前回、何とかモビルスーツの調達に成功しました。
今回は一緒に来たグリーンがフィーチャーされます。
2人は乗って来たジープの前で立ち止まった。手錠をかけておいた筈
のグリーンがいない。
「逃げちゃったよ…」
その頃、グリーンはトラッパーとデュークを捜して、基地の中を走り
回っていた。
「エスター?エスターじゃない!」
いきなり名前を呼ばれ、グリーンは辺りをキョロキョロと見回した。
「どこを見てるのよ。ここよ」
直ぐ横にディーラーが立っていた。
「せ、先輩…」
「なぁに、鳩が豆鉄砲喰らったような顔して。アタシを忘れちゃった
んじゃないでしょうね」
「そういうわけじゃ…お久し振りです」
「堅苦しい挨拶はナシ。この基地にいたの?全然気づかなかった」
「いえ、195スコードロンのB小隊、マルチノフ支援基地です」
「え?マッシュから?じゃ、ヴァロージャと一緒に来たの?」
「ええ、そうなんですけど…もう中尉に会っちゃいました?」
「さっきね。タフガイ気取りが一緒だったけど」
そこまで言ったディーラーは、何かに気づいて目を光らせ、グリーン
の顔を覗き込んだ。
「そうだ、アナタなら知ってるわよね。連中、何を企んでるの?」
「いえ、そんな、わたしは何も…」
ディーラーから逃げるように後退りしながら、グリーンは両手を顔の
前でヒラヒラと振って見せる。
「じゃ、失礼します…」
コソコソと歩き去ろうとするグリーンの襟を、ディーラーが掴んだ。
「士官学校の先輩後輩の間柄で隠しごと?悲しいなァ」
「なある。1千万ね…」
倉庫のオフィスで、グリーンの話を聞き終わったディーラーは、ダイ
スを弄びながらニヤリと笑った。
「先輩!」
グリーンがキツい声を出した。
「また何か企んでいるんでしょう!」
ディーラーはそれには答えず、惚けた顔でダイスを放った。
「何を考えているか知りませんが、ムダです。わたしこれから司令に
今の話を…」
「それって困る」
グリーンに人差し指を突きつけ、ディーラーはウインクした。
「バーンズ教官相手にイカサマポーカーやって卒業直前に怠学になっ
て…少しは懲りてるかと思ってたら、またディーラーなんて呼ばれて
いい気になってる。もっと自分を大切にしてください!」
興奮した口調で一気に捲し立てたグリーンは、そこまで言ってハッと
我に返って俯いた。
「すいません…つい興奮して」
「良いけどね。本人は気にしてないから」
ディーラーは棚から私物らしいティーセットを取り、ポットのスイッ
チを入れた。
「バーンズみたいな軍人バカにはどうしても一泡吹かせてやりたかっ
たんだし、退学になったって後悔はしてないよ。エスターには判って
欲しいんだけどな」
「それは、判ります…判りますけど、でも今度は…」
俯いたままのグリーンの前に、ディーラーは湯気の立つティーカップ
を置いた。
カップに注がれた紅茶を一気に飲み干したグリーンは、キッと顔を上
げてディーラーを見た。
「…今度ヘタをすれば、退学どころじゃ済まないんですよ。わたしは
心配なんです。先輩やヴァロージャや…」
ディーラーはグリーンをなだめるように両手を挙げた。
「アナタが自分の素行記録の心配をしてるんじゃないってこと位は、
判ってるわ。その気持ちはありがたいと思うわよ」
グリーンは暫く両手でティーカップを握り締めていたが、やがてゆっ
くりと立ち上がった。
「…やっぱりわたし、司令にお会いして来ます」
「行ってらっしゃい」
おかしいと思った瞬間、部屋がグラりと揺れた。立っていられなくて
デスクにしがみつく。クスクス笑っているディーラーに何か言ってや
りたがったが、呂律が回らない。
「せ…先輩…こ、これは…」
「ゴメンゴメン。でも一息で全部飲んじゃうアナタも悪いのよ。4人
分位入れといたかなァ、睡眠薬」
顎をデスクの角に乗せ、垂れ下がろうとする瞼を何とか開いているグ
リーンの額を、ディーラーはツンとつついた。
「お休み、いい子ちゃん」
今回はちょっと短いですが、この後日時が変わるので。
次回はいよいよ出撃と相成りますが、戦闘はまだないかも。
今回は一緒に来たグリーンがフィーチャーされます。
2人は乗って来たジープの前で立ち止まった。手錠をかけておいた筈
のグリーンがいない。
「逃げちゃったよ…」
その頃、グリーンはトラッパーとデュークを捜して、基地の中を走り
回っていた。
「エスター?エスターじゃない!」
いきなり名前を呼ばれ、グリーンは辺りをキョロキョロと見回した。
「どこを見てるのよ。ここよ」
直ぐ横にディーラーが立っていた。
「せ、先輩…」
「なぁに、鳩が豆鉄砲喰らったような顔して。アタシを忘れちゃった
んじゃないでしょうね」
「そういうわけじゃ…お久し振りです」
「堅苦しい挨拶はナシ。この基地にいたの?全然気づかなかった」
「いえ、195スコードロンのB小隊、マルチノフ支援基地です」
「え?マッシュから?じゃ、ヴァロージャと一緒に来たの?」
「ええ、そうなんですけど…もう中尉に会っちゃいました?」
「さっきね。タフガイ気取りが一緒だったけど」
そこまで言ったディーラーは、何かに気づいて目を光らせ、グリーン
の顔を覗き込んだ。
「そうだ、アナタなら知ってるわよね。連中、何を企んでるの?」
「いえ、そんな、わたしは何も…」
ディーラーから逃げるように後退りしながら、グリーンは両手を顔の
前でヒラヒラと振って見せる。
「じゃ、失礼します…」
コソコソと歩き去ろうとするグリーンの襟を、ディーラーが掴んだ。
「士官学校の先輩後輩の間柄で隠しごと?悲しいなァ」
「なある。1千万ね…」
倉庫のオフィスで、グリーンの話を聞き終わったディーラーは、ダイ
スを弄びながらニヤリと笑った。
「先輩!」
グリーンがキツい声を出した。
「また何か企んでいるんでしょう!」
ディーラーはそれには答えず、惚けた顔でダイスを放った。
「何を考えているか知りませんが、ムダです。わたしこれから司令に
今の話を…」
「それって困る」
グリーンに人差し指を突きつけ、ディーラーはウインクした。
「バーンズ教官相手にイカサマポーカーやって卒業直前に怠学になっ
て…少しは懲りてるかと思ってたら、またディーラーなんて呼ばれて
いい気になってる。もっと自分を大切にしてください!」
興奮した口調で一気に捲し立てたグリーンは、そこまで言ってハッと
我に返って俯いた。
「すいません…つい興奮して」
「良いけどね。本人は気にしてないから」
ディーラーは棚から私物らしいティーセットを取り、ポットのスイッ
チを入れた。
「バーンズみたいな軍人バカにはどうしても一泡吹かせてやりたかっ
たんだし、退学になったって後悔はしてないよ。エスターには判って
欲しいんだけどな」
「それは、判ります…判りますけど、でも今度は…」
俯いたままのグリーンの前に、ディーラーは湯気の立つティーカップ
を置いた。
カップに注がれた紅茶を一気に飲み干したグリーンは、キッと顔を上
げてディーラーを見た。
「…今度ヘタをすれば、退学どころじゃ済まないんですよ。わたしは
心配なんです。先輩やヴァロージャや…」
ディーラーはグリーンをなだめるように両手を挙げた。
「アナタが自分の素行記録の心配をしてるんじゃないってこと位は、
判ってるわ。その気持ちはありがたいと思うわよ」
グリーンは暫く両手でティーカップを握り締めていたが、やがてゆっ
くりと立ち上がった。
「…やっぱりわたし、司令にお会いして来ます」
「行ってらっしゃい」
おかしいと思った瞬間、部屋がグラりと揺れた。立っていられなくて
デスクにしがみつく。クスクス笑っているディーラーに何か言ってや
りたがったが、呂律が回らない。
「せ…先輩…こ、これは…」
「ゴメンゴメン。でも一息で全部飲んじゃうアナタも悪いのよ。4人
分位入れといたかなァ、睡眠薬」
顎をデスクの角に乗せ、垂れ下がろうとする瞼を何とか開いているグ
リーンの額を、ディーラーはツンとつついた。
「お休み、いい子ちゃん」
今回はちょっと短いですが、この後日時が変わるので。
次回はいよいよ出撃と相成りますが、戦闘はまだないかも。