久々に創作っつか妄想を書いてみました
青臭いよー(笑)
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2学期の終業式間近、12月の寒い日の放課後の3年2組の教室。
僕は授業終了後に美術室で描きかけの水彩画の続きを描いてて下校時間近くになったので帰宅するために鞄を取りに教室に戻った。
もうその時間にはみんな帰って誰もいないと思ってた。
ドアをガラガラと開けると、誰もいないだろうと思ってた教室に教科書やノートを鞄に入れながら帰り支度をしてるひとりの女の子がいた。
彼女は「え?」って驚いたような顔でドアを開けた僕を見た。
「あれ、まだいたんだ」
「うん・・・」
「なら、一緒に帰ろうか?」
なぜ、そのときそんなことを言ったのかわかんない。
僕はあまり人付き合いの得意な方じゃなく、休み時間も自分の席で文庫の小説を読んでることが多かったし、美術部で絵を描いてるときが一番楽しかったので放課後に一緒に遊ぶような親しい友達もほとんどいなかった。
たぶん、クラスの連中には扱い辛いヤツだと思われて無視されてることが多いんだと思う。
まぁ、僕自身はそんなことは全然気にしないんだけどね。
親しい男友達がいないってことは女の子とはさらに縁遠いってことで中3になっても同級生の女の子と必要以上の会話をしたことはほとんどなかった。
そんな僕がただひとり気になってた女の子が彼女だった。
特に美人ってわけじゃなくなくどちらかと言えばおとなしい目立たないタイプの子。
3年になって同じクラスになった時から彼女のことが気になってたんだけど、そんな僕だから当然話しかけるなんてことは今日まで一度もなかった。
なのに、何故か今日は・・・・
彼女は僕の言葉にちょっと驚いたみたいで黙ったまま僕を見てる。
少しの沈黙の後、彼女は僕から目線をはずし、下を向いて
「いいよ・・」
あれ、なんだこの展開は??
自分から声かけたくせにむちゃドギマギしてる。
僕はあわてて鞄に教科書やら体操着やらを詰め込みながら
「すぐ帰る用意するから、先に下の靴箱のとこで待ってて」
「うん」
彼女は鞄を手に教室を出て行く。
鞄に荷物を詰め込んで急いで教室を出て彼女を追いかけようと廊下に出たときに向こうから担任の男性教師が歩いてきた。
「お、桜、まだおったんか。ちょうどええわ、ちょっと手伝ってくれや」
「あの、急いでるんですけど・・・」
「そんなに時間かからんから頼むわ」
半ば強引に職員室に連れていかれた。
「ほんますまんけど、これ5枚ずつ揃えてホッチキスでクラスの人数分作っておいてくれんか」
担任は僕に拒否する隙も与えずに、それだけ言うと忙しそうに職員室を出て行った。
僕はため息をついて仕方なくコピーされたプリントを5枚ずつ揃えてホッチキスで留めていく。
彼女はどうしてるだろ?
待ってても来ない僕に怒ってるかなぁ。
もしかしたらからかわれたと思って悲しい気持ちになってるかも・・・
こんなことになるんだったらあんなこと言わなきゃよかった、と落ち込みながらホッチキスでプリントをガシャガシャと綴じていく。
クラスの人数分を作り終えてそれを担任の机の上の放り投げて鞄を持って職員室を出る。
急ぎ足で廊下を歩いてるとチャイムとともに「下校時間になりました。校内に残ってる皆さんはすみやかに下校してください」のアナウンスが
あぁ、さすがにもう彼女は怒って帰ってるよなぁ、と沈んだ気持ちでに3年2組の靴箱のところまで行く。
そしたら、そこに彼女がいた・・・
僕が来たことに気付いてるはずなのに下を向いたまま顔を上げない彼女。
怒ってるよなぁ・・・
「待っててくれたんだ・・。ごめん、急に井上先生から頼まれちゃって、だからその・・」
僕が言い訳してる途中でそれを遮るように小さな声で「一緒に帰ろうって言ってくれたから・・」
「うん・・、ごめん・・」
「雨かなり強く降ってるよ。傘持ってる?」
「うん、いつも靴箱に折りたたみを置き傘してるから」
あ、「傘持ってない」って言えば彼女の傘で相合い傘できたかも、そんなことを思いながら靴を履き替えて校舎を出る。
外はかなりの雨。
校庭のあちらこちらに水たまりができてる。
下校時間の過ぎたグランドには僕たち以外の人影もなく静まり返っている。
聞こえてくるのは傘に叩き付ける激しい雨の音とかすかな彼女の息づかいだけ。
彼女のさす青地に白い水玉模様の傘に見え隠れする横顔を盗み見る。
グランドの隅で佇んだままのふたり。
ずっとこのまま時間が止まればいいのに・・・
「帰ろか」
「そやな、行こか」
肩を並べてグランドを横切り校門を出て少し下り気味の住宅街の狭い道を歩く。
なにか話さなくちゃ、と思いながら何一つ話題が思いつかない。
僕は黙ったまま隣を歩く彼女の横顔をちらちら見ながら歩く。
彼女も何も言わずにうつむきがちに前を向いたまま右手でしっかり傘を持って雨の中をゆっくり歩く。
強い雨粒がアスファルトに跳ね返って僕と彼女の足を濡らす。
激しい雨音がしてるはずなのに僕と彼女は音のない静寂の中にいた。
一瞬だったけどそこは僕と彼女ふたりだけの世界だったと思う。
言葉は何もなかったけどそのときはお互いの気持ちはちゃんと繋がってたよう気がする。
学校からの最寄り駅までは10分弱。
僕はそこから5分くらい歩いたとこが家なんだけど、彼女の家はその駅から電車に乗って二駅のところ。
なので彼女とはその駅でお別れ。
駅の庇の下、改札の前で彼女は傘を畳む。
僕は雨の中傘をさしたまま改札前のそんな彼女を見つめてる。
傘を畳み終わった彼女、うつむいた顔を上げて僕を見て恥ずかしそうに笑った。
たぶん、ちゃんと彼女と見つめ合ったのはこのときが初めて。
そして、僕に向かっての笑顔も・・・・
「一緒に帰ろうって、誘ってくれてありがと」
つぶやくような小さな声でそう言うと僕の返事も聞かず改札をすり抜けて行く。
僕はそんな彼女の後ろ姿をずっと見つめてた。
彼女の姿が僕の視界から消えたとき急にザーザーという雨の音が蘇ってきた。
僕は彼女の姿が見えなくなった後も雨の中傘をさしたまま改札の向こう側をしばらく見つめ続けてた。
その後彼女との関係は何の進展もなく、卒業まで今までと同じように彼女とほとんど話もせず、彼女も今まで同様に僕のことを気にしてる様子もなかった。
卒業後は別々の高校に進学したのでその後会うこともなかった。
二人きりで帰ったあの時だけが特別な時間だったのかもしれない。
彼女にとってどうだったかはわからないけど、僕にとってはあの雨の日の帰り道と改札前の彼女の笑顔は神様からの贈り物だったような気がする。
あのわずかな時間は今も僕の大切な大切な宝物になってる。
※上の妄想は谷山浩子の「放課後」という歌を聞いてて頭に中に浮かんできた風景を文章にしてみたの
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青臭いよー(笑)
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2学期の終業式間近、12月の寒い日の放課後の3年2組の教室。
僕は授業終了後に美術室で描きかけの水彩画の続きを描いてて下校時間近くになったので帰宅するために鞄を取りに教室に戻った。
もうその時間にはみんな帰って誰もいないと思ってた。
ドアをガラガラと開けると、誰もいないだろうと思ってた教室に教科書やノートを鞄に入れながら帰り支度をしてるひとりの女の子がいた。
彼女は「え?」って驚いたような顔でドアを開けた僕を見た。
「あれ、まだいたんだ」
「うん・・・」
「なら、一緒に帰ろうか?」
なぜ、そのときそんなことを言ったのかわかんない。
僕はあまり人付き合いの得意な方じゃなく、休み時間も自分の席で文庫の小説を読んでることが多かったし、美術部で絵を描いてるときが一番楽しかったので放課後に一緒に遊ぶような親しい友達もほとんどいなかった。
たぶん、クラスの連中には扱い辛いヤツだと思われて無視されてることが多いんだと思う。
まぁ、僕自身はそんなことは全然気にしないんだけどね。
親しい男友達がいないってことは女の子とはさらに縁遠いってことで中3になっても同級生の女の子と必要以上の会話をしたことはほとんどなかった。
そんな僕がただひとり気になってた女の子が彼女だった。
特に美人ってわけじゃなくなくどちらかと言えばおとなしい目立たないタイプの子。
3年になって同じクラスになった時から彼女のことが気になってたんだけど、そんな僕だから当然話しかけるなんてことは今日まで一度もなかった。
なのに、何故か今日は・・・・
彼女は僕の言葉にちょっと驚いたみたいで黙ったまま僕を見てる。
少しの沈黙の後、彼女は僕から目線をはずし、下を向いて
「いいよ・・」
あれ、なんだこの展開は??
自分から声かけたくせにむちゃドギマギしてる。
僕はあわてて鞄に教科書やら体操着やらを詰め込みながら
「すぐ帰る用意するから、先に下の靴箱のとこで待ってて」
「うん」
彼女は鞄を手に教室を出て行く。
鞄に荷物を詰め込んで急いで教室を出て彼女を追いかけようと廊下に出たときに向こうから担任の男性教師が歩いてきた。
「お、桜、まだおったんか。ちょうどええわ、ちょっと手伝ってくれや」
「あの、急いでるんですけど・・・」
「そんなに時間かからんから頼むわ」
半ば強引に職員室に連れていかれた。
「ほんますまんけど、これ5枚ずつ揃えてホッチキスでクラスの人数分作っておいてくれんか」
担任は僕に拒否する隙も与えずに、それだけ言うと忙しそうに職員室を出て行った。
僕はため息をついて仕方なくコピーされたプリントを5枚ずつ揃えてホッチキスで留めていく。
彼女はどうしてるだろ?
待ってても来ない僕に怒ってるかなぁ。
もしかしたらからかわれたと思って悲しい気持ちになってるかも・・・
こんなことになるんだったらあんなこと言わなきゃよかった、と落ち込みながらホッチキスでプリントをガシャガシャと綴じていく。
クラスの人数分を作り終えてそれを担任の机の上の放り投げて鞄を持って職員室を出る。
急ぎ足で廊下を歩いてるとチャイムとともに「下校時間になりました。校内に残ってる皆さんはすみやかに下校してください」のアナウンスが
あぁ、さすがにもう彼女は怒って帰ってるよなぁ、と沈んだ気持ちでに3年2組の靴箱のところまで行く。
そしたら、そこに彼女がいた・・・
僕が来たことに気付いてるはずなのに下を向いたまま顔を上げない彼女。
怒ってるよなぁ・・・
「待っててくれたんだ・・。ごめん、急に井上先生から頼まれちゃって、だからその・・」
僕が言い訳してる途中でそれを遮るように小さな声で「一緒に帰ろうって言ってくれたから・・」
「うん・・、ごめん・・」
「雨かなり強く降ってるよ。傘持ってる?」
「うん、いつも靴箱に折りたたみを置き傘してるから」
あ、「傘持ってない」って言えば彼女の傘で相合い傘できたかも、そんなことを思いながら靴を履き替えて校舎を出る。
外はかなりの雨。
校庭のあちらこちらに水たまりができてる。
下校時間の過ぎたグランドには僕たち以外の人影もなく静まり返っている。
聞こえてくるのは傘に叩き付ける激しい雨の音とかすかな彼女の息づかいだけ。
彼女のさす青地に白い水玉模様の傘に見え隠れする横顔を盗み見る。
グランドの隅で佇んだままのふたり。
ずっとこのまま時間が止まればいいのに・・・
「帰ろか」
「そやな、行こか」
肩を並べてグランドを横切り校門を出て少し下り気味の住宅街の狭い道を歩く。
なにか話さなくちゃ、と思いながら何一つ話題が思いつかない。
僕は黙ったまま隣を歩く彼女の横顔をちらちら見ながら歩く。
彼女も何も言わずにうつむきがちに前を向いたまま右手でしっかり傘を持って雨の中をゆっくり歩く。
強い雨粒がアスファルトに跳ね返って僕と彼女の足を濡らす。
激しい雨音がしてるはずなのに僕と彼女は音のない静寂の中にいた。
一瞬だったけどそこは僕と彼女ふたりだけの世界だったと思う。
言葉は何もなかったけどそのときはお互いの気持ちはちゃんと繋がってたよう気がする。
学校からの最寄り駅までは10分弱。
僕はそこから5分くらい歩いたとこが家なんだけど、彼女の家はその駅から電車に乗って二駅のところ。
なので彼女とはその駅でお別れ。
駅の庇の下、改札の前で彼女は傘を畳む。
僕は雨の中傘をさしたまま改札前のそんな彼女を見つめてる。
傘を畳み終わった彼女、うつむいた顔を上げて僕を見て恥ずかしそうに笑った。
たぶん、ちゃんと彼女と見つめ合ったのはこのときが初めて。
そして、僕に向かっての笑顔も・・・・
「一緒に帰ろうって、誘ってくれてありがと」
つぶやくような小さな声でそう言うと僕の返事も聞かず改札をすり抜けて行く。
僕はそんな彼女の後ろ姿をずっと見つめてた。
彼女の姿が僕の視界から消えたとき急にザーザーという雨の音が蘇ってきた。
僕は彼女の姿が見えなくなった後も雨の中傘をさしたまま改札の向こう側をしばらく見つめ続けてた。
その後彼女との関係は何の進展もなく、卒業まで今までと同じように彼女とほとんど話もせず、彼女も今まで同様に僕のことを気にしてる様子もなかった。
卒業後は別々の高校に進学したのでその後会うこともなかった。
二人きりで帰ったあの時だけが特別な時間だったのかもしれない。
彼女にとってどうだったかはわからないけど、僕にとってはあの雨の日の帰り道と改札前の彼女の笑顔は神様からの贈り物だったような気がする。
あのわずかな時間は今も僕の大切な大切な宝物になってる。
※上の妄想は谷山浩子の「放課後」という歌を聞いてて頭に中に浮かんできた風景を文章にしてみたの
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