宇宙の咆哮

本日は、SDクラブ第10号から
モビルスーツコレクション・ノベルズAct.3「宇宙の咆哮」

アレキサンドリア級4番艦メソポタミアの艦長エメットは、
不吉な思いに囚われていた…。
先の戦闘で艦橋とエンジンに損害を受け、まだ応急処置も
終わらない現状に加えて、ミノフスキー粒子の濃度が敵の
存在を予感させる…。
索敵から戻ったバーナードのバーザムがエゥーゴの艦隊を
発見したことを伝える。
エメットは、MS全機の発進を命令する。

アインは、テストパイロットとして配属された。
彼の直属の上司は、NT嫌いのマイク・シュミットだった。
互いに最悪な第一印象の出会いから一ヶ月後、
試作機の試験は佳境を迎えていた。

分離での高機動テスト中、アインは得体の知れない気配を
感じるが、マイク側のセンサーには何の反応もない。
言うが早いか、アイン機は加速し、マイク機から遠ざかる。

アイン機は、武器もない機体で敵勢に飛び込む。
マイク機も敵のビームを半ば無視する形で、
アイン機を包囲するバーザムの直中に機体を突入させる。
この時、マイク機は二つの幸運に救われていた。
バーザムがGベースのスピードに対応できなかったこと、
もう一つは、後続のネモのビームが1機を墜としたこと。

隙を付いて、GトップとGベースは合体し、MS形態へ。
動揺するバーザムにZZは体当たりし、コクピットを破壊。
しかし、体制を整えた敵勢にZZを除いた彼我の性能差が
そのまま反映され、旗色は悪くなっていた。
ギャプランのビームがネモを貫き、戦力差は広がる一方。
その時、ZZにノイズ混じりの交信が入る。
新型のビームライフルを射出した、と。

戦闘空域を離れたZZは、ビームライフルを受け取り、
後を追ってきたギャプランを沈める。
しかし、ビームライフルの機関部が加熱を警告する。
戻ったZZは、敵勢に圧倒されるネモを救い、ギャプランと
アレキサンドリア級とが重なる瞬間に銃爪をを引いた。
戦艦を沈めた瞬間、限界を超えたライフルは、爆発し、
ZZの右腕をも破壊した。
味方機の爆発した影を利用し、ZZに接近したバーナードの
バーザムは勝利を確信するが、直後に、背後から計算外の
ネモからの攻撃を受けていた。

戦闘後、ネモの女性パイロットがアインに話し掛ける。
マイクはそんな二人に背を向けた。
「これだからNTってヤツは気に入らない…」

一時間後、マイクは独りで夕食を取るアインを見掛ける。
「ルーって言うそうです」
答えたアインの左頬に赤い手形がクッキりと残っていた。
「NTでも女を口説くのは苦手らしいな」
マイクはそう言って笑った。

今回は、試作型ZZをフィーチャーした物語でした。
頭部をハイメガキャノンに換装していない前期型です。
んで、この後、レシル博士によってコアファイターが
組み込まれることになりますが、それはまた別のお話。
あと、アインは戦闘中に件のネモのパイロットが女で
あることが判ったようです。
パイロットのルーは、言うまでもなくルー・ルカかと。

■機体
MSZ-009 プロトタイプダブルゼータガンダム
この時点では、武装もコアファイターも持たない。
MSA-003 ネモ
ダブルゼータの増援に駆け付ける。全3機。
RMS-154 バーザム
メソポタミアの所属機。出撃したのは全3機。
ORX-005 ギャプラン
メソポタミアの所属機。出撃したのは全2機。

■人物
アイン・ラベル准尉
エゥーゴの新米パイロット。ダカールの演説を聞いて参加。
マイク・シュミット注意
アインの上官。NT嫌いらしい。
ルー
ネモの女性パイロット。ルカ？
エメット・ブラウン中佐
メソポタミアの艦長。通称、ドク（嘘
バーナード少佐
片腕のバーザムに乗る隊長。機番407？
ジョシュア少尉
ZZの体当たりされたバーザムのパイロット。