先日、小麦粉について少しふれましたが国産強力粉の基礎知識についてちょっと書きたいと思います。
よく、パンの本で国産小麦にこだわって書いてあった時、国産強力粉(ハルユタカ)と書いてあるのを見たことありませんか?『ハルユタカ』にこだわるのには、理由があったのです。
強力粉と言えばパン用の小麦粉として代表的ですが、パンを作るには小麦粉に適度な粘りと弾力が必要になります。このバランスがいいとグルテンが薄く伸びが良くて炭酸ガスを抱き込むのでふんわりした柔らかいパンができるのです。
でも、日本で強力粉を生産するとグルテンも粘りも少ない粉になってしまい、ぼそっとか、もっちりとした膨らみの悪いパンになってしまうのです。ただ、唯一この条件に適しているのが北海道だけで栽培されている春まき小麦です。それが『ハルユタカ』と『春よ恋』です。
ところがこの春まき小麦粉は収穫量が少なく、赤かび病にかかりやすいので、基準値以上のかび毒を含む小麦は出荷できません。さらに収穫期に北海道で雨の多い8月にあたり、雨にあたると穂の中で発芽してでんぷんが分解されるため品質が大幅に低下してしまうそうです。つまり、生産者にとっては作りたくても作れない小麦粉なのだそうです。
ただ、全国的に人気の高い『ハルユタカ』を交配して数年前から生産されている『春よ恋』は『ハルユタカ』の弱点を改良して春まき小麦の約90%を生産するようになったようです。しかも焼き色、ふんわり感、味、香りなど『ハルユタカ』より高評価を得て、価格もわずかに安いのです。
…といっても、輸入小麦粉にはかなわない部分も多いのですが、もっちり感、香り、味が人気のようです。
私も実際作ってみましたが、他の国産強力粉とは違いふんわりと仕上がりました。
『ハルユタカ』は会津では、手に入りませんでしたが、『春よ恋』は会津の一部のスーパーでも売られていました。
国産小麦のパンに興味のある方にはおすすめです。
実は一昨年、『はるゆたか』を取り寄せて1kgづつ小分けしたところあまり欲しいという希望者が少なかったため、国産強力粉を取り寄せしないことにしました。
輸入の強力粉を使うと柔らかいパンができるので、教室で国産の小麦粉にこだわってしまうと「家庭のパンはこんなものか」と思われてしまうと思い、教室では安全にはこだわりたいものの、国産にはこだわっていません。
でも、教室の生徒さんで『春よ恋』が欲しいという方がたくさんいらっしゃれば、また取り寄せても考えてみたいと思います。ちなみに国産小麦粉は今のところ値上がりしていません。25kg取り寄せた場合は、スーパーキングの値上がり前の価格くらいでお分けできると思います。
あくまで、希望者が多かった場合のみです。いづれにしても国産のパンを焼きたい方は一度『春よ恋』でおためしください。