《あらすじ》
「君がつらくなるのに……。憎めばいいのに……」
「いいの、これでやっと息ができる……」
ヘリは、昔イヌと出会っていたことを思いだした。
少年だったイヌは、ヘリの父親に真実を話してくれるよう、
頼みに来ていたのだ。
門前払いをくらったイヌに、ヘリはお菓子と牛乳を差し出した。
それは結局、イヌの手で払い落とされてしまったけれど。
「背も伸びてかっこよくなったけど、性格は変わらないわね」
「君もな」
ふたりは互いに惹かれ合いながらも、
真実にふたをするわけにはいかなかった。
ヘリは、生花店を営む目撃者シン・ジョンナムのもとへ、話をしに行った。
自分は、マ・サンテの娘で、ソ・イヌはソ・ドングンの息子だと告げる。
「このふたりがここへ訪ねてくる理由をよくお考えになって、
ご連絡ください。真実を明らかにする鍵は、あなたにあるんです」
ヘリの様子を見ていたイヌは、間髪入れずに生花店を訪ねた。
「弁護士さん……何が望みなんですか」
「真実です」
シン・ジョンナムは、自分がした約束を思いだした。
ソ・イヌに助けが必要なときは、必ず助けるという、約束……。
マ・サンテは、ヘリの恋人がソ・イヌだときいて驚いた。
そして、イヌを呼び出す。
いきなり怒鳴りつけられても、イヌは引かなかった。
「復讐のために利用されていると、ヘリに言えばいい。
あくまで隠したいなら、それでもいい。そのかわり娘をもらう。
選べるのは、どちらかひとつですよ」
あれからふたりは、すれ違っても言葉を交わすことはない。
ヘリはつとめて元気に検察庁へ出勤した。
同僚がみんな、自分を気遣ってくれて、嬉しかった。
シン・ジョンナムから連絡が来たのは、会議中だった。
急いで出かけて行くと、彼から、ある真実を聞くことができた。
当時彼の息子は心臓病で長期入院中だった。
治療代が払えずに退院を迫られていたジョンナムは、
事件現場に散らばっていた金を必死で集めた。
その金が、口止め料になり、息子の治療費もマ・サンテが払ってくれた。
かわりにジョンナムは、口を閉ざしたのだ。
現場から急発進して出てきた車に、マ・サンテが乗っていた事実を、
誰にも言わなかった。
ヘリは父親と対決する。
シン・ジョンナムに聞いた話をぶつけてみたのだ。
「本当のことを知りたいの」
「あいつのためか?」
イヌの存在を知っていた父に驚きつつ、
ヘリは自分の思いを涙ながらに語った。
父を愛している。だが、イヌの歩んだ人生があまりにもかわいそうで、
許してくれと言えない。
愛のために板挟みになり苦しんでいる娘の姿に、父の心も揺れた。
妻のため、娘のために、金持ちになろうと必死に生きてきた。
家族を幸せにしたい、という一心だった。
どこで自分は間違えたのだろうか……。
マ・サンテは自分の過去を悔やみ、イヌに取引を申し出た。
すべてを告白するかわりに、ヘリの前から消えてほしい。
父の無実と引き替えに、イヌは約束した。
その約束を、ヘリには言わない、とも。そして、サンテの告白を待つと。
ぎこちないふたりの関係は長くは続かなかった。
ヘリがこっそりイヌの写真を撮ろうとして、見つかってしまったのだ。
イヌは笑顔でヘリを撮影デートに誘う。
「復讐」の二文字を冗談の種にして、
それがなんでもないことかのように、ふたりはつかの間の休息を楽しむ。
けして交わることができない運命を、見つめることが怖くて。
ヘリはふたりの写真を撮りたがったが、イヌはいらないと言った。
今まで持っていた写真も返す、と。ヘリは寂しそうだが、イヌには理由がある。
(写真はいらない。僕の頭に目に胸に君のすべてを持っている)
イヌは、マ・サンテとの約束を守ってヘリを手放すつもりで、けじめをつけた。
ヘリを利用したのは、ただ父の濡れ衣を晴らしたい一心で、
けして娘を利用してマ・サンテを苦しめようとしたわけではなかった。
そう告白して、「すまなかった」と謝罪した。
彼女の手を取ることも、一緒にいてほしいと願うことも、もうできない。
ヘリがどれほどそれを期待していようと。
イヌは酔いつぶれて、ひとり涙を流すしかなかった。
翌日二日酔いで体調の悪いイヌは、偶然ヘリの母と出会った。
ヘリと別れたといい、具合の悪そうなイヌに、母はおかゆを作って持って行く。
優しい母親らしい愛情に触れ、イヌの心はなごんだ。
ジェニーアンの登場で、彼女はそそくさと帰ってしまったが。
イヌのそもそもの計画は、時効前に父親の事件を再捜査させることだった。
そうして真犯人を挙げなければ、父の濡れ衣は晴らせない。
ヘリが調査から手を引くことも予測できた。事件に蓋をし、検事をやめることもできる。
「はやくしないと。手を打つって言ってたじゃない」
ジェニーアンはイヌにせまるが、彼は待とうと言った。
マ・サンテと約束をした。
彼は、自分で娘に話すと言った。事件の真実を。
その頃、マ・サンテは娘と会っていた。
「お前が知りたいと言っていた真実を全部教えてやる。
ユ・ミョンウは、私が殺した」
(つづく)
え?えええええええええええええ?
そ、そーなの?ほんとにそーなの?
ユ・ミョンウはヘリパパが殺したのー?!
いやいやいやいや、なんていうか最後の最後まで信じてたんですけど。
ヘリパパが殺したように見えるけど、
実は第三の男がいて、犯人は全然別の人だった可能性、とかさ!
いわゆるミステリーでは反則だけれども、
ヘリもイヌくんもしあわせになるためにはこれしかない、と思ってたのにぃ~。
あれ?でも、
「わざと君のお父さんに罪を着せたわけではない」とか言ってなかった?
ソ・ドングンを犯人に仕立て上げようとしたわけじゃなくて、
偶然そこへ来ちゃったドングンの運が悪かったよね、ってだけの話?
でも、裁判で犯人ってことにされちゃった無罪の人がいるのに、
それをわかってたのに黙っていたんでしょう?
陥れたんじゃなくても、イヌパパに罪を着せちゃったわけで、
おんなじことじゃないかな~。
ヘリパパが貧乏を憎んでいて、家族を愛していて、ってのはわかるんですけど、
この人やっぱり身勝手なんですよ。
自分が犯した罪におののいて生きていればまだ許せるけど、
ぜんぜん罪悪感ないじゃん?
イヌに申し訳ないって気持ちより、
自分の娘を苦しめていたなんて……っていう後悔ばっかでさ。
そういうところがすごく許せないというか、腹が立つんですよね。
「俺は悪くない」みたいな物言いはやめてほしい。
イヌくんも、ヘリには近づくな、って言われてあっさり約束して
バカなんじゃないか?
イヌパパもね、弱い人に優しく公正で、
バカ正直で損してばっかりタイプみたいだけど、カエルの子はカエルか。
ヘリも、最初の頃のイヤ~なお嬢さまっぷりはヘリパパに似てる。
「自分は悪くないのに」って考え方が。
これはロミオとジュリエットなのか。
それとも搾取する側とされる側の究極のラブストーリーなのか。
イヌくん、今はいわゆる勝ち組かもしれないけど、
根っからの苦労人で貧しい階級の子弟だから、
ヘリと一緒になったら細かい価値観の相違で揉めそうだけどな~。
ヘリはイヌくんに強引に求められることを期待していて、
直球娘のわりには、現在は待ちの姿勢ですね。
「好きだ!」ってのははっきり伝えてあるし、あとは彼の気持ち次第。
でもイヌくんは、父の濡れ衣?どーでもいいよ!とは言えなくて。
そこは儒教の精神が強い国ということもあるし、
それを言って自分は幸福になっても、父や母の無念は?
自分の半生は無駄だったのか?ってことになるし、つらいけど、ヘリを手放すと決めています。
つらいですよね……。
ただの復讐だったら、やめることもできたと思うんですけどね。
死んだお父さんとの約束ですから。
バカな親子ですよ、ほんとに。
ヘリも本当につらそうですけど、たぶん真実を追究せずにはいられない。
だけど、イヌの写真をこっそり欲しがったりしてそこは乙女で、
バランスの良い素敵な女性に成長したな、と思います。
お父さんの衝撃の告白に耐えられますかね……。
自分の人生が、誰かの犠牲の上に成り立っていたことを知って、
ヘリはどうするんでしょうか?
検事……やめちゃう?
でもそれじゃあ、誰もしあわせになれないんだけどな。
「君がつらくなるのに……。憎めばいいのに……」
「いいの、これでやっと息ができる……」
ヘリは、昔イヌと出会っていたことを思いだした。
少年だったイヌは、ヘリの父親に真実を話してくれるよう、
頼みに来ていたのだ。
門前払いをくらったイヌに、ヘリはお菓子と牛乳を差し出した。
それは結局、イヌの手で払い落とされてしまったけれど。
「背も伸びてかっこよくなったけど、性格は変わらないわね」
「君もな」
ふたりは互いに惹かれ合いながらも、
真実にふたをするわけにはいかなかった。
ヘリは、生花店を営む目撃者シン・ジョンナムのもとへ、話をしに行った。
自分は、マ・サンテの娘で、ソ・イヌはソ・ドングンの息子だと告げる。
「このふたりがここへ訪ねてくる理由をよくお考えになって、
ご連絡ください。真実を明らかにする鍵は、あなたにあるんです」
ヘリの様子を見ていたイヌは、間髪入れずに生花店を訪ねた。
「弁護士さん……何が望みなんですか」
「真実です」
シン・ジョンナムは、自分がした約束を思いだした。
ソ・イヌに助けが必要なときは、必ず助けるという、約束……。
マ・サンテは、ヘリの恋人がソ・イヌだときいて驚いた。
そして、イヌを呼び出す。
いきなり怒鳴りつけられても、イヌは引かなかった。
「復讐のために利用されていると、ヘリに言えばいい。
あくまで隠したいなら、それでもいい。そのかわり娘をもらう。
選べるのは、どちらかひとつですよ」
あれからふたりは、すれ違っても言葉を交わすことはない。
ヘリはつとめて元気に検察庁へ出勤した。
同僚がみんな、自分を気遣ってくれて、嬉しかった。
シン・ジョンナムから連絡が来たのは、会議中だった。
急いで出かけて行くと、彼から、ある真実を聞くことができた。
当時彼の息子は心臓病で長期入院中だった。
治療代が払えずに退院を迫られていたジョンナムは、
事件現場に散らばっていた金を必死で集めた。
その金が、口止め料になり、息子の治療費もマ・サンテが払ってくれた。
かわりにジョンナムは、口を閉ざしたのだ。
現場から急発進して出てきた車に、マ・サンテが乗っていた事実を、
誰にも言わなかった。
ヘリは父親と対決する。
シン・ジョンナムに聞いた話をぶつけてみたのだ。
「本当のことを知りたいの」
「あいつのためか?」
イヌの存在を知っていた父に驚きつつ、
ヘリは自分の思いを涙ながらに語った。
父を愛している。だが、イヌの歩んだ人生があまりにもかわいそうで、
許してくれと言えない。
愛のために板挟みになり苦しんでいる娘の姿に、父の心も揺れた。
妻のため、娘のために、金持ちになろうと必死に生きてきた。
家族を幸せにしたい、という一心だった。
どこで自分は間違えたのだろうか……。
マ・サンテは自分の過去を悔やみ、イヌに取引を申し出た。
すべてを告白するかわりに、ヘリの前から消えてほしい。
父の無実と引き替えに、イヌは約束した。
その約束を、ヘリには言わない、とも。そして、サンテの告白を待つと。
ぎこちないふたりの関係は長くは続かなかった。
ヘリがこっそりイヌの写真を撮ろうとして、見つかってしまったのだ。
イヌは笑顔でヘリを撮影デートに誘う。
「復讐」の二文字を冗談の種にして、
それがなんでもないことかのように、ふたりはつかの間の休息を楽しむ。
けして交わることができない運命を、見つめることが怖くて。
ヘリはふたりの写真を撮りたがったが、イヌはいらないと言った。
今まで持っていた写真も返す、と。ヘリは寂しそうだが、イヌには理由がある。
(写真はいらない。僕の頭に目に胸に君のすべてを持っている)
イヌは、マ・サンテとの約束を守ってヘリを手放すつもりで、けじめをつけた。
ヘリを利用したのは、ただ父の濡れ衣を晴らしたい一心で、
けして娘を利用してマ・サンテを苦しめようとしたわけではなかった。
そう告白して、「すまなかった」と謝罪した。
彼女の手を取ることも、一緒にいてほしいと願うことも、もうできない。
ヘリがどれほどそれを期待していようと。
イヌは酔いつぶれて、ひとり涙を流すしかなかった。
翌日二日酔いで体調の悪いイヌは、偶然ヘリの母と出会った。
ヘリと別れたといい、具合の悪そうなイヌに、母はおかゆを作って持って行く。
優しい母親らしい愛情に触れ、イヌの心はなごんだ。
ジェニーアンの登場で、彼女はそそくさと帰ってしまったが。
イヌのそもそもの計画は、時効前に父親の事件を再捜査させることだった。
そうして真犯人を挙げなければ、父の濡れ衣は晴らせない。
ヘリが調査から手を引くことも予測できた。事件に蓋をし、検事をやめることもできる。
「はやくしないと。手を打つって言ってたじゃない」
ジェニーアンはイヌにせまるが、彼は待とうと言った。
マ・サンテと約束をした。
彼は、自分で娘に話すと言った。事件の真実を。
その頃、マ・サンテは娘と会っていた。
「お前が知りたいと言っていた真実を全部教えてやる。
ユ・ミョンウは、私が殺した」
(つづく)
え?えええええええええええええ?
そ、そーなの?ほんとにそーなの?
ユ・ミョンウはヘリパパが殺したのー?!
いやいやいやいや、なんていうか最後の最後まで信じてたんですけど。
ヘリパパが殺したように見えるけど、
実は第三の男がいて、犯人は全然別の人だった可能性、とかさ!
いわゆるミステリーでは反則だけれども、
ヘリもイヌくんもしあわせになるためにはこれしかない、と思ってたのにぃ~。
あれ?でも、
「わざと君のお父さんに罪を着せたわけではない」とか言ってなかった?
ソ・ドングンを犯人に仕立て上げようとしたわけじゃなくて、
偶然そこへ来ちゃったドングンの運が悪かったよね、ってだけの話?
でも、裁判で犯人ってことにされちゃった無罪の人がいるのに、
それをわかってたのに黙っていたんでしょう?
陥れたんじゃなくても、イヌパパに罪を着せちゃったわけで、
おんなじことじゃないかな~。
ヘリパパが貧乏を憎んでいて、家族を愛していて、ってのはわかるんですけど、
この人やっぱり身勝手なんですよ。
自分が犯した罪におののいて生きていればまだ許せるけど、
ぜんぜん罪悪感ないじゃん?
イヌに申し訳ないって気持ちより、
自分の娘を苦しめていたなんて……っていう後悔ばっかでさ。
そういうところがすごく許せないというか、腹が立つんですよね。
「俺は悪くない」みたいな物言いはやめてほしい。
イヌくんも、ヘリには近づくな、って言われてあっさり約束して
バカなんじゃないか?
イヌパパもね、弱い人に優しく公正で、
バカ正直で損してばっかりタイプみたいだけど、カエルの子はカエルか。
ヘリも、最初の頃のイヤ~なお嬢さまっぷりはヘリパパに似てる。
「自分は悪くないのに」って考え方が。
これはロミオとジュリエットなのか。
それとも搾取する側とされる側の究極のラブストーリーなのか。
イヌくん、今はいわゆる勝ち組かもしれないけど、
根っからの苦労人で貧しい階級の子弟だから、
ヘリと一緒になったら細かい価値観の相違で揉めそうだけどな~。
ヘリはイヌくんに強引に求められることを期待していて、
直球娘のわりには、現在は待ちの姿勢ですね。
「好きだ!」ってのははっきり伝えてあるし、あとは彼の気持ち次第。
でもイヌくんは、父の濡れ衣?どーでもいいよ!とは言えなくて。
そこは儒教の精神が強い国ということもあるし、
それを言って自分は幸福になっても、父や母の無念は?
自分の半生は無駄だったのか?ってことになるし、つらいけど、ヘリを手放すと決めています。
つらいですよね……。
ただの復讐だったら、やめることもできたと思うんですけどね。
死んだお父さんとの約束ですから。
バカな親子ですよ、ほんとに。
ヘリも本当につらそうですけど、たぶん真実を追究せずにはいられない。
だけど、イヌの写真をこっそり欲しがったりしてそこは乙女で、
バランスの良い素敵な女性に成長したな、と思います。
お父さんの衝撃の告白に耐えられますかね……。
自分の人生が、誰かの犠牲の上に成り立っていたことを知って、
ヘリはどうするんでしょうか?
検事……やめちゃう?
でもそれじゃあ、誰もしあわせになれないんだけどな。
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