小野田寛郎さんの言葉です。
小野田さんの『自然塾』では基本的なことや禁止事項だけを教えて、あとは自分で考えさせるそうです。
それが「君たち、どうする?」という問いかけの言葉です。
学校では1つの正解が出ることを教えていますが、世の中に出たら正解のないことばかりです。
わからないことがあっても自分で考えるしかありません。
言われた通りにやっているだけであれば、ただの操り人形になってしまいます。
最近では大会前の自由練習や大会当日のウォーミングアップすら何をやってよいかわからないという選手が多いです。
何年間も水泳をやってきたにもかかわらずその状態ということは、自分で自分の調子も整えることができないということです。
かつては自由練習になると嬉しかったものですが、最近は不安になる選手が多いようです。
それでは将来困ることになると思い、最近はあえて大会前日に自由練習にすることがあります。
フォームのことなどで聞かれたときにも、自分ではどう思うか、と問い返すこともします。
私にもわからないことは多いので、そういう時は一緒に考えて解決策を見つけるのです。
それでうまくいかなかったとしても、次は少しでもよくなるように、また考えるのです。
失敗や挫折の経験は辛いですが、成長のためには必要なことだと考えます。
取り返しのつかない失敗はいけませんが、一生懸命考えれば、それなりに何とかなるものです。
問題が100%解決することなどほとんどないですが、まったく解決しないよりはましだと思っています。
失敗しないように、何でもかんでもやってあげていては、いつまでたっても成長しません。
失敗を1度も経験せずに、ずっと成功し続けた人などいないはずです。
自ら考えず、何度言ってもわからなかったり、言うまでもないようなことができないのであれば、失敗から学ぶしかありません。
小野田さんのように、国家の命運や自分と仲間の生死をかけた過酷な経験に比べれば、学生時代の受験や水泳大会での失敗など、転んでできた"かすり傷"のようなものです。
「君たち、どうする?」
小野田さんの言葉は、自分が問いかけられているようで、恥ずかしい気持ちになります。
小野田さんの本を読むと、いかに今の自分が恵まれているか、自分の頑張り方が足りないかを思い知らされます。
最初の本の写真と比べると、同じ人とは思えません。
戦場の過酷さが伝わってくる、「鋼の心」を持つ男の顔です。
竹村知洋