上へ送ってやるから、あいつを惑わせるのはよせ。
だいたい2か月しかいられない幽霊に惚れてなんになる」
アランは不承不承、ウノについてゆく。
ウノは山の中に分け入っていく。
「わたしを森に捨てる気?面倒だから」
取り合わず、さっさと進んでいくウノ。
アランは三途の川を思い出す。最初はこんなふうで、川を下って、
骨の番人に出会って、たいそう怖い思いをしたっけ。
「今度は別の道で行かせてもらおっと」
「見つけたぞ。天上だ」
ウノがアランを案内した場所は、広々とした草原に、たくさんの花が咲いている場所。
そこはまるで天上のようだ。
「ぜんぜん似てないわ。くそじじいたちがいないもん」
「いいから見ておけ。花が好きだろ?生まれ変わったら花になると。ん?蝶だったか?」
アランはふん、と笑った。
昔、頭に花を飾った女の子が近所にいたっけ。
しばらく姿を見ないな、と思ったら、怨霊になって現れた。
ウノが幽霊を見るようになったのは、幼い頃大病をして生死をさまよった時からだ。
幽霊に憑かれたの子、と噂が立つようになったが、父が救ってくれた。
噂をもみ消し、戸籍にも入れてくれた。
「俺ってかわいそうだろ?でも気にするな。人の目なぞ気にするものか」
「父親ってそういうもの?
どうしてイ・ソリムの父親は、彼女を守ってくれなかったのかな……」
「お母さんを見つけたらどうする?」
「母にとって俺はどんな存在だったか聞くよ」
「それだけ?」
「ふたりでひっそりと暮らすさ」
「使道がお母さんを見つける頃には、わたしは天上に帰ってるね」
「そうだな……」
(つづく)
いやぁ、いいねぇ!
お互いに好き同士なのに、それがまだよくわかってない関係ってのは!
ウノの方は、アランが大好きだけど、自分の気持ちを認めたくない。
アランの方は、ウノが大事だけど、それが恋とは気付いていない。
王道は王道なんだけど、やっぱ少年漫画っぽい気がする。
それでも!前回の百日紅もそうなんだけどさ~、
今回の「馬上からの手」には、ホゥってなっちゃうよねー。
ジュワル君の当て馬っぷりが気の毒なんですけど。
黙ってすっと差し出された使道の手。
じっとウノを見つめて、その手を取るアラン。
ウノがジュワルなんか眼中にないって感じなのがロマンチックなのだわ。
アランだけを見つめて、もちろんその手が拒まれることなどないとわかっている。
こういう無言の気持ちの通じ合い、みたいなのがいいのです。
そして、それもこれも、ふたりを見つけた時のウノの切ない表情があってこそ~。
なんて苦しそうなの、使道。自信持ってくださいよ。
自分の出自を思い知らされ、幼い頃からのつらい経験を思い出し、
ちょっぴりおセンチになっていた使道だったので、
アランの素直な愛情に浸りたくなったのね。
お前だけは、俺をわかってくれるだろう?
お前は俺に、ついてきてくれるだろう?
という無言の願いと、
必ずアランはこの手を取ってついてきてくれる、
という確信が混ざり合ったあのシーン。
ホゥってなっちゃうわ……。
ジュワルの旦那……とことんお菓子おごってあげたのにね。
さすがの彼も引くくらいに食べ続けのアラン。
過酷な怨霊時代がしのばれます。
乞食と一緒にいた怨霊に、お菓子をあげたシーン、好きだった。
昔はもらったお菓子や初物は必ず仏壇にあげてからおさがりを食べたっけ。
不思議なことに、おさがりの食べ物って、なーんかおいしさに欠けるんだよね。
「抹香臭いとこに置いといたからだ」と無信心なおじさんは言ってましたが、
なんとなく仏様が髄を食べたからだ、と思っていたよ。
嫉妬心バリバリで、服を仕立ててやるウノの様子も定番ながら良し。
「わたしが好きなの?」とドストレートに聞かれ、
「そ、そんなわけないだろ!」と慌てるウノも、また良し。
「天上」がわりの花畑のシーンは正直いまひとつな風景であったが……。
撮影時には雨だったみたいだし、仕方ないですね。
ドラマの筋としてはいくつか進展がありました。
まず、幽霊を見る能力について。
これは、ウノが幼い頃大病をした以来の能力らしい。
あの……もしかして、ウノも本当は完全な人ではない、とか?
こないだの霊を滅する扇の謎もあるし、
自分で気づいていないだけで、すでにウノは人であって人でないもの、なのかも。
それならあの火事場の馬鹿力も納得できるような気がするし。
この先、どうしたってあの世へいかなくてはならないアランとの恋愛も、
そういうことなら難なく成就できるような気もするし。
ラストはふたりで天上にのぼって幸せに暮らす、でもいいかもね。
そして、ホンリョン夫人の正体は、ムヨンの妹ムリョンだった、という事実が視聴者に明かされました。
散々ほのめかされていたので、さもありなん、という感じ。
なぜ天女だった人が下界に降りてあんなことになってるんでしょうね?
天女と死神が恋をする、という設定も用意されているようで、
この世界のあの世のルールは複雑怪奇です。
いずれアランは天女に、ウノは死神になってくらすのかしら?
ま、いろいろと想像する楽しみがありますね。
トルセの主従愛は幼い頃からなんだ、というエピソードも良かった。
まだまだ危なっかしい感じのウノ青年に、少しもぶれない愛情を
そそいでくれる人が身近にいた、という事実に心なごみます。
ウノ自身は、やれやれ、という感じでトルセと向き合っていますが、
ここまでがんばってこれたのも、トルセの兄のような愛情のおかげなんだと思うな~。
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