試合で勝利するためには、常に実践的な練習を行うことが大切です。
基本的には大会に出場する専門種目(S1)で練習をすることが必要となります。
例えば、バタフライや背泳ぎの選手がいくら自由形でたくさん練習してもなかなか自信がつきません。
平泳ぎはあまりやりすぎると膝などに問題が発生する可能性があるので個人メドレーなどで体力をつけるのも良いと思いますが、やはり専門種目でしっかり鍛えることが基本です。
前監督である井上敦雄先生の練習で語り継がれているのは、ある合宿でウォーミングアップからダウンまですべてS1の練習だったというものがあります。
バタフライ選手にとってはEASYやダウンまでバタフライなわけですから、地獄のような練習だったことでしょう。
常識的には考えられないことですが、それだけ専門種目の大切さを強調した練習だったのだと思います。
さらに大切なことは、苦しさをごまかすような練習ではだめだ、ということです。
試合では100mや200mをすべて全力でHARDするわけであって、苦しさをごまかすことはできません。
レースの一番苦しいところでいかに粘り、最後までスピードを維持できるかを考えて練習を行うべきです。
例えば、Descending(ディセンディング)という練習がありますが、日本人はこの単語の訳し方と練習の取り組み方を間違えています。
「だんだん上げる」というように訳しており、例えば50m×4本を1本ごとに記録を上げていくという練習をしています。
しかしDescending(ディセンディング)の本来の意味は、 (高い所から)下(くだ)る、下りる、下りになるという意味であって、上げるという意味はありません。
この練習は、例えば50m×4本、50m×3本、50m×2本というように本数を下げたり、サイクルを伸ばしたりして1本目から全力で取り組み、それを維持するというのが本来のDescending(ディセンディング)練習です。
つまりDescending(ディセンディング)は、本来全部HARDであってそれを維持できるように本数やセットなどを減らしながら粘るという、ものすごくきつい練習なのです。
それがどこかで間違って伝わり、日本全国に広まってしまったのでしょう。
私もいちいち訂正するのが大変なため、間違ったものをそのまま使用していますがその練習で強化しようとは思っていません。
練習はS1でのHARDが当たり前であり、それができてこそ試合で勝負できるのではないかと思っています。
下の写真は、私が予想する井上敦雄先生の練習メニューです。
すべてS1でHARD、本来のDescending(ディセンディング)練習も取り入れられており、最後は400mS1でDIVEです!
この練習が頑張れたら、必ずベストタイムが出せるでしょう。
竹村知洋