こはくの前足と共に
月の立つ林で 著:青山美智子
著者の作品は、2冊読んだことがあったけれど、この一冊はかなり染みました。
本屋大賞ノミネート作品って、頷けます。
5つの短編が納められていて、それぞれの主人公は直接接点がない。
ある人もいるんだけど、そうとは気づかずそれぞれ暮らしている。
同じポッドキャストを聞いていると言う共通点で繋がっている。
そして、孤独感と言うか、疎外感というか、劣等感と言うか、そんな感情を抱いていることも共通点。
それぞれが置かれた場所で、孤独感から脱却する場面がね、泣ける。
ひとりでいることと、孤独を感じることは別なんだってことなのよ。
いつも誰かにサポートされて、誰かを支えて、見えないところで繋がっている。
装丁にも描かれている、竹林。
そして、月の満ち欠けも、気持ちの切り替えとか、やり直しとか、例えられているんだろうな。
架空のポッドキャストなのだけど、聞いてみたくなる。
それも、この一冊の魅力かもしれません。
しばらくぶりに読了できて、途中ウルウルしちゃって、特に最後の短編の中の言葉が刺さりました。
「あせったり、しんどい思いをしながらじゃなくて、
幸せな気持ちで作られたものをみんな待っているんじゃないかな」
この主人公とは立場も状況も異なるけれど、依頼された仕事を下りる展開になってしまってね。
まさに、この言葉の示す通り。
私が楽しんでないと、いい建物ができませんよ。
よい判断だったんだと思う。
そして、今頂いているお仕事を、楽しく進めるのだ!
@ふると